着色料と犬の健康への影響
着色料が犬の健康に及ぼすリスク
ドッグフードに使用される着色料、特に人工的な合成着色料は、愛犬の健康に深刻な影響を与える可能性があります 。これらの着色料は石油由来の化学物質から製造されており、実験用ラットを使った生体検査でも健康被害が確認されています 。
参考)https://coco-gourmet.com/archives/2
主な健康リスクとして、発がん性の危険が指摘されています 。赤色2号(アマランス)や赤色3号(エリスロシン)などの合成着色料は、長期間の摂取により癌のリスクを高めるとされ、一部の国では食品への使用が禁止されています 。特に、赤色3号は甲状腺の腫瘍増加や赤血球数の減少を引き起こすという研究結果も報告されています 。
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肝臓や腎臓への負担も深刻な問題です 。着色料は犬の体内で分解・代謝される際に、これらの臓器に無用な負担をかけ、長期的な健康障害につながる恐れがあります。また、免疫力の低下や成長抑制といった症状も報告されており、特に成長期の子犬にとっては深刻な影響を与える可能性があります 。
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着色料によるアレルギー反応とその症状
合成着色料は、犬にアレルギー反応を引き起こすリスクが高いことが知られています 。特に、タール系色素と呼ばれる人工着色料は、アレルゲンとして作用し、愛犬の体に様々な症状を引き起こします。
最も一般的な症状は皮膚トラブルです 。着色料に反応した犬は、皮膚の痒み、発疹、湿疹などの皮膚炎を発症することがあります。これらの症状は慢性化しやすく、継続的な治療が必要になる場合も少なくありません。
消化器系の症状も頻繁に報告されています 。嘔吐や下痢といった急性症状から始まり、慢性的な胃腸の不調へと発展することもあります。黄色4号(タートラジン)は特に、喘息や蕁麻疹を引き起こしやすいとされ、呼吸器系のアレルギー反応も注意が必要です 。
涙やけとの関連性も指摘されています 。着色料がアレルゲンとして作用することで、涙の分泌量が増加し、目の周りの毛が変色する涙やけを引き起こす可能性があります。この症状は見た目の問題だけでなく、愛犬の不快感や二次感染のリスクも伴います。
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犬の色覚と着色料の必要性について
犬の色覚の仕組みを理解すると、ドッグフードの着色料がいかに不要であるかが明確になります。近年の研究により、犬は完全な色盲ではなく、限定的な色覚を持つことが判明しています 。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5717654/
犬が認識できる色は「青・黄・グレー」の3色のみです 。人間が持つ3種類の錐状体細胞に対し、犬は2種類しか持たないため、赤と緑の区別が困難で、これらは黄色やグレーとして認識されます 。この色覚は、人間の赤緑色盲と同様の特性を持っており、石原表を用いた実験でも確認されています 。
犬は視覚よりも嗅覚を重視して食事を判断します 。フードの色や見た目ではなく、匂いによって食べる・食べないを決定するため、着色料による色の変化は犬にとって全く意味がありません 。
着色料の使用目的は、実際には犬ではなく飼い主の購買心理を刺激することです 。カラフルで美味しそうに見えるフードは、飼い主にとって魅力的に映りますが、犬自身にとっては何のメリットもありません。むしろ、健康リスクを高めるだけの不要な添加物と言えるでしょう。
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安価なドッグフードと着色料の関係
安価なドッグフードほど着色料が使用される傾向が強いのには、明確な理由があります 。コストを抑えるために質の低い肉や大量の穀物を使用した結果、フード本来の色が悪くなりがちになるためです。
低品質な原材料を使用したフードは、本来茶色や灰色に近い色合いになることが多く、これを「美味しそう」に見せるために人工着色料で色を整えているのが実情です 。主原料が穀物中心で肉の配合量が少ない製品では、特にこの傾向が顕著に現れます。
着色料には品質劣化を隠す効果もあります 。酸化や腐敗が進んでも見た目の変化がわかりにくくなるため、鮮度が落ちていても消費者が気づきにくくなってしまいます。これは、愛犬に劣化したフードを与えてしまうリスクにつながる深刻な問題です。
高品質なドッグフードでは、新鮮で良質な原材料を使用するため、着色料に頼る必要がありません。天然の色合いのばらつきは、むしろ無添加で安全な証拠とも言えるでしょう。フード選びの際は、価格の安さだけでなく、原材料の質と添加物の有無を必ず確認することが重要です。
着色料を避けるドッグフード選びの実践方法
安全なドッグフードを選ぶためには、パッケージの原材料表示を正しく読み取る技術が必要です 。原材料は配合量の多い順に記載されているため、先頭に記載されている食材が主原料となります 。肉類が最初に記載されているものを選び、「◯◯ミール」や「動物性油脂」といった曖昧な表記は避けましょう 。
避けるべき着色料の具体例として、二酸化チタン、赤色2号、赤色3号、赤色40号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号などが挙げられます 。これらの「色名+番号」の表記がある製品は選ばないことが基本です。一方で、ビートレッドやカラメル色素などの天然由来着色料は比較的安全とされています 。
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保存料についても注意が必要です 。BHA、BHT、エトキシキン、ソルビン酸カリウムなどの人工保存料ではなく、天然トコフェロール(ビタミンE)、ビタミンC、ローズマリー抽出物などの天然由来の酸化防止剤を使用した製品を選びましょう 。
参考)無添加ドックフードとは?安心して与えられるドッグフードの選び…
国産の無添加ドッグフードは、安全管理が徹底されているため安心感があります 。ただし、完全無添加のフードは存在しないため、犬の健康維持に必要なビタミンやミネラルが適切に添加されているかも確認することが大切です 。価格だけでなく、原材料の質と栄養バランスを総合的に判断して選択しましょう。
欧州食品安全機関による犬猫用着色料の安全性評価