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犬の膀胱結石とは症状原因予防治療法

犬の膀胱結石の基礎知識と対処法

犬の膀胱結石とは?
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膀胱結石の定義

尿中のミネラルが結晶化して膀胱内に固まる病気

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主な症状

頻尿、血尿、排尿困難、腹痛などが現れる

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治療法

食事療法、薬物治療、外科手術による結石除去

犬の膀胱結石は、尿中に含まれるミネラルや化学物質が結晶化し、膀胱内で固形の結石を形成する疾患です。結石の大きさは数mmから数cmまで幅広く、表面がなめらかなものもあれば、ギザギザしていて膀胱の粘膜を傷つけるものもあります。これらの結石は膀胱の壁を刺激し、炎症や感染症を引き起こすことで、愛犬にとって非常に苦痛な症状をもたらします。

膀胱結石は決して稀な病気ではありません。犬の下部尿路疾患の中でも一般的な疾患の一つであり、特に中高齢の犬で発症頻度が高くなります。結石が小さいうちは無症状のこともありますが、放置すると深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の発見と適切な治療が重要です。

犬の膀胱結石の主要な症状と見分け方

犬の膀胱結石の症状は多岐にわたりますが、最も頻繁に見られるのは頻尿です。愛犬がいつもより頻繁にトイレに行きたがる、または一回の排尿量が少なくなったという場合は要注意です。通常、健康な犬は1日に数回排尿しますが、膀胱結石がある犬は10回以上トイレに行こうとすることもあります。

血尿も膀胱結石の典型的な症状です。尿の色がピンクがかった色から濃い赤色まで、様々な程度の血液が混じることがあります。時には肉眼では分からないレベルの微量な血液が混じっていることもあり、これは尿検査によって初めて発見されることがあります。

排尿時の痛みも重要な症状の一つです。犬が排尿時に鳴いたり、普段と違う姿勢で排尿しようとしたり、排尿後に陰部を舐める行動が増えたりする場合は、排尿時に痛みを感じている可能性があります。

さらに深刻な症状として、尿が全く出なくなる尿閉があります。これは結石が尿道に詰まってしまった状態で、24時間以内に治療を受けないと命に関わる緊急事態です。愛犬が排尿の姿勢を取っても尿が出ない、お腹が張って苦しそうにしている場合は、直ちに動物病院を受診してください。

犬の膀胱結石の種類と特徴

犬の膀胱結石には主に2つのタイプがあり、それぞれ異なる特徴を持っています。youtube

ストルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)は、2000年以前は犬の膀胱結石の大部分を占めていました。このタイプの結石は細菌感染によって尿のpH値がアルカリ性に傾くことで形成されやすくなります。興味深いことに、ストルバイト結石は6歳までの若い犬に多く見られる傾向があります。youtube

一方、シュウ酸カルシウム結石は2000年以降に増加傾向にあり、現在ではストルバイト結石と同程度の発症率となっています。こちらは7歳以降の高齢犬に多く見られ、酸性尿で形成されやすいという特徴があります。youtube

この2つのタイプの結石は約90%を占めており、その他にも尿酸塩結石やシスチン結石などの稀なタイプも存在します。結石の種類によって治療方法が異なるため、正確な診断が治療成功の鍵となります。

犬の膀胱結石の原因と発症メカニズム

犬の膀胱結石の形成には複数の要因が関与しています。最も重要な原因の一つが尿路感染症です。細菌感染により尿のpH値が変化し、特にアルカリ性に傾くとストルバイト結石が形成されやすくなります。youtube

食事内容も結石形成に大きく影響します。ミネラルの過剰摂取、特にマグネシウムやリンの過剰摂取はストルバイト結石の原因となります。また、カルシウムや脂肪分の多い食事はシュウ酸カルシウム結石のリスクを高めます。人間の食べ物を与えることは、これらのミネラルバランスを崩す原因となるため注意が必要です。

水分摂取不足による尿の濃縮も結石形成を促進します。尿が濃縮されることで、尿中のミネラル濃度が高くなり、結晶が形成されやすくなります。特に冬場や運動量が少ない犬では、水分摂取量が減る傾向があるため注意が必要です。

遺伝的要因も無視できません。シーズーペキニーズパグフレンチブルドッグなどの短頭種は膀胱結石を発症しやすい傾向があります。また、小型犬の方が大型犬よりも発症リスクが高いとされています。

犬の膀胱結石の診断方法と検査

犬の膀胱結石の診断には複数の検査方法が用いられます。

尿検査は最も基本的で重要な検査です。尿中の血液、細菌、結晶の有無を確認し、尿のpH値を測定します。pH値は結石の種類を推定する重要な指標で、アルカリ性(pH7以上)の場合はストルバイト結石、酸性(pH6以下)の場合はシュウ酸カルシウム結石の可能性が高くなります。

レントゲン検査は結石の存在と大きさ、位置を確認するために行われます。特にシュウ酸カルシウム結石はカルシウムを多く含むためレントゲンで明瞭に確認できます。ただし、ストルバイト結石の場合はレントゲンでは見つけにくいことがあります。

超音波検査(エコー)はレントゲンで確認できない結石の検出に有効です。結石の大きさや形状、膀胱壁への影響をより詳細に観察することができ、結石の種類の推定にも役立ちます。

これらの検査を組み合わせることで、結石の種類、大きさ、位置を正確に把握し、最適な治療方針を決定することができます。

犬の膀胱結石の治療法と選択基準

犬の膀胱結石の治療法は、結石の種類、大きさ、犬の状態によって選択されます。

薬物療法は小さなストルバイト結石に対して効果的です。抗生物質による細菌感染のコントロールと、尿酸化剤による尿pH値の調整を行います。また、利尿剤や皮下点滴により尿量を増やし、小さな結石の自然排出を促すこともあります。この方法は犬への負担が少なく、結石が溶解する可能性もあるため、条件が合えば第一選択となります。

食事療法は治療と予防の両面で重要な役割を果たします。結石の種類に応じた処方食を与えることで、尿のpH値やミネラルバランスをコントロールします。ストルバイト結石には酸性食、シュウ酸カルシウム結石にはアルカリ性食が処方されます。また、水分摂取量を増やすためにドライフードをふやかして与えることも効果的です。

外科手術(膀胱切開術)は大きな結石や薬物療法が効果的でない場合に選択されます。膀胱を切開して直接結石を除去する方法で、確実に結石を取り除くことができます。手術は全身麻酔下で行われ、通常1-2時間程度で完了します。術後は抗生物質の投与と食事管理により再発を予防します。

緊急事態である尿閉の場合は、尿道に詰まった結石を除去するための緊急処置が必要です。尿道カテーテルによる結石の押し戻しや、必要に応じて尿道切開術が行われます。