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肺水腫とは犬の心臓病による呼吸困難症状

肺水腫とは犬の心臓病による症状

犬の肺水腫について
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心原性肺水腫

僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病が原因で肺に水が溜まる

⚠️

緊急性の高い症状

呼吸困難・咳・開口呼吸などの症状が急激に悪化

💊

治療と予防

利尿剤と酸素吸入による治療、定期検診による予防

肺水腫とは犬の呼吸器に起こる緊急症状

犬の肺水腫とは、肺胞内に液体が過剰に溜まってしまい、呼吸困難などの呼吸器症状を引き起こす病気です。肺に水が溜まることで酸素と二酸化炭素の交換ができなくなり、体内の酸素が不足して命に関わる危険な状態になります。

肺水腫の最も多い原因は僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病によるもので、これを「心原性肺水腫」と呼びます。心臓からうまく血液を送り出せなくなると血管内圧が上昇し、血漿成分が肺に滲み出てしまいます。

一方、心臓病以外が原因の「非心原性肺水腫」もあり、チョークチェーンによる首の圧迫や感電、煙の吸入などによって起こることがあります。

特に、中高齢の犬や小型犬ではリスクが高くなり、急激に悪化して最悪の場合は死に至ることもある緊急性の高い病気です。

肺水腫とは犬にどのような症状を引き起こすか

肺水腫の症状は、肺で酸素と二酸化炭素の交換ができなくなることによる酸素不足が原因で現れます。初期症状では不安や落ち着かない様子を見せ、散歩に行きたがらない、食事をしないなどの行動変化が見られます。

主な症状は以下の通りです。

  • 開口して呼吸をするようになる(パンティング)
  • 呼吸数が増える・呼吸が早くなる
  • 頻繁に咳をする
  • 口腔粘膜や歯茎が白くなる
  • 舌色が青紫色になる(チアノーゼ
  • 首を伸ばし前足を突っ張ったような座り方をする
  • 泡状の鼻水が出る

症状が軽い場合は運動時の軽い咳程度ですが、進行すると頻繁に咳をするようになります。呼吸が苦しいため横向きに寝られなくなったり、興奮時には咳や泡状の鼻水が出ることもあります。

呼吸を楽にしようと、肘を外側に向けた姿勢や首を伸ばした姿勢で呼吸するのも特徴的な症状です。

肺水腫の犬への原因と発症メカニズム

犬の肺水腫は、原因によって大きく2つのタイプに分けられます。

心原性肺水腫

最も多いタイプで、僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症などの心臓病が原因です。心臓のポンプ機能が低下すると心臓内に血液が停滞し、肺から心臓への血液の戻りも悪くなります。その結果、毛細血管がうっ血して液体成分が肺胞内へ滲み出し、肺水腫が生じます。

好発犬種としては、僧帽弁閉鎖不全症の好発犬種であるキャバリアキングチャールズスパニエルチワワトイプードルポメラニアンミニチュアダックスフンド、ヨークシャーテリアなどが挙げられます。

非心原性肺水腫

心臓病以外が原因のタイプで、代表例はチョークチェーンによる首の圧迫です。首輪で犬の首を締めすぎることで気道が閉塞します。その他、電気コードをかじって感電したり、焚火の煙を吸い込んで肺の毛細血管に炎症が起こったりすることも原因となります。

非心原性肺水腫は原因が多岐に渡るため、どの犬種でも起こり得ると言えます。

肺水腫とは犬にどのような治療を行うか

犬の肺水腫の治療は、まず肺にたまった水を抜くことから始めます。利尿剤を投与して液体を排出させるとともに、急性の肺水腫では酸素吸入を優先します。

救急治療

  • 酸素室での酸素吸入
  • 利尿剤による水分排出
  • 降圧剤による血管負担軽減

症状別治療

重度の肺水腫では酸素室での管理が必須となります。中等度の場合は、心臓の収縮力を高める強心剤や酸素を肺に送りやすくする拡張剤の使用が検討されます。

在宅緩和ケア

酸素ハウスの導入により、酸素濃度を適切に維持することで呼吸の負担を軽減できます。内服薬の投与が困難な場合は、皮下点滴による投薬に変更することもあります。

非心原性肺水腫で炎症が原因のケースでは、抗炎症作用の効果が期待できる薬剤で治療を進めます。

呼吸困難を起こしているケースは一刻を争う事態のため、できるだけ早く動物病院を受診することが重要です。

肺水腫の犬における独自視点での栄養管理と環境改善

肺水腫の犬にとって、従来の治療に加えて日常的な栄養管理と環境改善は重要な意味を持ちます。

栄養管理のポイント

心原性肺水腫の犬では、心臓への負担を軽減するために塩分制限が必要です。また、利尿剤の使用により失われやすいカリウムやマグネシウムなどの電解質のバランスを考慮した食事管理が求められます。

消化しやすい良質なタンパク質を適量摂取し、心臓の筋肉を維持することも大切です。タウリンやL-カルニチンなどの心筋に有益な栄養素を含む療法食の活用も検討できます。

環境改善の具体策

  • 室温と湿度の適切な管理(20-24℃、湿度50-60%)
  • 酸素濃度の維持(必要に応じて酸素発生装置の使用)
  • ストレス軽減のための静かな環境作り
  • 階段の上り下りなど心臓に負担をかける動作の制限

呼吸数モニタリング

自宅での呼吸数測定は早期発見に非常に有効です。安静時の正常な呼吸数は犬で10-30回/分程度で、これを超える場合は注意が必要です。

毎日同じ時間帯に測定し、記録をつけることで獣医師との診察時に貴重な情報となります。呼吸数の急激な増加は肺水腫の悪化サインの可能性があります。