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角化異常 犬 の症状と原因 フケ ベタつき 対策

角化異常 と 犬 の 皮膚疾患

犬の角化異常の基本
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定義

角化異常は皮膚のターンオーバー(角化)に問題が生じる疾患で、フケやベタつきなどの症状が特徴的です

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発生頻度

猫よりも犬で頻繁に見られ、特定の犬種では遺伝的な傾向があります

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分類

原発性(先天性)と続発性(後天性)に分類され、それぞれ対応方法が異なります

角化異常 の 症状 と 犬 の フケ 問題

角化異常は犬の皮膚疾患の中でも特に多く見られ、皮膚のターンオーバー(生まれ変わり)に問題が生じる状態を指します。通常、健康な犬の皮膚は約3週間のサイクルでターンオーバーが行われますが、角化異常を持つ犬ではこのサイクルが著しく早くなり、結果として多量のフケが発生してしまいます。

正常な状態では、皮膚の基底層から細胞が順に姿や働きを変えながら表面に移動し、最終的に薄く平たくなって硬くなり角質細胞になります。しかし角化異常では、このサイクルが4~5倍にまで早くなってしまい、細胞の変化が追いつかず、角質の細胞間のつながりが弱くなります。

角化異常の主な症状には以下のようなものがあります。

  • 過剰なフケ(鱗屑)の発生
  • 皮膚や被毛のベタつき
  • 体臭の悪化
  • 皮膚の乾燥・ガサガサ感
  • 様々な程度の痒み
  • 皮膚の赤み(紅斑)
  • 被毛の艶の喪失
  • 脱毛

特に注目すべきは、症状のパターンとして「乾性」と「脂性」の2種類が存在することです。乾性の場合は、皮膚が乾燥し、銀白色で乾いた鱗屑(フケ)が特徴です。一方、脂性の場合は、皮膚や被毛がグリース状・ワックス状の質感で脂っぽくなり、特徴的な臭いを伴うことが多いです。

また、症状は背部、腋窩、鼠径部、四肢端などに左右対称性に現れることが多く、これらの症状が長期間続くと、犬にとって大きなストレスになるとともに、二次的な皮膚感染を引き起こす原因にもなります。

犬 の 角化異常 の 原因 と タイプ

犬の角化異常は、大きく分けて「原発性(先天性)」と「続発性(後天性)」の2つのタイプに分類されます。それぞれの特徴と原因を詳しく見ていきましょう。

【原発性(先天性)角化異常】

原発性角化異常は、遺伝的要因により発症する角化異常で、特定の犬種に好発する傾向があります。以下の犬種では特に注意が必要です。

  • アメリカンコッカースパニエル
  • イングリッシュコッカースパニエル
  • ウェストハイランドホワイトテリア
  • シーズー
  • ジャーマンシェパード
  • ダックスフンド
  • ラブラドールレトリーバー
  • バセットハウンド
  • ミニチュアシュナウザー
  • ワイアフォックステリア

これらの犬種では、若いうちから皮膚や被毛に多少のフケが見られ、年齢とともに徐々に症状が悪化していくケースが多いです。先天性角化症では幼少より発疹を認めることが多く、加齢とともに暫次悪化します。生まれつきの体質のため完全に治すことは難しく、継続的な管理が必要となります。

【続発性(後天性)角化異常】

続発性角化異常は、様々な外的・内的要因によって後天的に発症します。主な原因としては以下のようなものが挙げられます。

  1. 皮膚疾患:
  1. 内分泌疾患:
  1. 環境・スキンケア要因:
  • 不適切なシャンプー剤の使用
  • 過度なシャンプー
  • 環境の乾燥(特に冬季や暖房使用時)
  • 栄養バランスの偏り(特に脂肪酸、ビタミン、ミネラルの不足)

続発性の角化異常では、原因となる基礎疾患や要因を特定し、それを解決することで改善が期待できます。そのため、症状が現れた場合は、自己判断せずに獣医師の診察を受けることが重要です。

脂漏症 と 角化異常 の 関係 性

脂漏症(せびろうしょう)と角化異常は密接に関連しており、多くの場合、角化異常の一症状として脂漏症状が現れます。しかし、それぞれの病態生理学的なメカニズムには独自性があり、その関係性を理解することで、より効果的な治療アプローチが可能になります。

【脂漏症の基本メカニズム】

脂漏症は、角化異常症に分類され、過剰な鱗屑やクリーム状の質感を呈する皮膚や被毛が認められる状態です。犬の皮膚には毛包に付属する形で脂腺(皮脂腺)が存在し、通常は適量の皮脂を分泌して皮膚と被毛を保護しています。しかし、何らかの原因で脂腺の機能に異常が生じると、過剰に皮脂が分泌され「脂性脂漏症」として現れます。

一方、皮脂の分泌が不足すると皮膚が乾燥し、「乾性脂漏症」の状態になります。これらの状態は、単に皮脂の量の問題だけでなく、皮脂の質の異常も関与していることが重要です。

