チワワがかかりやすい病気
チワワの循環器疾患の症状と対策
チワワが最もかかりやすい病気として、循環器疾患が挙げられます。中でも僧帽弁閉鎖不全症は、チワワを含む小型犬に非常に多く見られる心臓病です。
僧帽弁閉鎖不全症の症状と進行
この病気は心臓の僧帽弁が正しく閉まらなくなることで血液が逆流する疾患です。初期段階では症状がほとんど現れないため、飼い主が気づくのが遅れがちです。
興味深いことに、最近の研究では歯周病が僧帽弁閉鎖不全症の大きな要因になっていることが明らかになっています。口腔内の細菌が血流に入り、心臓の弁に炎症を起こすことが原因と考えられています。
予防と管理のポイント
循環器疾患の予防には以下の対策が効果的です。
- 定期的な健康診断での聴診
- 口腔ケアの徹底（歯磨き、デンタルケア）
- 適正体重の維持
- 適度な運動（過度な運動は避ける）
- ストレスの軽減
チワワの神経疾患の早期発見法
チワワは神経疾患のリスクが他犬種の1.4倍高く、特に水頭症とてんかんに注意が必要です。
水頭症の特徴と症状
水頭症は脳脊髄液が脳内に過剰に溜まり、脳を圧迫する病気です。チワワの場合、先天性の水頭症が大半を占めます。
症状として以下が見られます。
- 行動異常（ぼんやりする、反応が鈍い）
- けいれん発作
- 斜視
- 頭部の形状異常
- 泉門（モレラ）の異常
特にチワワの子犬では、頭頂部の泉門と呼ばれる柔らかい部分が通常より薄く、触ると穴が開いていることがあります。これは水頭症の重要なサインです。
てんかんの症状と対処法
てんかんはチワワに比較的多く見られる神経疾患です。アニコム損害保険のデータによると、8歳犬のてんかん請求割合は一般的に1.8％程度ですが、チワワでは3％近くに上昇します。
てんかん発作の典型的な症状。
- 突然の痙攣
- 意識の喪失
- 四肢の硬直
- 失禁
発作が起きた際は、犬を刺激せず静かに見守り、発作が収まったら速やかに動物病院を受診することが重要です。
チワワの呼吸器疾患の管理方法
気管虚脱は、チワワなど小型犬に特有の呼吸器疾患です。気管が押しつぶされるように変形し、呼吸困難を引き起こします。
気管虚脱の症状と進行段階
気管虚脱は軽度から重度まで段階的に進行します。
- 軽度：無症状または軽い咳
- 中度：運動時の咳、興奮時の呼吸困難
- 重度：安静時でも呼吸困難、チアノーゼ
チワワが頭部をのけぞらせてよく吠える習性も、気管虚脱を悪化させる要因となります。興奮や過度な運動は症状を悪化させるため、日常的な管理が重要です。
管理と予防のための対策
気管虚脱の進行を抑えるには以下の対策が有効です。
- 適正体重の維持（肥満は症状を悪化させる）
- 首輪よりもハーネスの使用
- 興奮させる状況の回避
- 暑い環境での運動制限
- 定期的な健康チェック
軽度の気管虚脱であれば、適切な管理により症状の進行を抑制できる場合も多くあります。
チワワの骨格・関節疾患の予防
チワワは体が小さく骨格が華奢なため、骨折や関節疾患のリスクが高い犬種です。
膝蓋骨脱臼（パテラ）の対策
膝蓋骨脱臼は、チワワなど小型犬に最も多く見られる整形外科的疾患です。膝のお皿が正常な位置からずれてしまう病気で、先天性の場合が多いですが、外傷によって起こることもあります。
症状のサイン。
- スキップするような歩き方
- 3本脚で歩く
- つま先立ちをする
- 膝の腫れ
- 立ち上がりの遅さ
骨折予防の重要なポイント
チワワの骨折は日常的な事故で起こりやすく、特に注意が必要です。
- 抱っこからの落下防止
- 高い場所からの飛び降り防止
- 滑りやすい床材の改善（カーペット使用）
- 階段の昇降制限
- 適正体重の維持
過去に骨折したチワワが数年後に別の足を骨折するケースも珍しくありません。一度骨折を経験した犬では、より慎重な環境整備が必要です。
その他の関節疾患対策
関節の健康維持には以下が効果的です。
- 適度な運動（過度な負荷は避ける）
- 関節サプリメントの検討
- 定期的な関節可動域チェック
- 早期発見のための定期健診
チワワの年齢別健康管理のポイント
チワワの健康管理は年齢に応じて重点を変える必要があります。ライフステージ別の特徴的な疾患リスクを理解し、予防的なケアを実践することが重要です。
子犬期（生後3ヶ月まで）の注意点
子犬期のチワワは低血糖症のリスクが非常に高くなります。体が小さいため血糖値の変動が激しく、以下の症状に注意が必要です。
- ぐったりとした様子
- 痙攣
- 意識の混濁
- 体温の低下
予防策として、少量頻回の食事や適切な環境温度の維持が重要です。
成犬期（1-7歳）の健康管理
成犬期は比較的安定していますが、この時期から心臓病の早期発見が重要になります。年1-2回の定期健診で聴診を受け、心雑音の有無をチェックすることが推奨されます。
また、歯周病の予防も心臓病予防の観点から重要です。毎日の歯磨きや定期的な歯科検診を習慣化しましょう。
高齢期（8歳以降）の重点管理
高齢期には多くの疾患リスクが上昇します。特に以下の点に注意が必要です。
- 心臓病の進行監視
- 気管虚脱の症状悪化
- 関節炎の管理
- 認知機能の変化
10歳を超えるチワワでは、6ヶ月に1回の健康診断が推奨されます。血液検査、心電図、レントゲン検査などの詳細な検査により、病気の早期発見と適切な治療開始が可能になります。
眼科疾患と皮膚疾患の管理
チワワは目が大きく突出しているため、角膜炎や流涙症（涙やけ）も起こりやすい疾患です。
角膜炎の症状。
- 目をしきりに気にする
- まぶしがる素振り
- 涙や目やにの増加
- 目の充血や混濁
流涙症は涙が過剰に分泌され、被毛が赤茶色に変色する状態です。鼻涙管の狭窄やアレルギーが原因となることが多く、根本的な治療が必要です。
肛門囊炎の予防と管理
小型犬のチワワは肛門周囲の筋力が弱く、肛門囊炎を起こしやすい傾向があります。定期的な肛門腺絞りにより予防が可能です。
症状のサイン。
- お尻を床にこすりつける
- お尻周りを舐める
- 排便時の違和感
月1回程度の肛門腺絞りを習慣化することで、炎症を予防できます。
チワワの健康管理には、犬種特有のリスクを理解した上での予防的なアプローチが重要です。定期的な健康診断と日常的な観察により、多くの疾患は早期発見・早期治療が可能になります。愛犬の健康を守るため、獣医師との連携を密にし、適切なケアを継続していきましょう。