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狂犬病予防法及び家畜伝染病予防法に基づく犬の輸出検査申請書と動物検疫所の手続き

狂犬病予防法及び家畜伝染病予防法に基づく犬の輸出検査申請書について

犬の輸出検査申請の基本情報
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法的根拠

狂犬病予防法第7条および家畜伝染病予防法に基づく義務的手続き

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申請時期

輸出検査希望日の7日前まで(成田・羽田空港は10日前まで)

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必要書類

輸出検査申請書、健康診断書、予防接種証明書、相手国が求める各種証明書

犬を海外へ輸出する際には、狂犬病予防法および家畜伝染病予防法に基づく手続きが必要です。これは公衆衛生の観点から非常に重要な手続きであり、獣医療従事者として正確な知識を持っておくことが求められます。本記事では、輸出検査申請書の作成方法から提出までの流れ、さらには検疫の実際について詳しく解説します。

狂犬病予防法における犬の輸出検査の法的根拠と目的

狂犬病予防法は、狂犬病の発生予防、まん延防止、撲滅を目的として制定された法律です。同法第7条では「何人も、検疫を受けた犬等でなければ輸出し、又は輸入してはならない」と明確に規定されています。この検疫に関する事務は農林水産大臣の所管とされ、動物検疫所がその実務を担当しています。

狂犬病予防法の主な目的は以下の通りです:

  • 狂犬病の発生予防
  • 狂犬病のまん延防止
  • 狂犬病の撲滅
  • 公衆衛生の向上
  • 公共の福祉の増進

家畜伝染病予防法も併せて適用される理由は、犬がレプトスピラ症などの家畜伝染病の媒介者となる可能性があるためです。両法に基づく検疫を受けることで、国際的な動物の移動に伴う感染症リスクを最小限に抑えることができます。

狂犬病は一度発症すると致死率がほぼ100%に達する危険な人獣共通感染症であり、日本は現在、狂犬病清浄国として認められています。この状態を維持するためにも、輸出入時の厳格な検疫体制が不可欠なのです。

狂犬病予防法及び家畜伝染病予防法に基づく犬の輸出検査申請書の記入方法と注意点

輸出検査申請書の正確な記入は、スムーズな輸出手続きの鍵となります。申請書には以下の項目を漏れなく記入する必要があります:

  1. 犬の基本情報
    • 品種
    • 性別
    • 毛色
    • 生年月日
    • マイクロチップ番号(ISO規格に準拠したもの)
  2. 所有者情報
    • 氏名
    • 住所
    • 連絡先電話番号
    • メールアドレス
  3. 輸出に関する情報
    • 出国予定日
    • 輸出先国名
    • 輸送方法(航空機便名、船舶名など)
    • 輸出港(空港)
  4. 予防接種情報
    • 狂犬病ワクチン接種日
    • ワクチンの種類・ロット番号
    • 接種した獣医師の情報
  5. レプトスピラ症に関する情報(家畜伝染病予防法に基づく)
    • 検査実施日
    • 検査結果
    • 検査機関

申請書記入時の注意点:

  • 記入漏れがないよう、すべての項目を確認する
  • 犬の個体識別情報(特にマイクロチップ番号)は正確に記載する
  • 予防接種証明書や健康診断書の情報と一致させる
  • 輸出先国の要件に合わせた追加情報があれば記載する
  • 代理人が申請する場合は委任状を添付する

特に重要なのは、マイクロチップ番号の正確な記載です。番号の誤りがあると、輸出先国での入国審査時に問題が生じる可能性があります。また、予防接種情報については、ワクチンの有効期限内であることを確認し、接種日を正確に記載することが求められます。

犬の輸出検査申請書提出から動物検疫所での検疫までの流れと必要書類

輸出検査の申請から検疫証明書の取得までの流れは以下の通りです:

STEP1: 輸出先国の入国条件の確認

まず、輸出先国の入国条件を確認します。これは相手国の大使館や動物検疫機関に直接問い合わせるか、日本の動物検疫所のウェブサイトで確認できる場合もあります。入国条件は国によって大きく異なり、以下のような要件が含まれることがあります:

  • 事前許可(輸入許可証)の取得
  • 特定のワクチン接種
  • 血清検査(狂犬病抗体価検査など)
  • 外部・内部寄生虫の駆除
  • 滞在証明

STEP2: 必要な処置と証明書の取得

輸出先国の条件に基づき、必要な処置(予防接種、検査など)を実施し、それらの証明書を取得します。狂犬病抗体価検査が必要な場合は、農林水産大臣が指定する検査施設で実施する必要があります。

STEP3: 輸出検査申請書の提出

輸出検査希望日の7日前まで(成田空港または羽田空港の場合は10日前まで)に、以下の書類を動物検疫所に提出します:

  • 狂犬病予防法及び家畜伝染病予防法に基づく犬の輸出検査申請書
  • 開業獣医師発行の健康診断書
  • 予防接種証明書
  • その他輸出先国が要求する証明書

申請はNACCS(動物検疫関連業務)を通じて電子的に行うことも可能です。電子申請が難しい場合は、申請書を電子メールに添付して提出することもできます。

STEP4: 輸出検査の予約と実施

申請後、動物検疫所と検査日時を調整します。検査当日は、犬と共に動物検疫所に出向き、以下の検査を受けます:

  • 書類検査:提出された証明書等の確認
  • 臨床検査:獣医師家畜防疫官による健康状態の確認
  • 個体確認:マイクロチップ番号の読み取りによる個体識別

STEP5: 輸出検疫証明書の交付

検査に合格すると、動物検疫所から英文の輸出検疫証明書が交付されます。この証明書は輸出先国への入国時に必要となります。

検査の際には、以下の点に注意が必要です:

