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胴長犬の特徴と健康管理のポイント

胴長犬の特徴と健康管理

胴長犬の特徴と健康管理のポイント
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主な犬種

ダックスフンド、コーギー、バセットハウンドなど独特の体型を持つ犬種

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遺伝的特徴

FGF4遺伝子の影響で成長期に骨の伸長が止まり短足体型となる

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健康管理

椎間板ヘルニアなど体型由来の疾患予防が最重要課題

胴長犬の代表的な犬種と歴史的背景

胴長犬として最も有名なのは、ミニチュア・ダックスフンドとウェルシュ・コーギーペンブロークです。これらの犬種が現在の体型を獲得したのには、それぞれ明確な歴史的理由があります。

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ダックスフンドは、かつて狩猟犬として活躍していた際に、アナグマやウサギなどの獲物が穴の中に逃げ込んでも追いかけられるよう、いくつもの犬種を掛け合わせ品種改良を重ねた結果、現在の特徴的な体型になりました。一方、コーギーは牧羊犬として牛や羊の家畜を追う仕事をする際に、体高が高いと家畜に蹴られる危険性があったため、特に足の短い個体を選んで繁殖させたことで胴長短足の体型が確立されました。
その他の胴長犬には、バセット・ハウンド、ダンディ・ディンモント・テリア、グランバー・スパニエルなどがいます。これらの犬種はいずれも「軟骨異栄養性犬種(なんこついえいようせいけんしゅ)」と呼ばれ、もともと椎間板が飛び出しやすい体質を持っています。

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胴長犬の遺伝的メカニズムと身体的特徴

2009年にアメリカとイギリスの研究チームによって、胴長犬の短足体型の遺伝的メカニズムが科学的に解明されました。短足犬種95匹を含む835匹の犬を対象とした遺伝子分析により、短足犬種すべてがFGF4という細胞増殖因子タンパク質を他の犬種より多く持っていることが判明しました。
このFGF4遺伝子の影響により、成長を促すタンパク質が体内で過剰生産され、成長期の早い段階で骨化が起こり、足の骨の伸長が止まってしまいます。この遺伝子変異により特徴的な体型の犬種が生まれ、人間がその特徴を珍重したことで現在の胴長短足犬種が確立されたのです。
胴長犬の身体的特徴として、短い足に対して胴体が比較的長く、重心が低いことが挙げられます。この体型は、狩猟や牧畜において特定の作業に適応した結果ですが、同時に特有の健康リスクも生み出しています。

胴長犬特有の健康リスクと椎間板ヘルニア

胴長犬が最も注意すべき健康リスクは椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアは、椎間板が正常な位置から飛び出したり破裂したりして脊髄神経を圧迫する病気で、圧迫された神経より後方が麻痺したり、運動や自力での排泄が困難になることがあります。
胴長短足の犬種は一般的に足腰が弱い傾向にあり、特にミニチュア・ダックスフンドやウェルシュ・コーギー・ペンブローク、ビーグル、シー・ズーなどの軟骨異栄養性犬種は椎間板ヘルニアになりやすいとされています。これは体型の特性上、背骨に負担がかかりやすいためです。
肥満は椎間板ヘルニアのリスクを大幅に増加させます。体重が増加すると足腰への負担が増大し、椎間板ヘルニアや糖尿病などの病気を発症する原因となります。また、高所からの飛び降りや急激な全力疾走、急停止なども椎間板ヘルニアの発症リスクを高める要因となります。

胴長犬の日常的な運動管理と予防対策

胴長犬の健康維持には適切な運動管理が不可欠です。ダックスフンドのような活発な犬種でも、胴長短足の体型ゆえに腰にかかる負担が大きくなりやすいため、日々の適度な運動によって筋力を維持し、体重管理をすることが重要です。

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理想的な散歩は1日2回、各30分程度とされており、時々ドッグランで自由に走る時間を確保することも推奨されています。ただし、急なダッシュや段差の多い場所での運動は避け、腰に負担がかからないよう注意が必要です。
椎間板ヘルニアの予防には、背骨などに強い衝撃がかかる激しい運動を避けることが重要です。急な階段の上り下りも脊椎に異常をきたすことがあるため、特に注意が必要です。また、滑りやすいフローリングの床にはカーペットを敷くなどの環境整備も効果的な予防策となります。
運動不足で背骨を支える力が不十分になると、椎間板が変性して椎間板ヘルニアを発症することがあるため、適度な運動の継続も重要です。

胴長犬の狩猟本能と現代での行動特性

胴長犬の多くは元々狩猟犬としての歴史を持つため、現在でも強い狩猟本能を保持しています。特にダックスフンドは小動物を仕留める使役を持っていたため、現在でも小さな動物に対して本能的な反応を示すことがあります。

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狩猟本能による行動は犬種によって異なりますが、基本的には獲物を追いかけて捕まえる、振り回して息の根を止める、匂いで獲物を探す、獲物にそっと近づき行動を止めるなどの行動が見られます。家庭犬として飼育されている胴長犬でも、遊びの中でこれらの行動を見せることが多くあります。
現代の胴長犬の性格として、ダックスフンドは狩猟犬らしく機敏で活発、そして好奇心旺盛な特徴を持っています。一方で、猟犬としての本能から頑固さや自己主張の強さも持ち合わせており、正しく接すれば賢く忠実なパートナーとなります。

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どんなにしつけが入った犬でも、一瞬にして狩猟本能のスイッチが入ってしまうことがあるため、小型動物との接触や大型犬との遊びなどでは常に注意が必要です。狩猟本能は犬が脈々と受け継いできた動物としての本能であり、自分の意思ではコントロールできないため、飼い主側での配慮が重要となります。