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犬息荒い原因と症状、病気の見分け方や対処法を解説

犬息荒い原因と対処法

犬の息が荒い時の対処ガイド
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正常な呼吸の確認

1分間の呼吸数が15-30回の範囲内で、規則正しいリズムかチェック

⚠️

病気のサインを見逃さない

舌の色が紫や白、異常な呼吸音、苦しそうな様子は緊急受診が必要

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適切な対処法の実践

涼しい場所への移動、ストレス除去、動物病院での早期診察

犬息荒い時の正常と異常の見分け方

犬の息が荒いとき、まず確認すべきは正常なパンティングか異常な呼吸かの判断です。犬は汗腺が肉球と鼻先にしかないため、体温調節を主に呼吸で行います。これを「パンティング」と呼び、口を開けてハアハアと浅く早い呼吸をする自然な現象です。

正常な呼吸の特徴:

  • 安静時の呼吸数:1分間に15~30回程度
  • 小型犬や子犬は比較的多く、大型犬は少ない傾向
  • 運動後や暑い環境で一時的に増加
  • 涼しい場所で休むと数分で落ち着く
  • 呼吸音が静か

異常な呼吸の警告サイン:

  • 涼しい環境で1分間の呼吸数が40回を超える
  • 苦しそうな様子や上を向いて呼吸している
  • 呼吸音が大きく、ヒューヒュー、ガーガーなどの異常音
  • 舌の色が白や紫に変色している
  • 安静時でも呼吸が荒い状態が続く

呼吸数の測定方法として、愛犬がリラックスしている時にお腹の動きを観察し、吸って吐くを1回として10秒間カウントし、それを6倍すると1分間の呼吸数が算出できます。

犬息荒い原因となる病気と症状

犬の息が荒くなる原因として、様々な病気が考えられます。特に心臓、肺、気管、鼻などの疾患が主な要因となります。

心臓疾患:

僧帽弁閉鎖不全症は高齢の小型犬に多く見られる疾患で、心臓内の左心房と左心室の間にある僧帽弁が正常に機能せず、血液が逆流する病気です。この病気により心臓が正常に働かず、肺に水が溜まる肺水腫を引き起こし、溺れている状態に近くなるため呼吸が荒くなります。

心室中隔欠損症は生まれつき心臓の壁に穴が空いている先天性疾患で、血液循環に異常をきたし呼吸困難を引き起こします。

呼吸器疾患:

肺炎は細菌感染や誤嚥が原因で肺に炎症が起こる疾患です。初期症状は現れにくく、息が荒くなるのは重症化した段階とされています。

気管虚脱は気管がつぶれて呼吸困難を引き起こす疾患で、特に小型犬に多く見られます。咳を伴うことが多く、進行すると命に関わる場合もあります。

短頭種特有の疾患:

フレンチ・ブルドッグ、パグ、ボストン・テリアなどの短頭種は「短頭種気道症候群」という疾患群にかかりやすく、狭窄性外鼻孔、軟口蓋過長症、気管虚脱などが含まれます。これらの犬種は構造上、鼻孔や気道が狭いため呼吸器トラブルを起こしやすい特徴があります。

その他の疾患:

犬息荒い時の暑さとストレス対処法

犬の息が荒くなる原因の多くは暑さやストレスによるものです。適切な対処法を知ることで、愛犬の負担を軽減できます。

暑さ対策:

犬は人間のように全身で汗をかけないため、暑い環境では体温調節のため呼吸が荒くなります。以下の対策が効果的です。

  • 速やかに涼しい場所への移動
  • エアコンで室温を適切に管理(22-26℃程度)
  • 低湿度環境の維持
  • 首輪や服を外して楽な体勢を確保
  • 新鮮な水をいつでも飲めるよう準備
  • 散歩時間を早朝や夕方の涼しい時間帯に調整

ストレス対処法:

