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アルブミンと犬の健康状態の見極め方

アルブミンと犬の健康状態

犬のアルブミン基本情報
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血液検査項目

肝臓で合成される最も重要な血液タンパク質

⚖️

正常値の目安

2.5~3.5g/dlが一般的な基準範囲

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健康状態の指標

栄養状態や内臓機能を反映する重要なマーカー


アルブミンは、愛犬の健康状態を把握するうえで欠かせない血液検査項目の一つです。肝臓で合成されるこのタンパク質は、血管内の水分保持や栄養素の運搬といった生命維持に不可欠な機能を担っています。血液検査でアルブミン値を測定することで、肝機能や腎機能、栄養状態などを総合的に評価することが可能です。

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正常なアルブミン値は犬において2.5~3.5g/dlとされていますが、検査機関や動物病院によって基準値に若干の違いがあります。例えば、A病院では2.1~3.6g/dl、B病院では2.5~3.5g/dlといったように、施設ごとに多少のバラつきが見られるのが現状です。

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アルブミンの半減期は犬では約8日間とされており、この値の変動は比較的緩やかに現れる特徴があります。そのため、急激な体調変化よりも慢性的な疾患の指標として重要視されています。

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犬のアルブミン正常値と基準範囲

犬のアルブミン正常値は一般的に2.5~3.5g/dlの範囲とされていますが、この基準値には施設間での違いが存在します。動物病院によっては2.1~3.6g/dlや2.2~4.0g/dlといった異なる基準を採用している場合もあります。

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検査方法としては、ブロモクレゾールグリーン(BCG)法が最も一般的に使用されています。しかし、この方法では炎症時にグロブリンと非特異的に反応し、偽高値を示す可能性があるため注意が必要です。

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正常値の判定において重要なのは、単純に基準範囲内にあるかどうかだけでなく、その犬の過去の数値との比較や経時的な変化を観察することです。例えば、以前3.3g/dlを維持していた犬が2.6g/dlに下がった場合、正常範囲内であっても何らかの異常が疑われます。
最新の研究では、犬種による基準値の違いも報告されており、狩猟犬種では他の犬種と異なるアルブミン基準値が設定される場合もあります。

アルブミン低下時の犬の症状と危険性

低アルブミン血症が発症すると、犬には様々な深刻な症状が現れます。最も特徴的な症状は、血管内の水分保持機能低下による浮腫(むくみ)、腹水、胸水の出現です。

参考)犬の蛋白漏出性腸症

アルブミン値が1.5g/dlを下回ると、腹水や胸水が生じる危険性が高まります。この状態では血管から周囲組織に水分が漏れ出してしまい、生命に関わる呼吸困難を引き起こす可能性があります。

参考)犬の蛋白喪失性腸症

消化器症状では、慢性的な下痢・軟便・血便が代表的な症状として挙げられます。また、体重減少や元気消失といった全身症状も顕著に現れます。

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さらに注意すべき点として、低アルブミン血症では傷の治りが遅くなり、血栓ができやすい状態になることが知られています。これは手術や外傷治療においても重要な合併症リスクとなります。

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犬のアルブミン低下の原因と疾患

犬のアルブミン低下には、大きく分けて3つの原因があります。第一に肝臓でのアルブミン合成能力低下、第二に体外への漏出、第三に栄養摂取不良です。

参考)犬のアルブミン値が低いと体の中で何が起こる?

肝機能低下による合成能力の問題では、肝硬変や重篤な肝炎が主な原因となります。肝臓の予備能は大きいため、アルブミン合成が著しく低下するのは肝機能が70-80%以上喪失した末期的な状態です。
体外漏出では、腎疾患による尿中への漏出(ネフローゼ症候群など)、消化管疾患による便中への漏出(蛋白漏出性腸症など)、出血による喪失が代表的です。
蛋白漏出性腸症は犬において比較的多く見られる疾患で、腸管からアルブミンが漏れ出すことで低アルブミン血症を引き起こします。この疾患では炎症性腸疾患(IBD)やリンパ管拡張症が原因となることが多いです。

参考)乳酸菌製剤が奏功した蛋白漏出性腸症の1例

栄養摂取不良では、長期間の低タンパク食や消化不良、吸収不良が原因となります。

アルブミン検査の意味と重要性

アルブミン検査は、犬の健康状態を総合的に評価する重要な指標として位置づけられています。この検査により、肝機能、腎機能、栄養状態、炎症の有無などを同時に把握することが可能です。

参考)血液検査データの見方

アルブミンの主な機能は、血漿膠質浸透圧の維持と各種物質の運搬です。ホルモン、脂肪酸、ビリルビン、カルシウム、薬物などの運搬を担っており、これらの機能低下は全身に影響を及ぼします。
検査結果の解釈では、アルブミン単独ではなく、総タンパク質(TP)やグロブリンとの比率(A/G比)も重要な判断材料となります。また、他の肝機能検査項目(ALT、ASTなど)や腎機能検査項目(BUN、クレアチニンなど)との組み合わせで総合的に評価されます。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7401625/

定期的なアルブミン検査により、無症状の段階での疾患の早期発見が可能になります。特に高齢犬や既往歴のある犬では、年1-2回の定期検査が推奨されています。

参考)[血液検査ってどういう意味があるの?【獣医師に聞く】血液検査…

犬のアルブミン改善と治療法

低アルブミン血症の治療は、原因疾患の特定と治療が最優先となります。しかし、薬物治療だけでは改善が困難な場合も多く、総合的なアプローチが必要です。

参考)蛋白漏出性腸症 – ガレン動物病院

食事療法では、高消化性で低脂肪の療法食が基本となります。消化器サポート食やi/d low fatなどの処方食が一般的に使用されています。また、アミノ酸サプリメントの併用により、アルブミン合成を促進する治療法も注目されています。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10277565/

プロバイオティクス療法も有効な選択肢の一つです。実際の症例では、2年以上ステロイド治療を行っても改善しなかった低アルブミン血症が、プロバイオティクスサプリメント単独でコントロール可能になった例が報告されています。

参考)慢性下痢症および低アルブミン血症の治療例の紹介 – 狭山動物…

補完的治療として、腸を温める温活食、適度な運動による筋肉量維持、マッサージによる血流改善なども推奨されています。これらの方法は、体温上昇と免疫力向上により、根本的な体質改善を目指すものです。
アミノ酸製剤では、特にロイシンがアルブミン合成促進と筋肉量増加に有効とされており、低アルブミン血症やサルコペニア対策に使用されています。

参考)アミノピュアー | 白石動物病院前院長の情報ページ