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呼吸困難(犬)症状と治療方法完全ガイド

犬の呼吸困難症状と治療方法

犬の呼吸困難 重要ポイント
🚨

緊急症状の見極め

口を開けた呼吸、チアノーゼ、異常呼吸音は即座に病院へ

💊

治療アプローチ

内科療法から外科手術まで症状に応じた段階的治療

🛡️

予防と管理

体重管理、環境調整、ハーネス使用で発症リスク軽減

犬の呼吸困難初期症状と緊急性判断

犬の呼吸困難は命に関わる緊急事態となる場合があるため、飼い主が症状を正確に見極めることが重要です。
緊急性の高い症状

  • 口を開けて呼吸している(特に安静時)
  • 安静時呼吸数が1分間に40回以上
  • 舌や歯茎が青紫色になる(チアノーゼ
  • 「ゼーゼー」「ガーガー」という異常な呼吸音
  • 首を伸ばして息をしている
  • 落ち着かずソワソワしている
  • ふせやお座りを繰り返す

犬の呼吸困難は人間のように「ハー、ハー」という明確な音ではなく、むしろ呼吸が速くなり、横になって眠ることができず、不安・緊張などの行動として現れることが多いのが特徴です。
犬種による特徴
小型犬では気管虚脱による呼吸困難が多く見られ、「ガチョウが鳴くような音」を伴うことがあります。一方、短頭種(ブルドッグ、パグ、フレンチ・ブルドッグなど)では短頭種気道症候群による呼吸困難が起こりやすく、特に夏場に症状が顕著になります。
正常な犬の安静時呼吸数は1分間に15-30回程度であり、運動後や興奮時以外でこの数値を超える場合は注意が必要です。

犬の呼吸困難原因疾患と診断方法

犬の呼吸困難には様々な原因疾患があり、正確な診断が適切な治療につながります。
主要原因疾患
気管虚脱
小型犬に最も多く見られる疾患で、ヨークシャー・テリアチワワトイプードルポメラニアンマルチーズなどが好発犬種です。気管の軟骨が弱くなることで気管が潰れてしまい、乾いた咳や「ガーガー」という異音を伴う呼吸困難を引き起こします。
肺炎
細菌、ウイルス、真菌の感染や誤嚥により発症します。湿った咳、発熱、呼吸困難が主な症状で、重症化すると命に関わる可能性があります。初期症状は風邪と似ているため見逃されやすく、進行すると急激に悪化することがあります。
肺水腫
毛細血管から肺胞内へ血液の液体成分が過剰に漏れ出る疾患です。呼吸数の増加、開口呼吸が特徴的で、重症例では命に関わります。
心疾患
心不全などの心疾患が原因で肺に水が溜まり、呼吸困難を引き起こすことがあります。少し動いただけでも苦しそうな呼吸をする場合は心不全やフィラリア症の可能性があります。
診断方法
診断には主にレントゲン検査が用いられ、吸気と呼気の両方で撮影することで気管や肺の状態を詳細に観察します。気管虚脱では動的な評価のために透視画像検査や気管支鏡検査が行われることもあります。
血液検査、心電図検査、エコー検査なども併用して総合的に診断を行い、原因疾患を特定します。

犬の呼吸困難内科治療と薬物療法

犬の呼吸困難に対する内科治療は、原因疾患と症状の程度に応じて選択されます。
薬物療法の種類
気管支拡張剤
気管や気管支を広げることで呼吸を楽にする薬剤です。気管虚脱や気管支炎による呼吸困難に特に有効で、症状の緩和に重要な役割を果たします。
鎮咳薬
激しい咳を抑える薬剤で、気管への刺激を軽減し、呼吸を楽にします。ただし、痰の排出が必要な場合は使用を控えることがあります。
抗炎症剤(ステロイド)
気道の炎症を抑制し、腫れを軽減することで気道を広げる効果があります。副作用に注意しながら使用します。
抗生物質
細菌感染が原因の肺炎や気管支炎に対して使用されます。原因菌に応じて適切な抗生物質を選択します。
去痰剤
痰の排出を促進し、気道をクリアにする薬剤です。ネブライザーと併用することで効果が高まります。
治療の進め方
軽度の症状では内服薬による外来治療から開始し、経過を観察しながら薬剤の調整を行います。症状が重い場合は入院治療が必要となり、点滴や酸素療法と併用して薬物療法を行います。
内科療法はあくまでも対症療法であり、根治的な治療ではないため、症状の進行を抑えることが主目的となります。

