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椎間板ヘルニア犬の症状と治療方法を徹底解説

椎間板ヘルニア犬の症状と治療方法

椎間板ヘルニア犬の基本情報
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症状のグレード分類

グレード1から5まで症状の重さで分類され、適切な治療法が決まります

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治療方法の選択

症状の程度により内科治療か外科治療かが決定されます

早期治療の重要性

グレード4までの治療開始で97-98%の改善率が期待できます

犬の椎間板ヘルニアは、脊髄を椎間板が圧迫することで起こる深刻な神経疾患です。特にミニチュアダックスフンドなどの軟骨異栄養性犬種に多く見られ、症状の程度によってグレード1から5まで分類されています。適切な診断と治療により多くの症例で改善が期待できるため、早期発見と迅速な対応が重要となります。

椎間板ヘルニア犬のグレード別症状の特徴

椎間板ヘルニアの症状は、脊髄への圧迫の程度により5段階のグレードに分類されています。

グレード1(痛みのみ)

  • 抱っこした際に「キャン」と鳴く
  • 段差の上り下りを嫌がる
  • 背中を丸めた姿勢を取る
  • 動きたがらない、元気がない

このグレードでは麻痺症状はなく、痛みのみが現れます。多くの飼い主様が最初に気づく症状でもあります。

グレード2(軽度の麻痺)

  • 足の力が弱くなる
  • 歩行時のふらつき
  • 足先の感覚が鈍くなる
  • 足先がひっくり返る(ナックリング)
  • まだ自力で立ち歩くことは可能

グレード2では軽度の麻痺が始まりますが、まだ歩行は可能な状態です。

グレード3-5(重度の麻痺)

  • 立ち上がることができない
  • 膀胱や肛門機能の障害
  • 尿が出せない、便を漏らす
  • 深部痛覚の消失(グレード5)

重度になると生活の質に大きく影響し、緊急の治療が必要となります。

椎間板ヘルニアには主に2つのタイプがあります。ハンセン1型は急性発症で軟骨異栄養性犬種(ミニチュアダックスフンド、トイプードルフレンチブルドッグ等)に多く見られます。一方、ハンセン2型は慢性進行性で大型犬(柴犬、ラブラドールレトリーバー等)に多く、比較的ゆっくりと進行します。

椎間板ヘルニア犬の内科治療と外科治療

椎間板ヘルニアの治療は、症状のグレードと犬の全身状態により選択されます。

内科治療の適応と方法

グレード1から2の軽症例では、まず内科治療が選択されることが多いです。

  • ケージレスト(厳格な安静): 10-14日間実施
  • 消炎鎮痛剤の投与: 非ステロイド性消炎鎮痛薬やステロイド
  • 運動制限: 食事や排泄時以外はケージ内で安静
  • 経過観察: 2週間後から短時間の散歩を開始

最近では、幹細胞を用いた再生医療も一部の動物病院で実施されており、損傷した神経機能の回復促進が期待されています。

外科治療の適応と術式

グレード3以上の重症例や、内科治療で改善が見られない場合に外科治療が選択されます。

  • 片側椎弓切除術: 腰部椎間板ヘルニアに多用
  • 腹側減圧術: 頸部椎間板ヘルニアに多用
  • 手術の目的: 脊髄を圧迫している椎間板物質の除去

手術は複数の術式があり、ヘルニアの部位と量、犬の症状、年齢、持病の有無を総合的に考慮して最適な術式が選択されます。

内科治療の成功率は比較的高く、グレード2以下の軽度症状では十分な改善が期待できます。ただし、症状が進行している場合は早期の外科的介入が重要となります。

椎間板ヘルニア犬の治療費と予後について

治療費の概要

椎間板ヘルニアの治療費は症状の程度により大きく異なります。

  • 内科治療: 1回あたり約4,500円
  • 年間通院回数: 約2回程度
  • 外科治療: 病院により大幅な差あり
  • 再発リスクが高く、継続的な治療費が必要

