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犬白血病の症状から予防対策まで愛犬を守る知識

犬白血病の基礎知識と症状

犬白血病の概要
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血液のがんの一種

骨髄で白血球ががん化し増殖する疾患で、急性と慢性に分類されます

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進行速度の違い

急性は数日で悪化、慢性は数ヶ月から数年かけて進行します

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発症傾向

リンパ性白血病が最も一般的で、がん全体では比較的まれな疾患です

犬の白血病は血液のがんの一種で、骨髄で白血球ががん化して異常に増殖する疾患です。犬ではリンパ球ががん化するリンパ性白血病が代表的で、急性リンパ芽球性白血病(ALL)と慢性リンパ性白血病(CLL)の2種類に分けられます。

急性リンパ芽球性白血病は、未成熟なリンパ球(リンパ芽球)ががん化し急速に進行する疾患です。一方、慢性リンパ性白血病は成熟したリンパ球ががん化したもので、進行は緩やかです。犬のがん全体で見ると白血病の発生は比較的まれですが、発症すると命に関わる深刻な病気です。

犬白血病の急性症状と特徴

急性リンパ芽球性白血病では、がん化したリンパ芽球が骨髄内で急速に増殖し、循環血中に入って脾臓や肝臓、腸などに侵入します。骨髄内では正常な血球産生が阻害されるため、以下のような症状が現れます:

  • 元気消失・食欲不振
  • 体重減少・嘔吐・下痢
  • 貧血による歯ぐきや舌の青白さ
  • 発熱・多飲多尿
  • リンパ節の腫大
  • 出血しやすさ・あざができやすさ

急性白血病は進行が非常に早く、すぐに治療を始めないと数日で末期を迎える可能性があります。5~6歳と比較的若い犬で発症することが一般的とされています。

犬白血病の慢性症状と診断

慢性リンパ性白血病の症例の多くは無症状であり、健康診断や麻酔前検査などで偶然発見されることが多いです。軽度の症状として以下のようなものが見られることがあります:

  • 軽度の元気消失・食欲減退
  • 下痢・リンパ節腫大
  • 可視粘膜や皮膚の蒼白
  • 脾腫や肝腫

血液検査では持続的なリンパ球増加症が特徴的で、これが慢性リンパ性白血病を疑う重要な手がかりとなります。高齢で発症することが一般的で、平均年齢は10~11歳とされています。

犬白血病の好発犬種と年齢

白血病の好発犬種として以下の犬種が挙げられています:

特にB細胞型慢性リンパ性白血病では、ケアーンテリア、シーズー、ジャックラッセルテリア、ビションフリーゼ、ポメラニアン、ミニチュアダックスフントなどの小型犬に好発する傾向があります。

急性リンパ芽球性白血病は5~6歳の比較的若い犬で、慢性リンパ性白血病は10~11歳の高齢犬で発症することが多いとされています。

犬白血病の診断と検査方法

白血病の診断には血液検査が基本となりますが、確定診断には骨髄検査が必要です。急性リンパ芽球性白血病では、末梢血中における幼若細胞の出現を伴った白血球増加が認められ、多くの場合で骨髄は過形成で白血球細胞が大部分を占めています。

慢性リンパ性白血病の診断では、持続的なリンパ球増加症が重要な指標となります。症例によってはリンパ球数が短期間のうちに進行性に増加することもあるため、定期的な血液検査による経過観察が重要です。

身体検査では、リンパ節の腫大、脾臓や肝臓の腫大、貧血による粘膜の蒼白などを確認します。また、がん化した細胞の浸潤により消化器症状や神経症状など様々な臨床症状が現れる可能性があります。

犬白血病の治療と予後

急性リンパ芽球性白血病の治療は、抗がん剤を用いた化学療法が中心となります。リンパ腫の標準的なプロトコールに基づき、多剤併用プロトコールが用いられます。重度の貧血や血小板減少症がある場合は、新鮮全血輸血や濃厚血小板血漿輸血を行い、好中球減少による二次感染の治療・予防のために広域スペクトルの抗菌薬を併用するなど、積極的な支持療法が必要です。

慢性リンパ性白血病では、症状が軽度でリンパ球増加の速度が緩徐な場合にはプレドニゾロンが第一選択となることが多く、治療反応性が認められたら徐々に減量し、可能であれば中止します。プレドニゾロンによる治療反応性が不十分な場合は抗がん剤が用いられることがあります。

生存期間の中央値は、T細胞型慢性リンパ性白血病では930日、B細胞型慢性リンパ性白血病では480日、異常な免疫学的表現型の慢性リンパ性白血病では22日とされています。

残念ながら白血病の予防方法は確立されておらず、定期的な血液検査による早期発見・早期治療が重要となります。日頃から愛犬の様子を観察し、気になる症状があれば早めに動物病院を受診することが推奨されます。