犬の呼吸困難外科治療と酸素療法

重症例や内科治療に反応しない場合は、外科治療や酸素療法が必要となります。
外科治療
気管虚脱の手術
気管虚脱に対する外科治療には、気管の外側に補強材を取り付ける方法と、内側からステントを入れて補強する方法があります。外科手術は気管虚脱を完治させる唯一の方法ですが、合併症や期待通りに症状が改善しないことも稀にあります。
プロテーゼ法では気管の外側にリングを装着して気管を補強しますが、胸部の気管虚脱には適応できません。気管内ステント法では気管内に筒状の器具を設置して気管を押し広げます。
短頭種気道症候群の手術
軟口蓋過長症では不必要に長い軟口蓋を切除し、狭窄性外鼻孔では狭い鼻の穴を広くする手術が行われます。
酸素療法
空気よりも高濃度の酸素を吸わせることで、低酸素状態になっている組織に酸素を供給し、息苦しさを和らげる治療です。
酸素療法の方法

  • ICUケージでの酸素濃度調整
  • 酸素ハウスの使用
  • 自宅での酸素濃縮器レンタル

IPV療法
肺水腫、無気肺、難治性猫喘息、慢性気管支炎の治療で用いられる特殊な治療法です。麻酔をかけずに毎分60~400サイクルの高頻度陽圧換気をかけて気道系を振動させ、肺の中にたまった分泌物を除去します。
ネブライザー療法
薬剤や湿気を直接気管支に届けることで、気管支の炎症を和らげ、粘液の排出を助けます。

犬の呼吸困難予防法と生活環境改善

呼吸困難の予防には、日常的な生活環境の改善と健康管理が重要です。
体重管理の重要性
肥満は呼吸器に負担をかけるため、理想体重の維持が最も重要な予防法です。肥満は気管に余計な負担をかけ、症状を悪化させる可能性があります。
適切な食事管理

  • 獣医師と相談した適正カロリーの食事
  • 少量ずつ複数回に分けて給餌
  • 食事後の激しい運動を避ける

首輪からハーネスへの変更
首輪は気管に直接圧力をかけるため、ハーネスの使用が推奨されます。特に気管虚脱の予防や症状軽減に効果的です。
環境温度と湿度の管理
温度調整

  • エアコンの適切な使用
  • 夏場の散歩時間を涼しい時間帯に変更
  • 日中の散歩を控える

湿度管理
湿度が高いと体温調節が困難になるため、除湿器の使用も検討します。特に短頭種では、ジメジメした時期の湿度管理が重要です。
ストレス軽減対策
激しい運動や興奮状態は気管に負担をかけるため、適度な運動と興奮の管理が重要です。
環境改善の具体策

  • 空気清浄機の使用
  • 室内での喫煙を避ける
  • 刺激性のある香料や洗剤の使用を控える
  • 定期的な室内清掃

定期健診の重要性
早期発見・早期治療のため、定期的な獣医師の診察を受けることが推奨されます。特に小型犬や短頭種では、症状がなくても年1-2回の健診を受けることで、潜在的な問題を早期に発見できます。
日常観察のポイント
平常時の呼吸の速さと回数をチェックし、運動時との違いを把握しておくことで、異常の早期発見につながります。愛犬の正常な状態を知ることが、呼吸困難の予防と早期対応の基礎となります。