犬白血球少ない症状と治療
犬の白血球減少症は、愛犬の健康を脅かす重要な病気の一つです。白血球は体内の免疫システムにおいて重要な役割を果たしており、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る働きをしています。
白血球数が正常値より少なくなると、愛犬は感染症にかかりやすくなり、軽微な傷でも治りにくくなることがあります。特に好中球という白血球の一種が減少すると、細菌感染に対する抵抗力が大幅に低下し、生命に関わる重篤な感染症を発症する可能性が高まります。
犬白血球少ない主な症状
白血球減少症の犬に現れる症状は多岐にわたり、飼い主が注意深く観察することが重要です。
最も一般的な症状として、以下のようなものが挙げられます:
- 元気の消失 – いつもより活動量が減り、散歩を嫌がるようになる
- 食欲不振 – 好きな食べ物に対しても関心を示さなくなる
- 発熱の持続 – 体温が38.5℃以上の状態が続く
- 口腔内の炎症 – 歯茎の腫れや口内炎が頻繁に起こる
- 傷の治癒遅延 – 小さな傷でも治るのに時間がかかる
- 関節の腫れ – 足を引きずったり、関節に痛みを感じる様子を見せる
これらの症状が複数同時に現れた場合、白血球減少症を疑う必要があります。特に若い犬(4歳未満)では免疫介在性好中球減少症が発症しやすく、注意が必要です。
💊 病院での詳しい血液検査について知りたい飼い主様向け
犬白血球減少主な原因
犬の白血球減少には様々な原因があり、それぞれ異なる治療アプローチが必要となります。
感染症による原因
犬パルボウイルス感染症は、白血球減少を引き起こす代表的な感染症です。このウイルスは骨髄の造血幹細胞を攻撃し、白血球の産生を大幅に低下させます。感染初期には発熱があったりなかったりするため、見逃されがちですが、血液検査により白血球の著明な減少が確認できます。
免疫介在性疾患
免疫介在性好中球減少症(IMNP)は、犬の免疫システムが自分の好中球を攻撃してしまう病気です。この疾患は4歳未満の若い犬に多く発症し、1,000/μL未満の重篤な好中球減少を示すことが特徴的です。フレンチ・ブルドッグなどの特定品種での報告例もあり、遺伝的素因の関与も考えられています。
薬剤性骨髄抑制
抗がん剤治療や分子標的薬、放射線治療などは骨髄抑制を引き起こし、白血球減少の原因となります。これらの治療では造血幹細胞にダメージを与えるため、治療中の定期的な血液検査による監視が不可欠です。
血液疾患
急性リンパ芽球性白血病では、異常なリンパ芽球が骨髄を占拠することで、正常な白血球産生が阻害されます。この疾患は進行が早く、骨髄癌により貧血、血小板減少症、好中球減少症が同時に認められることが多いです。
犬白血球少ない治療方法
白血球減少症の治療は原因に応じて異なりますが、基本的には原因疾患の治療と支持療法の組み合わせで行われます。
免疫抑制療法
免疫介在性好中球減少症の場合、免疫抑制量のプレドニゾロンとシクロスポリンの併用療法が効果的です。治療開始から14〜19日程度で好中球数の回復が期待でき、多くの症例で良好な治療反応を示します。
支持療法
重度の好中球減少症では、二次感染予防のために広域スペクトルの抗菌薬投与が重要です。また、貧血や血小板減少を伴う場合は、新鮮全血輸血や濃厚血小板血漿輸血などの積極的な支持療法が必要となります。
化学療法
急性リンパ芽球性白血病の場合、多剤併用化学療法プロトコールが用いられます。しかし、予後は不良であることが多く、抗がん剤の副作用による更なる骨髄抑制にも注意が必要です。
🏥 好中球減少症の専門的な治療について
犬白血球減少予防管理方法
白血球減少症の予防と管理には、日常的な健康観察と定期的な血液検査が欠かせません。
定期健診の重要性
年1〜2回の定期健診において血液検査を実施することで、白血球数の変化を早期に発見できます。特に高齢犬や免疫疾患の既往がある犬では、より頻繁な検査が推奨されます。
感染予防対策
白血球減少症の犬では感染リスクが高いため、以下の対策が重要です。
- 混雑した場所や他の犬との接触を避ける
- 口腔ケアを定期的に行い、歯周病を予防する
- 傷がある場合は清潔に保ち、化膿を防ぐ
- ワクチン接種を適切に行い、感染症を予防する
栄養管理
免疫機能を維持するため、バランスの取れた栄養摂取が重要です。特にタンパク質、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛などの免疫機能に関わる栄養素を適切に摂取させることで、白血球の機能維持をサポートできます。
犬白血球減少検査診断方法
正確な診断のためには、複数の検査を組み合わせた総合的な評価が必要です。
血液検査による評価
完全血球計算(CBC)により白血球数と白血球分類を詳細に調べます。正常な犬の白血球数は6,000〜17,000/μLですが、5,000/μL未満を白血球減少症と定義します。特に好中球数が1,000/μL未満の場合は重篤な状態と判断されます。
骨髄検査
白血球減少の原因が骨髄にある場合、骨髄穿刺または生検により骨髄の状態を直接評価します。免疫介在性好中球減少症では骨髄における好中球産生は正常であることが多く、白血病では異常細胞の増殖が確認されます。
免疫学的検査
抗好中球抗体の検出により、免疫介在性機序の関与を調べることができます。また、フローサイトメトリーによる白血球表面マーカーの解析は、血液疾患の診断に有用です。
画像検査
胸部X線検査や腹部超音波検査により、リンパ節腫大や臓器浸潤の有無を評価します。これらの所見は白血病やリンパ腫の診断に重要な情報を提供します。
早期診断により適切な治療を開始することで、多くの症例で良好な予後が期待できます。愛犬に気になる症状がある場合は、速やかに獣医師に相談することが重要です。
💉 再生不良性貧血と白血球減少の関連について