椎間板ヘルニアは一度発症すると再発のリスクが高い疾患のため、長期的な治療費を考慮する必要があります。多くのペット保険では補償対象となっていますが、一部で補償対象外となる場合もあるため、事前の確認が重要です。

予後と改善率

治療開始のタイミングが予後に大きく影響します。

  • グレード4まで: 約97-98%の改善率
  • グレード5: 約50%の改善率
  • 進行性脊髄軟化症: グレード4-5の約10%で発症、致死的

進行性脊髄軟化症は非常に深刻な合併症で、脊髄の病変が広がることにより生命維持に必要な神経も麻痺し、ほとんどのケースで死に至ります。このため、重度の症状が現れた場合は緊急の治療が必要となります。

リハビリテーションの重要性

手術後や内科治療中のリハビリテーションも重要な要素です。理学療法や水中歩行、鍼治療などが症状改善に役立つことがあります。また、コルセットの着用により背骨を安定させる治療法も併用されることがあります。

椎間板ヘルニア犬の予防法と日常管理

椎間板ヘルニアの完全な予防は困難ですが、発症リスクを軽減する方法があります。

日常生活での注意点

  • 激しい運動の制限: 急激な動作や高いジャンプを避ける
  • 体重管理: 肥満は背骨への負担を増加させる
  • 階段や段差の制限: 上り下りによる衝撃を避ける
  • 適切な抱っこ方法: 上半身だけでなく腰もしっかり支える
  • 狭い場所での長時間滞在を避ける: 背中を常に丸める姿勢を防ぐ

環境整備

  • スロープの設置により段差を解消
  • 滑りやすい床材の改善
  • 適切な高さのソファや家具の配置
  • 安全な運動スペースの確保

定期的な健康チェック

特に軟骨異栄養性犬種では、若いうちから椎間板の変性が始まるため、定期的な獣医師による検査が重要です。MRIやCTによる詳細な検査により、症状が現れる前に椎間板の状態を把握することも可能です。

適切な運動管理

完全に運動を制限するのではなく、適度で安全な運動を継続することが筋力維持と関節の健康に重要です。水中歩行や平坦な道での散歩など、背骨に負担をかけない運動方法を獣医師と相談して決めることが大切です。

椎間板ヘルニア犬の早期発見のポイント

椎間板ヘルニアの早期発見は治療成功率を大幅に向上させるため、飼い主による日常的な観察が極めて重要です。

行動変化の早期察知

  • 歩様の微細な変化: いつもより歩くスピードが遅い、歩幅が小さい
  • 姿勢の変化: 背中を丸める頻度の増加、頭を下げた姿勢
  • 活動性の低下: 普段好きな遊びや散歩を避けたがる
  • 食欲や排泄パターンの変化: ストレスや痛みによる影響

触診による早期発見法

飼い主でも安全に行える簡単な触診方法があります。背骨に沿って優しく触れ、特定の部位で痛がる反応を示す場合は要注意です。ただし、強く押したり無理に動かしたりしてはいけません。

犬種別リスク管理

軟骨異栄養性犬種(ミニチュアダックスフンド、トイプードル、フレンチブルドッグ、ウェルシュコーギービーグル)では、生後2-3年から椎間板の変性が始まることがあります。これらの犬種の飼い主は特に注意深い観察が必要です。

緊急受診の判断基準

以下の症状が見られた場合は緊急受診が必要です。

  • 突然立ち上がれなくなった
  • 後肢の完全な麻痺
  • 排尿・排便のコントロールができない
  • 激しい痛みで動けない状態

定期検診の活用

年1-2回の定期検診時に、神経学的検査を依頼することで、症状が現れる前の段階で異常を発見できる可能性があります。特に高リスク犬種では、予防的な画像診断(MRI)を検討することも有効です。

椎間板ヘルニアは早期発見・早期治療により良好な予後が期待できる疾患です。日常的な観察と適切な予防措置により、愛犬の健康な生活を維持することができます。症状に気づいた際は速やかに獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが最も重要です。

椎間板ヘルニアの詳細な治療法について – ONEどうぶつ整形外科センター