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ホルモン調整薬(犬)種類と一覧【症状別治療薬選び方】

ホルモン調整薬犬種類一覧

犬のホルモン調整薬の主要カテゴリー
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甲状腺機能低下症治療薬

レボチロキシンやチロノームなど、不足している甲状腺ホルモンを補充する薬

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クッシング症候群治療薬

トリロスタンやケトコナゾールなど、過剰なコルチゾール分泌を抑制する薬

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偽妊娠・発情抑制薬

カベルゴリンやエンデースなど、ホルモンバランスを調整し問題行動を改善する薬


犬のホルモン調整薬は、体内で分泌されるホルモンのバランスが崩れた際に使用される重要な治療薬です。これらの薬は、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、偽妊娠など、様々なホルモン関連疾患の治療に不可欠な役割を果たしています。
犬のホルモンには、アミノ酸がつながって作られる「ペプチドホルモン」、コレステロールから作られる「ステロイドホルモン」、そしてアミノ酸の誘導体である「アミン型ホルモン」の3つの主要な種類があります。これらのホルモンバランスが崩れると、様々な症状が現れ、適切な調整薬による治療が必要となります。

ホルモン調整薬甲状腺機能低下症治療薬の種類

甲状腺機能低下症は、中高齢の犬に多く見られる疾患で、体内でホルモンの分泌が正常に行われず、ホルモン量が低下してしまう病気です。ゴールデンレトリーバーやシェルティーなどの犬種でなりやすいとされています。
主要な甲状腺機能低下症治療薬には以下があります。

  • レボチロキシン(サイロタブケイナイン) – 価格:2,600円~2,800円
    最も一般的に使用される甲状腺ホルモン補充薬で、犬用に特別に開発された製剤です。

  • チロノーム – 価格:3,800円
    甲状腺ホルモンT3を主成分とする治療薬で、効果が比較的早く現れるのが特徴です。

  • チロキシン – 価格:3,800円
    T4ホルモンを主成分とし、体内でT3に変換されて作用する長期間作用型の薬剤です。

これらの治療薬は、ホルモン補充療法として使用され、経口摂取するタイプの錠剤のため、飼い主が家庭で治療を継続できます。服用開始から効果が現れるまでの期間は症状により異なり、軽度の症状なら1週間程度で改善することが多いですが、脱毛や体重変化の改善には1ヶ月~数か月かかることもあります。
治療費用は、治療開始時には血液検査を含め1万円以上かかることが多いですが、薬の量が安定してくれば月当たり4,000円~8,000円程度となります。甲状腺機能低下症の治療薬は基本的に生涯投与が必要で、依存性はありませんが、服用をやめると体内のホルモン量が不足するため継続が重要です。

ホルモン調整薬クッシング症候群治療薬の詳細

クッシング症候群は、副腎皮質から過剰にコルチゾール(ステロイドホルモン)が分泌される疾患で、犬での発生が猫よりも圧倒的に多いとされています。この疾患には自然発生性と医原性の2種類があり、治療薬も症状に応じて選択されます。
主要なクッシング症候群治療薬。

  • アドレスタンジェネリック(トリロスタン) – 価格:9,800円
    現在最も多く使われているクッシング症候群治療薬です。有効成分のトリロスタンが、副腎皮質から過剰に分泌されるコルチゾールの量を抑制し、病気の進行を防ぎ症状を改善します。

  • ケトコナゾールジェネリック – 価格:5,200円
    本来は抗真菌薬として知られていますが、コルチゾールの生成を抑制する作用があるため、クッシング症候群の治療にも使用されます。

  • ミトタン
    副腎皮質ホルモンの分泌を抑制する効果があり、下垂体性クッシング症候群の治療に使われることが多い薬剤です。

医原性クッシング症候群の場合は、外部から投与されたステロイドが原因となるため、獣医師の指示のもとでステロイド薬を慎重に減量・中止することで改善します。ステロイド薬は有用な薬剤ですが、長期使用による副作用のリスクを理解し、必要最小限の使用に留めることが重要です。