【角化異常と脂漏症の相互作用】

角化異常と脂漏症は「ニワトリと卵」の関係に例えられることがあります。角化異常により皮膚のバリア機能が低下すると、脂腺の働きにも影響を及ぼし、結果として脂漏症状が現れます。逆に、脂漏症により皮膚環境が変化すると、表皮細胞のターンオーバーに影響を与え、角化異常を引き起こすこともあります。

特に注目すべきは「マラセチア」と呼ばれる酵母様真菌の存在です。マラセチアは通常、犬の皮膚に常在していますが、皮脂が過剰な状態では異常に増殖し、角化異常を悪化させる要因となります。ベタベタのときはその皮脂をエサとして、皮膚常在のマラセチアが増殖して、角化症を悪化させていることが多く見られます。

【臨床的な見方】

獣医皮膚科の診療において、脂漏症と角化異常は時に「脂漏性角化異常」という複合的な診断名で表現されることがあります。この場合、両者の症状を総合的に評価し、原因に応じた治療戦略を立てることが重要です。

治療においては、角化調整剤と抗脂漏作用のある成分を組み合わせたアプローチが有効で、症例によっては抗真菌剤を併用することで、マラセチアの増殖をコントロールする必要があります。また、膿皮症や脂漏性皮膚炎の合併がよくみられる場合には、抗生物質や抗真菌剤が汎用されます。

犬 の 角化異常 の 治療 と シャンプー 療法

犬の角化異常の治療は、原因の特定と適切なスキンケアを組み合わせた総合的なアプローチが必要です。特にシャンプー療法は角化異常の管理において中心的な役割を果たします。

【原因疾患の治療】

角化異常が続発性の場合、まず原因となっている基礎疾患の治療が優先されます。

  • 細菌感染による膿皮症 → 抗生物質の投与
  • 真菌感染 → 抗真菌薬の投与
  • マラセチア過剰増殖 → 抗真菌薬(ケトコナゾールなど)の投与
  • 甲状腺機能低下症 → 甲状腺ホルモン補充療法
  • アレルギー → アレルゲンの特定と除去、抗アレルギー薬の投与

【シャンプー療法】

シャンプー療法は皮膚の状態を直接改善する効果的な方法で、症状のタイプに合わせて適切なシャンプーを選択することが重要です。

  1. 乾性角化異常(乾燥・フケが多い場合)。
  • イオウ含有シャンプー:角質溶解作用があり、過剰なフケを除去します
  • 保湿成分(セラミドなど)配合シャンプー:皮膚の水分保持を助けます
  • サリチル酸配合シャンプー:角質を柔らかくし、除去を促進します
  1. 脂性角化異常(ベタつきが強い場合)。
  • 抗脂漏シャンプー:過剰な皮脂を調整します
  • ベンゾイルペルオキシド配合シャンプー:脱脂作用と抗菌作用があります
  • 亜鉛ピリチオン配合シャンプー:マラセチアの増殖を抑制します
  1. 炎症を伴う場合。
  • フィトスフィンゴシン配合シャンプー:皮膚バリア機能を強化します
  • 抗炎症成分配合シャンプー:赤みやかゆみを軽減します

シャンプーの頻度は症状の重症度によって異なりますが、初期の治療段階では週2〜3回の頻度で行い、症状の改善に伴って徐々に頻度を下げていくことが一般的です。

シャンプー時のポイント。

  • 水温は35℃以下の温度で行う(熱すぎると皮脂を過剰に除去してしまう)
  • シャンプー液はよく泡立てて、皮膚に優しくマッサージするように塗布する
  • すすぎは十分に行い、シャンプー成分が残らないようにする
  • タオルで優しく水分を拭き取り、ドライヤーは弱めの温風で乾かす

【全身療法】

症状が重度の場合や、シャンプー療法だけでは改善しない場合には、以下のような全身療法が検討されます。

  • 必須脂肪酸サプリメント:皮膚バリア機能の改善を助けます
  • レチノイド薬:角化プロセスを調整します(重度の場合のみ獣医師の厳密な管理下で使用)
  • ステロイド剤:炎症が強い場合に短期間使用することがあります
  • シクロスポリン:免疫調整作用により角化異常を改善することがあります

【治療の注意点】

角化異常、特に原発性の場合は完全に治癒することは難しく、生涯にわたる管理が必要となります。治療の目標は症状のコントロールと犬の生活の質の向上に置かれます。また、治療効果は即効性がなく、改善までに数週間から数ヶ月かかることもあるため、根気強く継続することが大切です。

角化異常 を 持つ 犬 の 日常 ケア と 予防

角化異常を持つ犬の生活の質を向上させるためには、適切な日常ケアと予防策が欠かせません。継続的なケアによって症状を最小限に抑え、愛犬と快適に暮らすためのポイントを紹介します。

【栄養管理】

角化異常を持つ犬の皮膚健康を支える食事は非常に重要です。

  • オメガ3・オメガ6脂肪酸:皮膚のバリア機能を強化し、炎症を抑制する効果があります。EPA、DHAを含む魚油やリノール酸を含む植物油が