  • 検査には30分から1時間程度かかる(頭数や条件によってはさらに時間を要する)
  • 検査受付時間は通常8時30分から16時30分まで(要予約)
  • 書類の不備があると証明書が発行できない場合がある
  • 輸出検査時に提出書類の原本が必要

狂犬病予防法に基づく動物の輸出検疫証明書の内容と有効期間

動物検疫所が発行する輸出検疫証明書は、犬が狂犬病(およびレプトスピラ症)に感染していないことを証明する重要な文書です。この証明書には以下の情報が記載されます:

基本情報セクション

  • 証明書番号と発行日
  • 輸出者(所有者)の情報
  • 輸出先国名
  • 輸送手段の詳細

動物の詳細情報

  • 犬種
  • 性別
  • 年齢
  • 毛色
  • マイクロチップ番号
  • その他の個体識別情報

健康状態に関する証明

  • 臨床検査の結果
  • 狂犬病の兆候がないことの証明
  • レプトスピラ症の兆候がないことの証明(犬の場合)

予防接種情報

  • 狂犬病ワクチン接種日
  • ワクチンの種類・製造元・ロット番号
  • 有効期限
  • その他の予防接種情報(輸出先国の要件による)

追加検査情報(輸出先国の要件に応じて)

  • 狂犬病抗体価検査結果
  • その他の検査結果
  • 寄生虫駆除処置の詳細

証明書の有効期間は、一般的に発行日から10日間とされていますが、輸出先国の要件によって異なる場合があります。例えば、EU諸国向けの証明書は発行から10日間有効ですが、一部の国では5日間のみ有効な場合もあります。

証明書には家畜防疫官の署名と公印が付され、これにより公的な証明文書としての効力を持ちます。輸出先国によっては、この証明書に獣医師の署名を必要とする場合(例:オーストラリア、EU加盟国など)と、必要としない場合(例:アメリカ合衆国、韓国など)があります。

また、証明書は原則として英語で作成されますが、輸出先国によっては特定の言語での作成や、自国の様式に沿った証明書を要求する場合もあります。このような特殊なケースでは、事前に動物検疫所に相談することが重要です。

狂犬病予防法に基づく犬の輸出検査における獣医師の役割と最新の規制変更

獣医師は犬の輸出プロセスにおいて重要な役割を担っています。特に開業獣医師は、輸出検査申請の前段階で以下の業務を行うことが求められます:

1. 健康診断と証明書の発行

  • 犬の健康状態を詳細に検査
  • 狂犬病およびレプトスピラ症の臨床症状がないことの確認
  • 健康診断書の発行(品種、性別、毛色、生年月日、マイクロチップ番号などの個体情報を含む)

2. 予防接種と証明

  • 狂犬病ワクチンの接種
  • その他必要なワクチン接種(輸出先国の要件に応じて)
  • 予防接種証明書の発行

3. 検査サンプルの採取

  • 狂犬病抗体価検査のための採血
  • その他必要な検査のためのサンプル採取

4. 飼い主へのアドバイス

  • 輸出プロセスに関する情報提供
  • 輸出先国の要件に関する説明
  • 必要書類の準備についてのガイダンス

近年の規制変更として注目すべき点は以下の通りです:

電子証明書の導入

2023年以降、検査証明書は電磁的記録をもって代えることができるようになりました。輸出国政府機関から事前に通知がある場合、電子証明書が紙の証明書の代わりに認められるようになっています。これにより、手続きの効率化とペーパーレス化が進んでいます。

バベシア・ギブソニIFA検査の要件

一部の国では、バベシア・ギブソニIFA検査を求められるケースが増えています。この検査は日本国内での実施が限られているため、輸出予定がある場合は早めに出発予定空港の動物検疫所に相談することが推奨されています。

NACCSを利用した電子申請の推進

動物検疫関連業務のデジタル化が進み、NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を通じた電子申請が推奨されるようになっています。これにより、申請から証明書発行までの時間短縮が図られています。

新型コロナウイルス感染症の影響

パンデミック以降、一部の国では入国条件が厳格化され、追加の健康証明や検査が求められるケースが増えています。最新の要件を確認することが特に重要になっています。

獣医師として、これらの変更に常に対応できるよう、動物検疫所のウェブサイトや獣医師会からの情報を定期的にチェックすることが重要です。また、飼い主に対しては、輸出手続きには時間がかかることを説明し、余裕を持ったスケジュールを立てるよう助言することも大切です。

輸出検査の申請から証明書取得までの一連のプロセスをスムーズに進めるためには、獣医師と動物検疫所、そして飼い主との密接な連携が不可欠です。特に、証明書の内容に疑いや誤りがあると輸出検疫証明書が発行できない場合があるため、正確な情報提供と適切な処置の実施が求められます。

動物検疫所の公式サイト – 犬、猫を輸出するための詳細な手順と最新情報

また、獣医師が知っておくべき重要な点として、輸出検疫証明書に獣医師の署名を必要とする国(オーストラリア、EU加盟国など)への出国の場合は、獣医師家畜防疫官による検査が必要となります。この場合、通常よりも早めに(輸出検査希望日の7日前まで)申請し、検査時間の予約をすることが求められます。

近年の傾向として、各国の輸入条件が複雑化・厳格化している点も注目すべきです。例えば、一部の国では狂犬病抗体価検査の有効期間が延長されたり、マイクロチップの規格が厳密に指定されたりするなど、細かい要件が増えています。獣医師としては、これらの国別要件を正確に把握し、飼い主に適切なアドバイスを提供することが求められています。

最後に、輸出検査申請書の提出から検疫証明書の取得までの一連のプロセスは、飼い主に