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皮脂腺と犬の皮膚腫瘍の関係性について

皮脂腺と犬の健康管理

犬の皮脂腺について知っておきたいポイント
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皮脂腺の基本機能

皮膚の健康維持と被毛の保護を担う重要な器官

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皮脂腺トラブルの症状

腫瘍形成や炎症による皮膚異常の早期発見

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適切な治療と予防

獣医師による診断と日常的なケア方法

皮脂腺犬の基本的な構造と機能

犬の皮脂腺は、皮膚の内部に存在する重要な分泌腺で、主に皮脂を分泌して皮膚と被毛の健康を維持しています 。皮脂腺から分泌される皮脂は、皮膚の表面にバリア機能を形成し、外部からの細菌や真菌の侵入を防ぐ重要な役割を果たしています 。

参考)犬と猫の皮脂腺腫瘍

皮脂腺は毛包に付属する腺組織として存在し、毛穴を通って皮膚表面に皮脂を分泌します 。この皮脂の分泌量や質は犬種によって大きく異なり、特にシーズー、プードル、ダックスフンドなどの犬種では皮脂の分泌が多い傾向があります 。

参考)皮脂ってなんですか? 〜犬猫の皮脂の役割とケア〜

皮脂腺が正常に機能することで、犬の皮膚は適度な潤いを保ち、被毛にも自然な光沢が生まれます。しかし、皮脂腺の機能に異常が生じると、さまざまな皮膚トラブルや腫瘍形成の原因となることがあります。

皮脂腺犬に発生する腫瘍の種類と特徴

犬の皮脂腺に関連する腫瘍は、皮膚腫瘍全体の6.8〜7.9%を占める非常に一般的な疾患です 。皮脂腺腫瘍には、発生頻度の高い順に皮脂腺過形成、皮脂腺上皮腫、皮脂腺腫、皮脂腺癌があります 。
皮脂腺過形成は犬の皮脂腺腫瘍の大部分を占め、特にミニチュア・シュナウザービーグル、プードル、コッカー・スパニエルなどの犬種でよく見られます 。これらの腫瘍は通常、直径1cm未満のいぼ状またはカリフラワー状の外観を呈し、四肢、体幹、眼瞼(まぶた)に好発します 。
皮脂腺上皮腫は主に頭部、特に眼瞼部分に発生し、シーズー、ラサ・アプソ、シベリアン・ハスキーなどの犬種で多く見られます 。一方、皮脂腺腫は比較的稀な良性腫瘍で、皮脂腺癌は悪性腫瘍として分類されますが、他の癌と比較すると転移率や再発率は低いとされています 。

皮脂腺犬における炎症性疾患の症状

皮脂腺炎(脂腺炎)は、犬の皮脂腺が免疫細胞によって攻撃され、最終的に破壊される疾患です 。この病気は秋田犬、プードル(トイ、スタンダード)で特に多く見られ、これらの犬種では常染色体劣性遺伝が関与しているとされています 。

参考)スタンダードプードルの脂腺炎

脂腺炎の主な症状として、鱗屑(フケ)や脱毛が挙げられます 。病気が進行すると、毛包円柱という角化物質により被毛が束になり、毛質は艶を失って脆くなります 。症状は局所的に発生する場合と全身に広がる場合があり、重症例では全身の毛量が著しく減少します 。

参考)脂線炎|アリアスペットクリニック 平塚湘南・西湘秦野

痒みについては、脂腺炎のみの場合はあまり発生しませんが、二次性に膿皮症を併発した場合には強い痒みが現れることがあります 。特に秋田犬では膿皮症が重症化しやすい傾向があるため、注意深い観察が必要です 。

参考)犬の『脂腺炎』とは|主な原因や皮膚にあらわれる症状、治療法ま…

皮脂腺犬の診断方法と検査手順

皮脂腺関連疾患の確定診断には、皮膚病理検査が不可欠です 。針生検は最初のステップとして用いられることが多く、麻酔を必要とせず犬への負担が軽いのが特徴です 。針生検により腫瘍性か炎症性かの判別が可能で、腫瘍の悪性度についてもある程度の予測ができます 。

参考)トイプードルの皮脂腺腫の一例|リバティ神戸動物病院

皮脂腺腫瘍が疑われる場合、組織生検や切除生検が選択されることもあります 。特に小さなしこりの場合は、診断と治療を兼ねて切除生検が行われることが一般的です 。切除された組織は病理検査に提出され、詳細な組織学的診断が下されます。
脂腺炎の診断では、臨床症状(鱗屑や脱毛、毛包円柱の存在)と好発犬種であることから疑いを持ち、皮膚病理検査によって確定診断を行います 。病理検査では、皮脂腺周囲の炎症細胞浸潤や皮脂腺の消失状態を確認し、疾患の進行度も評価されます 。

皮脂腺犬の治療法と管理方法

皮脂腺腫瘍の治療は外科的切除が基本となります 。良性腫瘍である皮脂腺腫では、十分な切除範囲を確保して摘出することで、局所再発を防ぐことができます 。小さな腫瘍であれば局所麻酔での切除が可能ですが、大きな腫瘍や悪性が疑われる場合には全身麻酔下での広範囲切除が必要になることがあります 。
脂腺炎の治療では、内服治療と外用治療を組み合わせて行います 。内服治療として免疫抑制剤のシクロスポリンが効果的とされており、ビタミンAや必須脂肪酸のサプリメントも併用されることがあります 。ただし、ステロイドは脂腺炎にはあまり効果がないとされています 。

参考)脂腺炎

外用治療では、角質溶解作用のある硫黄サリチル酸シャンプーを用いたシャンプー療法が重要です 。シャンプー後の保湿も必須で、プロピレングリコールやベビーオイル、セラミド配合の保湿剤などが使用されます 。治療は生涯にわたって継続する必要があり、定期的な獣医師のチェックが欠かせません 。

参考)犬の皮膚トラブル:べたつきやフケ(脂漏症)|ビルバックジャパ…