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腎盂腎炎犬症状と治療方法完全ガイド

腎盂腎炎犬症状と治療方法

腎盂腎炎の基本情報
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腎盂腎炎とは

腎臓の腎盂部分に炎症が起こり、腎機能障害を引き起こす感染症

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主な症状

食欲不振、発熱、元気消失、頻尿、血尿などが現れる

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治療方法

抗生剤投与と輸液療法を組み合わせた集中的な治療が必要

腎盂腎炎犬の初期症状と進行パターン

腎盂腎炎は犬の腎臓疾患の中でも特に注意が必要な感染症です。腎盂(じんう)は腎臓で作られた尿が集められる部位で、ここに細菌感染が起こると腎臓全体に炎症が広がります。
急性腎盂腎炎の初期症状として最も多く見られるのは以下の通りです。

  • 元気消失と食欲不振:普段より活動量が減り、好物も食べなくなる
  • 発熱:体温が上昇し、ぐったりした様子を見せる
  • 腹痛:特に腎臓周辺を触ると痛がる、背中を丸める
  • 排尿異常:頻尿、尿の濁り、強い臭い
  • 多飲多尿:水をたくさん飲み、尿の量も増える

症状の進行パターンには急性と慢性があります。急性腎盂腎炎では感染直後から1〜2日で激しい症状が現れ、膿汁や血液混じりの尿を多量に排出します。一方、慢性腎盂腎炎は症状が軽微で気づかれにくく、発見時にはすでに慢性腎不全に進行していることも少なくありません。
特に注意すべきは、感染していても症状を示さない個体が相当数存在することです。潜在的な感染率は表面上の発症率よりもはるかに高いと推測されており、定期的な健康チェックの重要性が指摘されています。

腎盂腎炎犬の原因と感染経路詳細

腎盂腎炎の原因として最も多いのは細菌感染で、その感染経路には主に2つのパターンがあります。
上行性感染(最も一般的)
膀胱炎などの下部尿路感染から細菌が尿管を通って腎臓に到達する経路です。特に慢性の細菌性膀胱炎では、治療が困難で腎盂腎炎に発展するリスクが高くなります。
血行性感染(稀)
感染性心内膜炎や歯根膜炎など、体の他の部位の感染巣から血液を介して細菌が腎臓に運ばれる経路です。頻度は低いものの、全身の免疫状態が低下している場合に起こりやすくなります。
腎盂腎炎の発症リスクを高める基礎疾患には以下があります。

  • 尿路結石:尿の流れを阻害し、細菌増殖の温床となる
  • クッシング症候群:免疫機能の低下により感染しやすくなる
  • 糖尿病:高血糖状態が細菌の増殖を促進する
  • 慢性腎不全:腎機能低下により感染防御機能が減退する
  • 免疫抑制剤の長期服用:薬剤による免疫力低下
  • 排尿障害:神経疾患による排尿困難

これらの基礎疾患を持つ犬では、定期的な尿検査による早期発見が特に重要になります。

腎盂腎炎犬の診断方法と検査項目

腎盂腎炎の正確な診断には複数の検査を組み合わせた総合的なアプローチが必要です。
基本検査項目

  • 尿検査:細菌の有無、血液混入、尿の性状を確認
  • 血液検査:腎機能指標(BUN、クレアチニン)、炎症反応(CRP)を測定
  • 触診:腎臓周辺の痛みや異常を確認
  • X線検査:腎臓の形状、結石の有無を確認
  • 超音波検査:腎盂の拡張、腎実質の状態を詳細に観察

特殊検査

  • 尿の細菌培養・感受性検査:原因菌の特定と最適な抗生剤の選択
  • 腎盂穿刺尿検査:腎盂腎炎の確定診断に用いられる最も確実な方法
  • X線造影検査:尿路の詳細な構造と機能を評価

診断のポイントとして、膀胱穿刺尿による尿培養検査の陽性と発熱やCRP上昇の組み合わせは腎盂腎炎を強く疑う根拠となります。ただし、腎盂拡張が軽度で腎盂穿刺が困難な場合も多く、そのような際は他の所見から総合的に判断し、診断的治療を開始することもあります。
検査結果の解釈には専門的な知識が必要で、獣医師は症状の重篤度、基礎疾患の有無、検査値の推移を総合的に評価して治療方針を決定します。

腎盂腎炎犬の治療法と薬物療法

腎盂腎炎の治療は細菌感染のコントロールと腎機能保護の2つの柱で構成されます。
抗生剤療法
治療の中核となるのは抗生剤投与です。尿または前立腺液の細菌培養・感受性検査により特定された原因菌に対して最も有効な抗生剤を選択します。血液あるいは尿から腎間質へ移行できる抗生剤の使用が必要で、投与期間は最低でも4週間継続します。
薬剤感受性試験の結果が出るまでは、経験的に有効性が高いと思われる抗生剤で治療を開始し、結果に基づいて必要に応じて薬剤を変更します。複数の抗生剤を併用することもあり、投薬中には定期的な尿培養検査で効果を確認します。
支持療法

  • 輸液療法:脱水状態や電解質異常の改善
  • 抗炎症薬:腎臓の炎症を抑制
  • 鎮痛剤:痛みや不快感の軽減
  • 食事療法:腎機能に配慮した特別食

外科的治療
尿路結石や閉塞がある場合は外科的処置が必要です。結石は細菌の温床となるため、尿路閉塞を起こしていなくても早期に除去します。尿管閉塞では腎盂ドレナージを兼ねて尿管ステント留置も考慮されます。
治療効果の監視
投薬終了後数日してから再度尿培養検査を実施し、陰性であることを最終確認します。治療中は腎機能の推移も注意深く監視し、急性腎不全や慢性腎不全の兆候があれば追加の治療を行います。

腎盂腎炎犬の予防対策と日常管理

腎盂腎炎の予防には基礎疾患の管理と感染リスクの軽減が重要です。
基礎疾患の管理
腎盂腎炎の発症リスクを高める基礎疾患の適切な治療と管理が予防の第一歩です。糖尿病やクッシング症候群などの内分泌疾患、慢性腎不全、尿路結石などは定期的な検査と継続的な治療が必要です。
環境管理

  • 清潔な飲水環境:新鮮な水を常に提供し、水容器を定期的に洗浄
  • トイレ環境の整備:清潔なトイレ環境を維持し、排尿を我慢させない
  • 適切な運動:定期的な散歩で排尿を促進
  • ストレス軽減:ストレスは免疫力低下の原因となるため、安定した生活環境を提供

定期健康チェック
早期発見のための定期的な尿検査が極めて重要です。特に高齢犬や基礎疾患を持つ犬では、6ヶ月に1回程度の尿検査を推奨します。尿の色、臭い、排尿の様子など、日常的な観察も欠かせません。
栄養管理
バランスの取れた食事で免疫力を維持することが重要です。腎臓に配慮した食事療法が必要な場合は、獣医師の指導に従って適切な療法食を選択します。
早期発見のサイン
以下の症状が見られた場合は速やかに動物病院を受診することが重要です。

  • 普段と異なる排尿パターン
  • 尿の色や臭いの変化
  • 食欲や元気の低下
  • 発熱や嘔吐
  • 腹部や腰部の痛み

腎盂腎炎は早期発見と適切な治療により予後は良好ですが、慢性化すると腎不全などの重篤な後遺症を残す可能性があります。日頃からの注意深い観察と定期的な健康チェックにより、愛犬の腎臓の健康を守ることができます。
獣医師による専門的な診断と治療の重要性
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