ワイヤーフォックステリア飼いにくい理由
ワイヤーフォックステリア性格と気質の特徴
ワイヤーフォックステリアが飼いにくいとされる最大の理由は、その強烈なテリア気質にあります。この犬種は元々キツネ狩りのために作出された狩猟犬であり、獲物を追い詰める執念深さと勇敢さが遺伝的に刻み込まれています。
主な性格的特徴:
- プライドが高く、神経質で喧嘩っ早い個体が多い
- 頑固で抜け目ない性格をしているため、しつけには忍耐が必要
- 飼い主にべったり甘えることも少ない独立心の強さ
- 負けず嫌いな面があり、売られたケンカは必ず買う主義
特に注意すべきは、撫でて欲しいくせに撫でようとすると「触るな!」と威嚇する天の邪鬼で可愛くない性格の子も多いという点です。これは初心者飼い主にとって非常に困惑する行動パターンといえるでしょう。
ワイヤーフォックステリア噛み癖と攻撃性の問題
ワイヤーフォックステリアの飼育で最も深刻な問題の一つが噛み癖です。昔の猟犬だった名残から、この犬種には噛み癖が多く見られ、子犬の頃に直しておかないと成犬になってもなかなか直りません。
噛み癖の特徴と対策:
- とにかく咬むことが大好きで、何か咬んでいないとイライラする
- 家具や絨毯、大事な洋服なども噛んでしまう可能性が高い
- 噛んで良いものをきちんと教えて理解させる必要がある
- 噛むとおやつが出てくるタイプのおもちゃを活用すると効果的
さらに深刻なのは、子どもへの攻撃性が高いことが分かっている点です。動きが素早く、エネルギッシュなために、幼い子どもがいるお宅には向かない、注意が必要だと専門家も警告しています。
身体の割に筋力が強く、遊び方もハードな絡みを好むため、小型犬と遊ぼうとするとどうしても襲っているように見えてしまい、他の犬との社交も限定的になりがちです。
ワイヤーフォックステリア吠え癖と無駄吠えの対策
狩猟犬として遠くのパートナーに獲物の位置を知らせていた歴史から、ワイヤーフォックステリアは甲高く大きな声で吠える傾向があります。この無駄吠えは近所迷惑になってしまうことも多く、マンションなどの集合住宅での飼育では特に注意が必要です。
無駄吠えの特徴と対処法:
- 狩猟犬時代の名残で遠くまで届く大きな声で吠える
- 「お腹が空いた」「散歩に行きたい」「遊んで」という要求吠えが多い
- 小さな物音や外の犬の声に反応しての警戒吠えも頻繁
- 要求吠えにすぐ対応せず、無反応で無視することが重要
すぐに対応してしまうと、吠えれば自分の要求が通ると思ってしまい、無駄吠えが悪化してしまうため、一貫した対応が求められます。
ワイヤーフォックステリア運動量と環境の要求
ワイヤーフォックステリアはかなりの運動量を必要とする犬種で、これが飼育の困難さを増す大きな要因となっています。運動不足はストレスの原因となり、破壊行動や問題行動を引き起こします。
必要な運動量と環境:
- 1日2回、1回1時間程度の運動が必要
- 散歩だけでなく、引っ張り遊びやボール遊びも必須
- ドッグランなどで思いっきり走らせることも重要
- 運動量が足りないと物を壊す破壊行動や吠えるなどの問題行動
狭い室内で飼うとストレスがたまってしまうので、庭のある環境で飼育するのがベストです。また、狩猟本能が強いため、脱走防止のために庭は柵で囲っておく必要があります。
比較的小さい体をしていますが、庭や家の中でも十分な遊べるスペースがあるとより良く、梅雨の時期はレインコートなどを着用し、十分に体を動かしてあげる配慮も必要です。
ワイヤーフォックステリア特殊ケアとプラッキングの困難さ
ワイヤーフォックステリアの飼育で多くの飼い主が予想していない困難が、特殊な被毛ケアの必要性です。この犬種は普通にハサミやバリカンでトリミングするのではなく、プラッキングという特殊な手入れが必要になります。
プラッキングの特徴と困難さ:
- 歯のついていないナイフで毛をむしるような手入れ方法
- プラッキングしないと毛質はふわふわでブラックやタンの部分の色が薄くなる
- できる技術者が少ないため一般的なトリミングに比べ高額
- 綺麗な毛質を維持したければ自分でも定期的な手入れが欠かせない
一般のトリマーさんの中には「ワイヤーはうちではお受けできません」とトリミングを断る方もいらっしゃるほど、専門性の高いケアが求められます。
日常的なケア要求:
- ブラッシングは2〜3日に1回程度必要
- 顔周りや脇の下、内股あたりは毛が絡まりやすく注意が必要
- シャンプー、耳掃除、肛門腺絞りは3週間〜1ヶ月に1度
- 皮膚疾患を防ぐために体を清潔に保つことが重要
さらに、ワイヤーフォックステリアは皮膚疾患を引き起こしやすいため、室内の湿度や生活環境の掃除などにも気をつける必要があり、湿度は高くなりすぎないように設定し、梅雨時期の換気や除湿などを心がける必要があります。