PR

レッグ・ペルテス病症状と治療方法を詳しく解説

レッグ・ペルテス病症状と治療方法

レッグ・ペルテス病の重要ポイント
🐕

主な発症犬種

トイ・プードル、ポメラニアン、ウエストハイランドホワイトテリアなど小型犬に多発

⚕️

治療の選択肢

軽度なら内科治療、進行した場合は大腿骨頭切除術が効果的

🏃

予後と回復

早期治療とリハビリにより、ほとんどの犬が正常な生活に復帰可能

レッグ・ペルテス病の基本的な症状と原因

レッグ・ペルテス病は、大腿骨頭への血行障害により骨組織が壊死する疾患です。正式名称は「レッグ・カルベ・ペルテス病」または「大腿骨頭無菌性壊死症」と呼ばれ、人間の特発性大腿骨頭壊死症と類似した病態を示します。
好発犬種と発症時期

この病気は生後3~4カ月から1歳前後の若齢犬に多く見られ、特に小型犬での発症が圧倒的です。大型犬での発症は極めて稀とされています。患者の12~16%で両側性に発症することも報告されています。
初期症状の特徴
初期段階では以下のような症状が観察されます。

  • 散歩中に頻繁に立ち止まる
  • 足をかばうような歩き方
  • 片方の後ろ足を時々上げる
  • 運動や遊びを嫌がる傾向

進行すると症状はより顕著になり、持続的な跛行や筋肉萎縮が見られるようになります。

レッグ・ペルテス病の診断方法と検査

レッグ・ペルテス病の確定診断には、臨床症状の観察と画像診断が重要な役割を果たします。
診断の流れ

  1. 臨床症状の評価
    獣医師は愛犬の歩行パターンを観察し、左右の足の筋肉量を比較します。患側の筋肉萎縮や触診による痛みの反応を確認します。

  2. X線検査
    最も基本的な画像診断法です。レッグ・ペルテス病では以下の変化が確認できます。

    • 大腿骨頭の変形
    • 骨頭のモヤがかかったような像
    • 点状の骨頭像
    • 大腿骨頸部の肥大
  3. CT検査の必要性
    初期病変ではX線検査で変化が確認できない場合があるため、CT検査が推奨されることがあります。より詳細な骨構造の評価が可能で、早期診断に有効です。

鑑別診断の重要性
若齢の小型犬に多い膝蓋骨内方脱臼との鑑別が重要です。両疾患が併発することもあるため、責任病変の特定が治療方針決定において極めて重要となります。

レッグ・ペルテス病の治療選択肢と手術

レッグ・ペルテス病の治療は、病状の進行度と症状の重篤度に応じて選択されます。
内科治療
軽度の症状や初期段階では以下の保存的治療が検討されます。

  • 消炎鎮痛剤の投与
  • 運動制限(ケージレスト)
  • レーザー治療
  • 理学療法

ただし、内科治療は症状の緩和が主目的であり、根本的な治療ではありません。多くの症例で最終的に外科治療が必要になります。
外科治療:大腿骨頭切除術
進行した症例や内科治療に反応しない場合には、大腿骨頭切除術(FHO: Femoral Head Ostectomy)が推奨されます。
手術の特徴

  • 壊死した大腿骨頭を完全に除去
  • 偽関節の形成により機能回復
  • 周辺筋肉組織による支持機構の構築
  • 痛みの根本的な除去

手術により多くの患者は日常生活に支障がないほど良好に回復します。膝蓋骨内方脱臼を併発している場合は、同時に脱臼の修復手術も実施されることがあります。
手術のタイミング
慢性経過により重度の筋萎縮がある場合は早期手術が推奨されます。時間経過により筋肉萎縮が進行すると、術後のリハビリ期間が長期化する可能性があります。

レッグ・ペルテス病のリハビリと予後管理

手術後のリハビリテーションは、機能回復において極めて重要な要素です。
術後リハビリプログラム

  1. 早期リハビリの開始
    手術直後から段階的なリハビリを開始します。早期開始により機能回復が促進され、筋肉萎縮の進行を防ぎます。

  2. 理学療法の内容
    • 関節可動域訓練
    • 筋力強化運動
    • 水中歩行療法
    • マッサージとストレッチング
  3. 回復段階の管理
    第1段階(術後1-2週):安静とケージレスト
    第2段階(術後3-4週):短時間の歩行開始
    第3段階(術後6-8週):運動量の段階的増加

長期予後
適切な治療とリハビリにより、ほとんどの犬が正常な活動レベルに回復します。偽関節の形成により、体重支持と運動機能が十分に回復することが期待できます。
定期的な経過観察により、機能回復の評価と必要に応じた追加治療の検討を行います。

レッグ・ペルテス病の予防と飼い主ができること

現在のところ、レッグ・ペルテス病を完全に予防する確立された方法はありません。しかし、早期発見と適切な対応により、愛犬の予後を大幅に改善することが可能です。
家庭でできる観察ポイント

  • 歩行パターンの変化
  • 階段昇降時の違和感
  • 遊びや運動への意欲減少
  • 触診時の痛みの反応
  • 筋肉量の左右差

定期健康診断の重要性
好発犬種を飼育している場合は、年1回以上の定期健康診断を受けることが推奨されます。特に若齢期においては、骨関節系の詳細なチェックが重要です。
遺伝的配慮
本疾患には遺伝的要因の関与が示唆されているため、繁殖に際しては家系内での発症歴の確認が重要です。
環境管理
過度な運動や高所からの飛び降りなど、関節に負担をかける行動の制限も予防的措置として有効です。特に成長期の小型犬では、適切な運動管理が重要となります。
早期発見のためには、日常的な愛犬の観察と、異常を感じた際の迅速な動物病院受診が最も重要な要素です。症状が軽微な段階での診断と治療開始により、愛犬の生活の質を最大限に保つことができます。
日本小動物獣医師会による関節疾患のガイドライン
https://www.jsvetsci.jp/