感情表現と犬のボディランゲージ
犬は言葉を話すことができませんが、感情表現は非常に豊かで、さまざまなボディランゲージを通じて私たちに気持ちを伝えています 。愛犬の感情を正しく理解することで、より深い絆を築くことができます 。
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感情表現の基本的な仕組み
犬の感情表現は、人間と同様に脳科学的な根拠があります。犬の脳には人間と同じように「扁桃体」と呼ばれる感情を司る領域が存在し、恐怖や不安、喜びといった本能的な感情の処理を行っています 。さらに近年の研究では、犬と人間が見つめ合うと、お互いに「オキシトシン」という愛着ホルモンが分泌されることが確認されており、犬と人との間に感情的なつながりが形成されている証拠となっています 。
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犬のボディランゲージは大きく分けて3つの種類に分類されます。楽しい時や警戒している時に見られる体の動きや行動で、耳・口・鼻・目・毛・尻尾・姿勢などの全身で表す「感情表現」があります 。また、犬が生まれつき備えている基本の表情・しぐさ・行動として、瞳孔が開く、毛が逆立つ、筋肉が緊張するなどの反応があります 。
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感情表現における犬の特徴
最新の研究により、犬が人間の喜怒哀楽の「顔の表情」と「声のトーン」を組み合わせて認識していることが明らかになっています 。これは犬が感情を読み取るだけでなく、感情を共感する能力を持っていることを示唆しています 。犬は身体的な表情を主要な情報源として使用し、人間とは異なり顔よりも体全体の動きに注目する傾向があります 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8035094/
感情表現における尻尾の動きと意味
犬の尻尾は感情を映す鏡として機能し、最も分かりやすい感情表現のひとつです 。尻尾を大きく左右に振るのは「嬉しい」「楽しい」という感情の表れですが、振り方によって異なる意味があります 。
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尻尾の動きには細かな違いがあり、大きく振る場合は喜びや興奮を表し、低くして小さく振る場合は不安や緊張を示しています 。尻尾をピンと立てている時は警戒や自信の現れで、下げて足の間に挟む時は恐怖や服従を表現しています 。ゆっくりと左右に振る場合は落ち着きやリラックス状態を示しており、愛犬の精神状態を把握する重要な指標となります 。
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ただし、尻尾を振っていても体がこわばっていたり、唸っている場合は警戒や不安を感じていることもあるため、全体の雰囲気で判断する必要があります 。犬が全身を使って体を振って感情を表現することもあり、体を振る時は喜んでいる場合が多いものの、嫌がっている時も体を振ることがあります 。
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感情表現における目と耳の表現パターン
犬の目と耳の動きは、感情状態を理解する上で非常に重要な手がかりとなります。目がキラキラしている時は楽しさやワクワク感を表現しており 、じっと見つめてくる行動は飼い主を信頼しているサインです 。アイコンタクトが多い犬は、飼い主との絆が深まっている証拠とされています 。
耳の動きも感情を知る重要なポイントで、耳が前を向いている時は興味や警戒を示し、ピンと立てる時は自信や興奮を表現しています 。一方、耳を後ろに倒す時は恐怖や服従の感情を示し、横に広げる時は緊張や不安を表現しています 。特に「ヒコーキ耳」と呼ばれる耳を後ろに寝かせて両耳の間が広くなる状態は、気分が良くリラックスしている証拠です 。
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怖がっている様子の時は、耳が後ろ向きで平らになり、まばたきが増え、目線をそらすようになります 。攻撃的な表情に似ているものの、遊びたい様子を表現する時もあるため、全体の文脈で判断することが重要です 。
感情表現における口元と表情の変化
犬の口元の動きは、感情表現の中でも特に重要な指標となります。口を開いて舌を出している状態は満足や安定を表し、のんびりしている時や安心している時に見られます 。人間でいうところの笑顔のようなもので、この表情は飼い主にも喜ばれるため犬がよく見せる表情です 。
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口角が上がって笑顔に見える表情は「うれしい」「楽しい」などポジティブな気分の時に見られますが 、一見笑顔に見えても目が見開いていて緊張やストレスを示している「ストレススマイル」もあるため注意が必要です 。満足して穏やかな時は、口が緩んで下の歯が見える状態になります 。
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上唇を上げて歯を見せる行動は攻撃するという意味があり、怒っている可能性を示しています 。唇がめくれ上がって歯や歯茎がはっきり見える程度によって攻撃の意思の強さが判断でき、犬歯を見せる状態は威嚇の最終段階とされています 。このような表情を見た時は、犬がストレスを感じている原因から遠ざけてあげることが重要です 。
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感情表現におけるカーミングシグナルの理解
カーミングシグナルは、犬がストレスや不安を感じた際に自分を落ち着かせるために行う特別な行動パターンです 。これらのシグナルを理解することで、愛犬の心理状態をより深く把握できます 。
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代表的なカーミングシグナルとして、あくびがあります。眠くない時にするあくびは、緊張やストレス、不安の軽減を目的としており、叱られた時や突然の接触時によく見られます 。そっぽを向く行動は敵意がないことを示すシグナルで、人が近づく時やカメラを向けた時などに表れます 。
自分の鼻や口を舐める行為も重要なシグナルで、特に怪我などしていないのに鼻をぺろぺろ舐めるのは、とても緊張していたり不安を感じているサインです 。手足をなめる行動は自己安定行動やストレス反応として現れ、騒音や不安環境、孤独感を感じている時に見られます 。
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感情表現における愛情と親愛のサイン
犬の愛情表現には、飼い主との深いつながりを示す特別な行動があります。隣にぴったり寄り添ってきたり、足元に体を押し付けてくる行動は、安心して甘えている証拠です 。寒い時に体温を求めることもありますが、多くは「そばにいたい」という気持ちの表れとされています 。
飼い主の顔や手を舐める行動は、母犬が子犬を舐めることから始まる本能的な愛情表現で、信頼と愛情を示す重要なサインです 。飼い主の手や足、服を甘噛みする行為も愛情表現のひとつで、子犬時代の遊びの延長として表現されます 。
舌をペロッと出す行動は親愛、服従、ねだりの意味があり、撫でられた後やおねだり中によく見られます 。プレイバウという前足を伸ばして腰を上げる姿勢は、遊びたい意思表示として他の犬や飼い主への誘いかけに使われます 。これらの行動は犬が飼い主とのコミュニケーションを求めているサインであり、絆を深める良い機会となります 。