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犬 病毒病 と 感染症 予防 ワクチン 接種 重要性

犬 病毒病 と 感染症 対策

犬の主な病毒病
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コアワクチン対象疾患

犬ジステンパー、犬伝染性肝炎、犬パルボウイルス感染症など、生命に関わる重要な感染症

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ノンコアワクチン対象疾患

犬コロナウイルス感染症、犬レプトスピラ病、犬パラインフルエンザ感染症など、状況に応じて予防が必要な感染症

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予防の重要性

定期的なワクチン接種と適切な生活環境の管理が愛犬を感染症から守る鍵となります

犬 病毒病 の コアワクチン 対象疾患

犬の健康を守るために獣医療現場で最も重視されているのが、コアワクチンで予防できる病毒病です。コアワクチンとは、すべての犬に接種が推奨される基本的なワクチンのことを指します。

犬ジステンパーは、Paramyxoviridae科Morbilivirus属のジステンパーウイルス(CDV)によって引き起こされる非常に深刻な感染症です。感染初期には発熱、目やに、鼻水などの症状が現れますが、進行すると神経症状を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。特に子犬や免疫力の低下した犬では重症化しやすく、治療薬がないため予防が極めて重要です。

犬伝染性肝炎は、犬アデノウイルス1型(CAV-1)が原因で、主に肝臓に障害を与えます。1歳未満の若い犬では特に重篤な症状を示すことが多く、発熱、下痢、嘔吐、腹痛などの症状が見られます。回復期には「ブルーアイ」と呼ばれる角膜の混濁が見られることもあります。

犬パルボウイルス感染症は、特に子犬に致命的な影響を与える可能性がある感染症です。腸炎型と心筋炎型の2種類があり、腸炎型では激しい嘔吐や血便を伴う下痢、脱水症状が特徴です。心筋炎型は現在では報告が少なくなりましたが、特に8週齢以下の子犬では急性の経過をたどり、突然死することもあります。

これらの病毒病は非常に感染力が強く、一度発症すると治療が困難なケースが多いため、定期的なワクチン接種による予防が最も効果的な対策となります。

犬 病毒病 の ノンコアワクチン 対象疾患

ノンコアワクチンは、すべての犬に必須ではないものの、犬の生活環境や地域の流行状況に応じて接種が推奨されるワクチンです。これらが対象とする病毒病も犬の健康に大きな影響を与える可能性があります。

犬コロナウイルス感染症は、Coronaviridae科Coronavirus属Group1に属する犬コロナウイルス(CCV)によって引き起こされます。成犬では不顕性感染で終わることも多いですが、子犬が感染した場合は下痢、嘔吐、元気消失、食欲減退などの症状が現れ、激しい胃腸炎を起こします。特に犬パルボウイルス感染症と混合感染すると症状が重篤化し、死亡リスクが高まります。

犬レプトスピラ病は、レプトスピラ菌による感染症で、人獣共通感染症でもあります。主にネズミなどの野生動物が感染源となり、汚染された土壌や水を介して感染します。肝臓や腎臓に障害が現れやすく、発熱、出血、黄疸、腎不全などの症状が見られます。

犬パラインフルエンザウイルス感染症は、Paramyxoviridae科Paramyxovirus属のパラインフルエンザウイルス(CPIV)による呼吸器感染症です。咳や鼻水、発熱などの風邪に似た症状が特徴で、単独感染では比較的軽症ですが、他の病原体と混合感染すると「ケンネルコフ」と呼ばれる重篤な症状を引き起こすことがあります。

これらの病毒病は、犬の生活環境(多頭飼育、ドッグラン利用頻度、地域の流行状況など)によってリスクが異なるため、獣医師と相談しながら適切なワクチン接種計画を立てることが重要です。

犬 病毒病 の 症状 と 早期発見 のポイント

犬の病毒病は早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。飼い主が日常的に愛犬の健康状態を観察し、異変に気づくことが重要です。

犬ジステンパーの初期症状は、発熱、元気・食欲の低下、目やに、鼻水などです。これらは一般的な風邪の症状と似ていますが、進行すると神経症状(痙攣、チック、歩行異常など)が現れ、非常に深刻な状態になります。特に若齢犬で発熱と呼吸器症状が同時に見られる場合は、すぐに獣医師の診察を受けるべきです。

犬パルボウイルス感染症では、突然の嘔吐と下痢(特に血便)が特徴的です。子犬が急に元気をなくし、食欲が低下し、嘔吐や下痢を始めた場合は緊急事態と考えて速やかに動物病院を受診してください。脱水が急速に進行するため、発症から24時間以内の治療開始が生存率に大きく影響します。

犬コロナウイルス感染症では、オレンジ色を帯びた粥状の下痢便が特徴的です。悪臭を放ち、血便となることもあります。子犬では特に注意が必要で、下痢と嘔吐が続く場合は早急に獣医師の診察を受けるべきです。

犬パラインフルエンザウイルス感染症では、乾いた咳(ケンネルコフ)が特徴的です。特に他の犬との接触後に咳が始まった場合は感染を疑い、他の犬への感染を防ぐためにも早めに受診しましょう。

日常的なチェックポイントとしては、体温、食欲、排泄物の状態、活動量の変化、呼吸の様子などがあります。これらに異変を感じたら、症状をメモしたり、可能であれば動画を撮影したりして、獣医師に正確に伝えられるようにしておくと診断の助けになります。

犬 病毒病 の 治療法 と 対症療法

犬の病毒病の多くは、残念ながら直接ウイルスを死滅させる特効薬がありません。そのため、治療の中心は対症療法となり、犬の体力を維持しながら自身の免疫力でウイルスと闘えるよう支援することが重要です。

