超音波検査で犬の健康状態を詳細診断

超音波検査による犬の診断

超音波検査の基本原理と犬への適用

犬の超音波検査は、高周波数の音波を体に当て、その反射を画像として映し出す安全な診断方法です 。この検査では、レントゲンのように放射線を使わず、体を傷つけることなく臓器の状態をリアルタイムで確認できるため、愛犬への負担が最小限に抑えられます 。

参考）犬・猫の定期的なエコー検査が必要な理由｜獣医師が解説する重要…

超音波プローブと呼ばれる機器を胸部や腹部に当てることで、心臓、肝臓、腎臓、膀胱、脾臓、胃腸などの内部構造や動きを詳細に観察できます 。特に、臓器の形や大きさ、内部の異常（腫瘍や結石など）を確認し、炎症や血流の状態も視覚的にチェックすることが可能です 。

参考）犬や猫の超音波検査（エコー検査）とは？その方法や費用、わかる…

検査時間は通常10～20分程度で、多くの犬は静かに落ち着いて検査を受けることができます 。ただし、より鮮明な画像を得るため、検査部位の毛を一部刈ったり、ゼリーやアルコールで皮膚を濡らすことがあります 。

超音波検査で発見できる犬の心臓病

心臓の超音波検査（心エコー検査）は、犬の心臓病診断において最も重要な検査のひとつです 。この検査により、心臓の内部構造や血液の流れをリアルタイムで観察し、弁の動きや心臓の収縮機能を詳細に評価できます 。

参考）心臓の検査に欠かせない心エコーとは？｜検査の内容や目的につい…

特に小型犬に多い僧帽弁閉鎖不全症は、初期症状が目立ちにくく症状に気づかず進行しているケースが少なくありません 。心エコー検査では初期の弁の異常も発見でき、血液が逆流している様子やその程度も確認可能です 。早期発見により治療を始められ、犬への負担を軽減してQOL（生活の質）を高めることにつながります 。
その他にも三尖弁閉鎖不全症、大動脈狭窄症、肺動脈狭窄症、心房中隔欠損症、各種心筋症、動脈管開存症など様々な心疾患の診断が可能です 。心臓の各部屋の大きさや心筋の厚さ、異常構造物の有無も詳しく確認できるため、包括的な心臓の健康評価が行えます 。

参考）心臓の病気と検査について｜あおき動物病院 厚木｜犬猫の尿結石…

超音波検査による犬の腹部内臓診断

腹部超音波検査では、肝臓、腎臓、膀胱、脾臓、胃腸などの腹腔内臓器の詳細な評価が可能です 。臓器の形状や大きさの変化、腫瘍の有無、結石の存在、腹水の確認など、多角的な診断情報を得ることができます 。

参考）超音波検査でなにがわかるの？？

肝疾患では肝腫瘍、肝膿瘍、門脈体循環シャント、胆泥症、胆石症などが発見できます 。消化器疾患では胃・十二指腸炎、慢性腸症、腸重積、腸閉塞、膵炎などの診断に活用され、血液検査との併用でより確実な診断が可能になります 。
泌尿器系では腎結石や膀胱結石、腎臓・膀胱腫瘍、腎嚢胞、膀胱炎、ポリープなどを発見できます 。腎臓の血流機能評価や萎縮した腎の確認、腎盂・尿管の拡張状態なども観察でき、診断の大きな助けとなります 。

参考）犬,猫,超音波診断について – しらかば動物病院

また、内分泌・生殖器疾患では副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能異常、前立腺肥大、子宮蓄膿症などの診断にも超音波検査が重要な役割を果たしています 。

超音波検査の実施における犬の安全性と注意点

犬の超音波検査は基本的に鎮静や麻酔が不要で、痛みもなく、動物への負担が極めて少ない検査です 。現在の超音波技術により、血液検査では見つけられない心臓の異常や内臓に発生している病変も発見することができます 。

参考）わんにゃんドッグ始まります！✨エコー検査が重要✨

検査では、プローブを首・胸・お腹などに当てて臓器の状態を確認しますが、検査自体に痛みはありません 。多くの犬は看護師による保定のもと、静かに落ち着いて検査を受けることができます 。
ただし、慣れない環境で不安や恐怖を感じ、横になるのが難しい犬もいます 。そのような場合は、薬を使ってリラックスさせてから検査を行うこともありますが、事前に飼い主に十分説明し理解を得てから実施されます 。
腹部超音波検査では、食物が邪魔をして検査したい部位が隠れてしまうことがあるため、検査当日は絶食での来院が推奨されます 。また、膀胱が適度に満たされていると周囲の臓器も見やすくなるため、排尿のタイミングを調整することも重要です 。

参考）初めてでも大丈夫。犬の腹部エコー検査 入門ガイド｜岩吉 勇

超音波検査の費用体系と定期検査の重要性

犬の超音波検査費用は、検査部位や病院により異なりますが、腹部エコー検査で3,300円～4,620円程度、心臓エコー検査も同様の価格帯が一般的です 。心臓と腹部を同時に検査する場合は8,470円程度となることが多く、総合的な健康チェックとしては比較的リーズナブルな価格設定となっています 。

参考）診療料金

定期的な超音波検査は、特に高齢犬や心臓病になりやすい犬種にとって重要です 。シニア期や病気リスクの高い犬種では年1回以上の検査が推奨され、症状が出る前の段階で病気を発見できれば、治療の選択肢が広がり愛犬の負担を減らせる可能性が高まります 。

参考）【獣医師監修】犬猫の超音波検査でわかること

健康診断の一環として超音波検査を受ける場合、初診料や再診料が別途必要になることがあります 。また、極端に検査を嫌がる場合は鎮静処置が必要になることもあり、別途鎮静料（3,300～5,500円）が発生する場合もあります 。

参考）料金表

症状として嘔吐や下痢が続く、食欲不振、腹部の腫れ、異常な体重減少などが見られた際には、診断目的で超音波検査を行うことが効果的です 。早期発見により適切な治療計画の立案が可能となり、愛犬の健康寿命を延ばすことにつながります 。