ホルモン調整薬偽妊娠治療薬の特徴

偽妊娠は病気ではなく、ホルモンバランスの変化で起こる生理的な現象ですが、症状が長期間続く場合は治療が必要となります。偽妊娠の原因は、雌犬の発情時に分泌される性ホルモンのプロラクチンが過剰に分泌されることです。
カベルゴリン – 価格:4,100円
犬の偽妊娠治療薬として最も使用される薬剤です。プロラクチンというホルモンの過剰分泌による偽妊娠の症状を改善します。従来の治療薬であったブロモクリプチンより強力で、少用量の投与でも有効性を示すのが特徴です。
偽妊娠の症状は通常約2~3週間ほど続き、発情後の数週間から2ヵ月の間に起こるとされています。多くの場合は自然治癒するため特別な治療を必要としませんが、症状が1ヵ月以上続く場合は獣医師に相談することが推奨されます。
エンデース40mg – 発情抑制・避妊薬
合成黄体ホルモンを配合した経口薬で、メス犬の妊娠防止や発情周期の遅延、偽妊娠の影響緩和に使用されます。雄犬の前立腺肥大症の治療にも有効とされています。
一般的に一度偽妊娠を起こすと、発情のたびに偽妊娠を繰り返すと言われているため、根本的な解決には避妊手術が最も効果的な治療法と予防法とされています。

ホルモン調整薬ステロイド系薬品の分類

ステロイド系のホルモン調整薬は、体内の副腎で作られるホルモンを人工的に作り出したもので、炎症を抑えたり免疫力を抑制する効果があります。塗り薬、飲み薬、注射薬など様々な形態で使用されます。
主要なステロイド系ホルモン調整薬。

  • プレドニゾロン錠(パナフコルテロン) – 価格:2,600円
    副作用の誘発が少なく、ステロイド剤の中でも特に多く使用される薬剤です。

  • フロリコット – 価格:10,000円(送料無料)
    高い効果を持つステロイド薬として使用されています。

  • フロリネフ錠 – 価格:8,100円
    鉱質コルチコイド作用を持つステロイド薬です。

  • オムナコーチル – 価格:3,000円
    犬用に開発されたステロイド薬として使用されます。

  • フルドロコルチゾン錠(コルティネフ) – 価格:2,600円
    アジソン病などの副腎皮質機能不全の治療に使用されるステロイド薬です。

ステロイド薬の使用では、短期間や低用量使用では副作用が表れる可能性は低いとされていますが、長期間の使用や高容量使用の場合は副作用のリスクが高くなります。ステロイドを1か月使用した場合、約70%の症例で副腎予備能の低下が見られたという報告もあります。

ホルモン調整薬副作用と適切な管理方法

ホルモン調整薬の使用において、副作用の理解と適切な管理は治療成功の鍵となります。薬剤ごとに異なる副作用パターンを理解し、早期発見・対処することが重要です。
甲状腺機能低下症治療薬の副作用
薬の量が多すぎると頻脈やパンティング(舌を出して「ハアハア」すること)が起こったり、体重が減り過ぎてしまう可能性があります。また、食欲不振や元気がなくなるといった副作用もあります。副作用が起こった場合には一度治療をストップし、副作用が自然になくなるのを待ってから、薬の量を減らして治療を再開します。
ステロイド系薬剤の副作用
犬にステロイドを使用した場合の主な副作用。

  • 多飲多尿
  • 腹部膨満
  • 肝臓の肥大
  • 脱毛
  • 皮膚が薄くなる
  • 細菌感染しやすくなる
  • 石灰沈着
  • パンティング(息遣いが荒くなる)
  • 筋肉の虚弱
  • 糖尿病

副作用の対処法
肝臓の負担を減らすため肝臓保護系のサプリを併用したり、胃粘膜障害に対しては粘膜保護剤やプロナミド(犬消化管運動機能改善剤)を併用します。ステロイドを長期使用する場合は、定期的な血糖値モニタリングにより副作用の悪化を早期に察知することが可能です。
薬剤中止時の注意点
ステロイド剤を長期間使用し続けることにより副腎皮質の機能が低下し、副腎皮質機能不全症になる可能性があります。ステロイド剤の使用により副作用が生じた場合、急に服用を中止すると危険で、抑えられていた病気の症状が再発したり、体内のステロイドホルモンの量が不足し、最悪の場合命を落とすこともあります。
定期的な検査の重要性
甲状腺機能低下症の治療では、治療開始後は1ヶ月ごと、2か月ごとに通院し、薬の量が安定したら3ヶ月~6か月ごとに受診して甲状腺機能をチェックし、健康状態を見ながら薬の量を微調整することが必要です。体内のホルモン分泌が低下すると薬物代謝も正常に行われなくなるため、投与量の調整や評価を慎重に行うことが重要です。
獣医師との密な連携により、愛犬の個体差を考慮した最適な治療計画を立て、副作用を最小限に抑えながら効果的な治療を継続することが、ホルモン調整薬治療成功の秘訣といえるでしょう。