犬は心理的ストレスでも呼吸が荒くなります。身体を震わせながらパンティングをしている場合は、ストレスを感じている可能性が高いです。

ストレスの主な原因と対策。

  • 環境変化(引っ越し、家族構成の変化)→段階的な慣らし
  • 騒音(花火、工事音など)→窓を閉める、安心できる場所の提供
  • 運動不足→適度な散歩とプレイタイム確保
  • 病院への恐怖→おやつやお気に入りのタオルで安心感を演出

応急処置のポイント:

ストレスサインを見逃さないことが重要です。頻繁なあくび、尻尾を腹の方へ丸める、よだれを垂らすなどの行動も併せて観察しましょう。飼い主が寄り添い、優しく声をかけることで安心感を与えることができます。

犬息荒い受診タイミングと動物病院での検査

犬の息が荒い症状で動物病院を受診すべきタイミングを正確に判断することは、愛犬の命を守る上で極めて重要です。

緊急受診が必要なケース:

  • 涼しい環境でも呼吸数が40回/分を超える
  • 舌や歯茎の色が紫色(チアノーゼ)や白色に変化
  • のけぞるように上を向いて呼吸している
  • 呼吸音が異常に大きい、ガーガー、ゼーゼー音
  • ぐったりして立ち上がれない
  • 意識がもうろうとしている

これらの症状が見られた場合は、様子を見ずに即座に動物病院に連絡し、緊急受診することが必要です。

動物病院での検査内容:

獣医師は以下の検査を組み合わせて診断を行います。

  • 血液検査:心臓マーカー、炎症反応、貧血の有無
  • レントゲン検査:心臓の大きさ、肺の状態、気管の異常
  • 心電図検査:心臓のリズム異常の確認
  • 超音波検査:心臓の動きや弁の機能評価
  • 気管支鏡検査:気管内部の直接観察(必要に応じて)

受診時の準備:

  • 愛犬の呼吸の様子を動画撮影しておく
  • 症状が始まった時期と経過の記録
  • 普段服用している薬があれば持参
  • 食事や排泄の状況をメモ

動画撮影は言葉では表現しきれない呼吸の異常を獣医師と共有する上で非常に有効です。

犬息荒い老犬の特別な注意点

老犬の息が荒い症状には、成犬とは異なる特別な配慮が必要です。加齢に伴う身体機能の変化を理解し、適切なケアを行うことが重要です。

老化による呼吸変化の特徴:

年齢を重ねると筋力や心肺機能が自然に衰え、若い頃は問題なかった軽い運動でもハアハア息をするようになります。これは正常な老化現象ですが、急激な悪化は病気のサインの可能性があります。

老犬特有のリスク要因:

  • 免疫力低下による感染症リスク増加
  • 心臓疾患の発症率上昇(特に小型犬)
  • 気管軟骨の衰えによる気管虚脱リスク
  • 腫瘍発生率の増加
  • 薬物代謝能力の低下

見逃してはいけない危険サイン:

老犬の場合、以下の症状は生命に関わる可能性があります。

  • 息の荒さが徐々に激しくなっている
  • 食欲不振と呼吸困難の併発
  • 夜間の呼吸困難(心不全の可能性)
  • 咳と血痰の出現
  • 急激な体重減少と呼吸苦

老犬への特別なケア:

  • 定期的な健康チェック(3-6ヶ月毎)
  • 適度な運動量の調整(無理をさせない)
  • 温度管理の徹底(暑さ寒さに敏感)
  • 栄養バランスの良い食事
  • ストレス軽減のための環境整備

老犬の息が荒い場合は、若い犬よりも早めの受診を心がけることが大切です。早期発見・早期治療により、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持することが可能になります。

老犬医療に詳しい獣医師の診察を受ける場合の参考情報。

公益社団法人日本獣医師会

また、老犬の最期が近い可能性がある場合の兆候として、呼吸の不規則化、激しい咳き込み、意識レベルの低下などがあります。このような状況では、愛犬の苦痛を最小限にするためのケアについて獣医師と相談することが重要です。