CT検査と犬の診断における重要性
CT検査が犬の診断に必要となる主な症状
犬のCT検査は、レントゲン検査や超音波検査では診断が困難な疾患の発見に重要な役割を果たします 。特に以下のような症状が見られる場合、CT検査が推奨されます：
- 腹腔内の異常が疑われる場合：お腹の中の臓器に問題がある可能性
- 腫瘍の転移確認：がんの広がりや転移の有無を詳細に調査
- 口の中の腫瘍発見時：口腔内腫瘍の範囲や深達度の確認
- 慢性的な鼻炎や鼻血：鼻腔内の異常や腫瘍の存在確認
- 急な後肢麻痺：椎間板ヘルニアや脊椎の異常の診断
CT検査は腫瘍の形態診断に特に優れており、動物の高齢化に伴って死亡原因に占める割合が増している腫瘍性疾患の早期発見と治療に欠かせない検査となっています 。
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CT検査と犬の頭部疾患診断の特徴
頭部のCT検査は、犬の神経系疾患の診断において重要な検査方法です 。頭部の外傷、けいれん発作、意識の混濁、急激な性格や行動の変化、ふらつきやバランス感覚の異常など、脳の異常が疑われる症状に対して実施されます。
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頭蓋骨や脊椎の異常、脳出血の有無などを短時間で確認でき、MRIよりも費用が比較的抑えられることが特徴です 。実際の症例では、頻回の発作を主訴とする犬で無麻酔下のCT検査を実施し、脳の前部（嗅球）に腫瘍を発見したケースも報告されています 。
CT検査はX線を360度から連続的に照射し、断面や3D像を画像上に映し出します。特に鼻腔内疾患では、鼻の中は通常空気で満たされているため黒く映りますが、腫瘍組織は白く描出され、明確な診断が可能です 。
CT検査による犬の胸部と腹部の詳細診断
胸部CT検査は、主に肺・気管支やその他胸郭内の問題を調べるために実施されます 。特に呼吸器疾患が疑われる犬において、肺がん、肺転移、無気肺などの診断に有効です 。猫や小型犬の胸部であれば一回のスキャン時間は約2秒程度で完了し、動物への負担を最小限に抑えることができます 。
腹部CT検査では、様々な臓器の異常を包括的に評価できます 。腫瘍（肝臓・腎臓・脾臓・膵臓・副腎・膀胱・腸・リンパ節）、門脈シャント、結石（腎臓・膀胱・尿管）、捻転（胃・腸・脾臓）、消化管内異物などの診断に優れた効果を発揮します。
最新の研究では、腹部CT検査において仮想非造影画像（VNC）技術が開発され、造影後スキャンから計算により非造影画像を作成することで、麻酔時間の短縮と放射線被曝の軽減が可能になっています 。
参考）https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10722308/
CT検査費用と犬の体重別料金体系
犬のCT検査費用は、体重や検査内容によって異なる料金体系が設定されています 。一般的な費用構造は以下の通りです：
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体重別基本料金
- 5kg未満：約33,000円（税込）
- 10kg未満：約40,000〜45,000円
- 20kg未満：約45,000〜47,000円
- 30kg未満：約49,500〜50,000円
- 30kg以上：約55,000円以上
追加費用
- 造影検査：＋15,000〜27,000円
- 麻酔前検査（血液検査、レントゲン検査）：基本料金に含まれる場合が多い
- 全身麻酔費用：基本料金に含まれる場合と別途請求の場合がある
検査費用には施設による違いがあり、MRI/CTセット検査の場合は224,400円〜240,900円程度の高額になることもあります 。ペット保険の適用可能性についても事前に確認することが重要です。
CT検査における犬の麻酔リスクと安全管理
犬のCT検査では、正確な画像を得るために全身麻酔が基本的に必要とされます 。動物は人間のように検査の間じっとしていることができないため、検査中の動きによる画像のブレを防ぐためです。
麻酔の必要性と手順
- 鎮静剤の静脈内投与
- 気管挿管後の吸入麻酔
- 撮影時間は十数秒〜1分程度と短時間
安全管理体制
熟練した獣医師による麻酔前検査・麻酔中モニタリングを徹底実施します 。検査中は脈拍、動脈血酸素飽和度、血圧、呼吸状態、麻酔深度、体温などを常時監視し、危険性を最小限に抑える努力がなされています。
検査制限のある症例
妊娠中のペット、重度の腎不全や心疾患、造影剤に対する重度のアレルギー反応の既往がある場合は、CT検査を避ける必要があります 。ただし、症状や動物の性格によっては無麻酔でのスクリーニング検査も可能で、体重7kg以下の小型犬や猫であれば専用ケースを使用した無麻酔CT検査が実施されることもあります 。
参考）無麻酔CT検査のススメ