長毛犬の被毛とケア方法
長毛犬の被毛構造の違い
長毛犬の被毛は、大きく分けてダブルコートとシングルコートの2つのタイプに分類されます。ダブルコート種は上毛(オーバーコート)と下毛(アンダーコート)の二層構造を持ち、防寒・防水性に優れている一方で、春と秋の換毛期に大量の毛が抜けるのが特徴です。代表的な犬種としては、ポメラニアン、シベリアン・ハスキー、バーニーズ・マウンテン・ドッグなどが挙げられます。
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シングルコート種は上毛のみで構成されており、抜け毛は比較的少ないものの、毛が伸び続けるため定期的なトリミングが必要です。マルチーズ、プードル、ヨークシャー・テリアなどがこのタイプに分類され、換毛期がないため年間を通して比較的安定した抜け毛量となります。
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抜け毛の量について興味深い事実として、実は短毛種の方が長毛種よりも抜け毛が多いとされています。これは毛が短く周毛期も短いためで、特に短毛種のダブルコート犬(柴犬、コーギーなど)は最も抜け毛が多い犬種と言えるでしょう。
長毛犬の種類と特徴
小型の長毛犬として人気が高いのは、ポメラニアン、マルチーズ、ヨークシャーテリア、シーズー、パピヨンなどです。ポメラニアンはボリュームのある被毛が特徴的で、10種類以上の豊富な毛色バリエーションを持ちます。マルチーズは被毛が細く絡まりやすいため、月1回のカットまたは毎日のブラッシングが必要です。
中型犬では、ボーダーコリー、アメリカンコッカースパニエル、日本スピッツなどが代表的です。ボーダーコリーは日本ではブラック&ホワイトが一般的ですが、実際には多様な毛色が存在します。
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大型犬の長毛種には、ゴールデンレトリーバー、サモエド、アフガンハウンド、バーニーズ・マウンテン・ドッグなどがあります。これらの犬種は美しい長毛だけでなく、優れた能力や穏やかな性格でも知られており、多くの愛犬家に愛されています。
長毛犬の毛玉対策と日常ケア
長毛犬の最大の課題である毛玉対策には、日々の適切なブラッシングが不可欠です。シングルコートの犬種は週2〜3回程度、ダブルコートの犬種では毎日1回のブラッシングが理想的とされています。
長毛種に適したブラシとして、ピンブラシとスリッカーブラシが推奨されます。ピンブラシは使い勝手が良く、スリッカーブラシは長毛のお手入れやダブルコート種の抜け毛対策に効果的です。ただし、スリッカーブラシを使用する際は皮膚を傷つけないよう、毛の流れに沿って動かすことが重要です。
アフガンハウンドやヨークシャーテリアのような細くシルキーな毛質の犬種には、静電気防止スプレーの使用が効果的です。また、仕上げには細めのコームを使用し、もつれがないことを確認しながら丁寧にといていきます。
長毛犬の季節に応じたケア方法
ダブルコート種の長毛犬は、春から7月頃と秋から11月頃の年2回、換毛期を迎えます。この期間中は冬毛と夏毛が生え変わり、平均6〜7週間程度にわたって大量の抜け毛が発生します。春の換毛期には密度の低い通気性に優れた夏毛に、秋の換毛期にはふわふわとした保温性の高い冬毛に生え変わります。
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換毛期の対策として、いつもより丁寧なブラッシングで抜け毛を取り除くことが重要です。特に長毛種のダブルコート犬は、被毛の根元にすすぎ残しがあることが多く、これが皮膚トラブルの原因となる可能性があるため、シャンプー時はしっかりと洗い流すことが必要です。
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最近では室内飼いの犬が増えたことで、冷暖房により年中快適な気温が保たれるため、換毛期にほとんど毛が抜けないケースや、真冬に換毛が始まるといった例も見られます。適切な時期に換毛を促すためには、毎日の散歩で外気に触れる機会を作ることが推奨されています。
長毛犬の健康維持におけるグルーミングの重要性
長毛犬のグルーミングは単なる美容目的ではなく、健康維持において極めて重要な役割を果たします。適切なグルーミングを怠ると、毛玉の形成により皮膚の通気性が悪化し、細菌の繁殖や皮膚炎などの健康被害を引き起こす可能性があります。
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特に長毛種は被毛が長い分、汚れが付きやすく、被毛も絡まりやすいという特徴があります。これらを放置することで、愛犬の健康に深刻な影響を与える可能性が高まるため、予防的なケアが必要不可欠です。
プロのグルーマーからの指導を受けることも重要で、ほとんどの飼い主は6〜8週間に1度、専門的なグルーミングを受けることで愛犬の毛並みをベストな状態に保つことができます。グルーミング中は愛犬とのスキンシップの貴重な時間ともなり、おやつを与えながら褒めることで、犬にとってもポジティブな体験にすることができます。
トリミングの頻度については、長毛犬は月1〜2回が推奨されており、毛先のカットにはバリカンを使用することで毛の長さを均一に整えやすく、美しい仕上がりを実現できます。