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肘関節形成不全と犬の関節の健康維持

肘関節形成不全と犬の関節疾患

犬の肘関節疾患の概要
🩻

肘関節形成不全の基礎知識

大型犬に多い発育期の関節疾患で、症状や原因を理解することが重要です

症状と診断のポイント

跛行や痛みの見極め方から、早期発見につながる観察ポイント

🏥

治療とケアの方法

手術療法からリハビリまで、愛犬に最適な治療選択肢

肘関節形成不全の症状と特徴

犬の肘関節形成不全は、大型犬から超大型犬種で発症率が高い疾患です 。成長期の4~7ヵ月頃から前肢の跛行(はこう)が見られ、初期段階では休息後に立ち上がった時などに一時的な歩行異常が現れます 。

参考)特定非営利活動法人日本動物遺伝病ネットワーク href=”http://www.jahd.org/disease/about_knee” target=”_blank”>http://www.jahd.org/disease/about_kneeamp;raqu…

主な症状として以下が挙げられます。

  • 片側の前肢に体重をかけない状態
  • 歩行中の頭の上下運動(点頭運動)
  • 散歩を嫌がる、帰り道で座り込む
  • 両肘を外側に突き出したり、内側に縮める姿勢
  • 長時間の活動を避ける行動

    参考)犬の肘関節形成不全

症状は徐々に進行し、関節軟骨がすり減ることで関節の変形が起こり、持続的な痛みによって歩行困難となる深刻な病気です 。特にラブラドールレトリバーやバーニーズマウンテンドッグなどは発症率が高いとされています 。

参考)専門医療 犬の肘の病気|神奈川県西鎌倉の動物病院|小川犬猫病…

肘関節疾患の原因と病態

犬の肘関節は上腕骨、橈骨、尺骨の3つの骨で構成されており、肘関節形成不全は成長期における関節の不整から発症します 。発症原因については明確に特定されていませんが、遺伝的素因の関連性が強く疑われています 。

参考)整形外科(関節・神経疾患)のご相談は、富山の「ドリトル動物病…

肘関節形成不全には主に4つのタイプがあります。

内側鈎状突起離断症(FMCP) – 尺骨の内側鈎状突起が分離または離断する病態で、無症状から中程度の跛行まで様々な症状を示します 。
肘突起癒合不全(UAP) – 5~6ヶ月齢を過ぎても肘突起と尺骨近位骨幹の癒合が完了しない状態で、肘突起に負担がかかり疼痛が発生します 。
離断性骨軟骨症(OCD) – 成長期に上腕骨内側顆の軟骨が分離し、関節内に遊離することで疼痛を引き起こす病態です 。
肘関節不整合 – 橈骨・尺骨の成長不均衡により関節内に異常なギャップが生じる病態で、関節面の適合性に問題が生じます 。

肘関節疾患の治療法と手術オプション

治療は内科的治療と外科的治療に大別されます。内科的治療では、動物の痛みを軽減する目的で非ステロイド性抗炎症薬および軟骨保護薬を使用しますが、これは根本的な治療ではありません 。

外科的治療には以下の方法があります。

関節鏡下手術 – 肘関節の内側に2箇所(約2~5mm)の小さな切開を加え、関節鏡と器械を挿入して病変を処置する低侵襲な手術法です 。
直視下手術 – 約3~7cmの切開を加えて関節を十分に開放し、直接病変を確認・処置する方法です 。
CUE手術(部分的関節置換) – 関節軟骨が欠損してしまった最終ステージに対して、痛みを軽減し進行を遅らせる目的で行われる関節面の部分的置換手術があります 。この手術に関する欧米の飼い主様アンケートでは、術後結果として「満足・許容できる」が全体の約90%という報告があります 。

参考)犬における最終ステージの肘関節疾患への対応|神奈川県西鎌倉の…

治療しない場合、症状の発現と消失を繰り返した後に症状が持続的に発現するため、適切な検査による早期診断と治療が重要です 。

肘関節疾患の予防と日常管理

肘関節疾患の予防には複数の要因への対策が必要です。体重管理は最も重要な要素の一つで、体格に合った適正体重の維持により関節への負荷を軽減できます 。去勢・避妊手術をした犬は体重が増えやすい傾向があるため、特に注意が必要です 。

参考)https://www.hash-hugq.com/dog/article/detail/id=5600

運動管理では、過度な運動や肥満による関節への負荷を避けるため、犬種や体格、年齢を考慮した適度な運動を取り入れることが大切です 。かかりつけの獣医師に相談しながら、愛犬に合った運動量を把握しましょう。

環境整備も重要な予防策です。

  • フローリングには滑り止めマットやカーペットを敷設
  • ソファや階段にはスロープや柵を設置
  • 爪や肉球周りの毛の適切なお手入れ
  • 温度管理への配慮

肘タコの予防も見逃せません。大型犬に多い肘タコは、硬い床と肘の接触により皮膚が角質化した状態で、一度形成されると元に戻すことは困難です 。クッション性のある寝床の使用や、長袖の洋服・肘サポーターの着用により予防できます 。

参考)大型犬に多い「肘タコ」の原因と予防法とは?

肘関節疾患のリハビリテーションとサプリメント

手術後のリハビリテーションは機能回復に重要な役割を果たします。水中療法やバランスディスクを使用した運動により、筋力向上と関節可動域の改善を図ります 。リハビリテーションプログラムには以下が含まれます:

参考)リハビリブログ Part.11 『肘の変形性骨関節症に対する…

関節サプリメントも健康維持に有効です。グルコサミンコンドロイチンは軟骨構成成分として関節機能を健康に保ち、正常歩行をサポートします 。フィッシュオイルやクリル由来のオメガ3脂肪酸には抗炎症作用があり、関節の炎症に対して効果が期待されます 。

参考)https://item.rakuten.co.jp/pet-ppt/10006017/

効果的なサプリメント成分

  • グルコサミン・コンドロイチン・ヒアルロン酸
  • EPA・DHA(オメガ3脂肪酸)
  • 銀杏葉エキスとビタミン類
  • カルシウムなどのミネラル

これらの成分は関節の健康維持や回復をサポートし、長期的な継続摂取により効果を発揮します 。
定期的な健康診断による早期発見と適切なケアにより、愛犬の関節の健康を維持し、質の高い生活を送らせることが可能です 。