犬ジステンパーの治療では、二次感染を防ぐための抗生物質投与や、脱水防止のための輸液療法が中心となります。神経症状が出現した場合は、抗けいれん薬などを用いて症状を緩和します。完全に回復しても、神経症状が後遺症として残ることもあります。

犬パルボウイルス感染症の治療では、激しい嘔吐や下痢による脱水と電解質バランスの崩れを是正するための集中的な輸液療法が最も重要です。また、腸管からの細菌の侵入を防ぐための抗生物質投与や、嘔吐を抑える制吐剤の使用も行われます。特に子犬では低血糖になりやすいため、ブドウ糖を含む輸液が必要になることもあります。

犬コロナウイルス感染症の治療も、基本的には対症療法が中心です。脱水の程度に応じた輸液療法と、二次感染予防のための抗生物質投与が行われます。症状が軽度の場合は、消化器官を休ませるための絶食と、少量ずつの水分補給から始めることもあります。

犬パラインフルエンザウイルス感染症では、咳を緩和するための鎮咳薬の投与や、二次感染予防のための抗生物質投与が行われます。症状が軽い場合は、安静にして自然治癒を待つこともあります。

いずれの感染症も、感染拡大を防ぐために隔離が必要です。特に多頭飼育環境では、感染犬を速やかに隔離し、使用した器具や環境の徹底的な消毒が重要です。消毒には次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤を希釈したもの)が効果的ですが、犬パルボウイルスのように非常に環境抵抗性の強いウイルスもあるため、適切な濃度と接触時間を守ることが大切です。

犬 病毒病 の 予防 と ワクチン プログラム

犬の病毒病予防の要となるのが、適切なワクチンプログラムの実施です。ワクチン接種は、犬が病原体に感染する前に免疫を獲得させることで、発症や重症化を防ぐ最も効果的な方法です。

ワクチンは大きく分けて「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」に分類されます。コアワクチンは全ての犬に接種が推奨されるもので、犬ジステンパー、犬伝染性肝炎、犬アデノウイルス(2型)感染症、犬パルボウイルス感染症などが含まれます。一方、ノンコアワクチンは犬の生活環境や地域の流行状況に応じて接種が検討されるもので、犬コロナウイルス感染症、犬レプトスピラ病、犬パラインフルエンザ感染症などが含まれます。

一般的なワクチンプログラムでは、子犬は生後6〜8週齢から接種を開始し、2〜4週間隔で3〜4回の接種を行います。この初回シリーズは、母犬から受け継いだ移行抗体の干渉を考慮して複数回接種する必要があります。その後、1歳時に追加接種を行い、以降は1〜3年ごとに追加接種を行います。

ただし、このスケジュールは犬の健康状態、生活環境、地域の疾病リスクなどによって調整が必要です。例えば、多頭飼育施設やドッグランを頻繁に利用する犬では、ケンネルコフの原因となる犬パラインフルエンザウイルスに対するワクチン接種が重要になります。また、野外活動が多い犬では、レプトスピラ症のリスクが高まるため、対応するワクチン接種を検討する必要があります。

ワクチン接種に加えて、日常的な予防策も重要です。清潔な環境の維持、適切な栄養管理、定期的な健康診断、新しい犬との接触時の注意などが挙げられます。特に子犬や高齢犬、免疫力の低下した犬では、不特定多数の犬が集まる場所への出入りを控えるなどの配慮が必要です。

また、ワクチン接種後も100%感染を防げるわけではないことを理解し、犬の健康状態を日常的に観察することが大切です。異変に気づいたら早めに獣医師に相談しましょう。

犬 病毒病 と 人獣共通感染症 の 関係性

犬の病毒病の中には、人間にも感染する「人獣共通感染症」が含まれています。これらの疾患は、愛犬の健康だけでなく、飼い主や家族の健康にも関わる重要な問題です。

犬レプトスピラ病は、代表的な人獣共通感染症の一つです。レプトスピラ菌に汚染された水や土壌、感染動物の尿などを介して感染します。人間が感染した場合、発熱、頭痛、筋肉痛などのインフルエンザに似た症状から、重症化すると黄疸や腎不全を引き起こすことがあります。特に野外活動が多い犬や、水辺で遊ぶ機会が多い犬は感染リスクが高まるため、ワクチン接種を検討すべきです。

狂犬病も非常に重要な人獣共通感染症です。日本では長年発生がなく、「過去の病気」と誤解されがちですが、世界的には依然として深刻な問題であり、感染すると致死率がほぼ100%という恐ろしい疾患です。日本では狂犬病予防法により、犬の登録と年1回のワクチン接種が義務付けられています。これは単なる法的義務ではなく、人と動物の健康を守るための重要な公衆衛生対策です。

その他、犬から人に感染する可能性のある病原体としては、カンピロバクターやサルモネラなどの細菌、クリプトスポリジウムなどの寄生虫があります。これらは直接的な病毒病ではありませんが、犬が感染源となって人に健康被害をもたらす可能性があります。

人獣共通感染症の予防には、以下の対策が効果的です:

  • 定期的なワクチン接種(特に狂犬病、レプトスピラ病)
  • 犬の排泄物の適切な処理
  • 犬との接触後や食事前の手洗い
  • 犬の定期的な健康診断と寄生虫対策
  • 生肉や未加熱の食品を犬に与えない

特に小さな子どもや高齢者、免疫力の低下した人がいる家庭では、これらの予防策をより慎重に実施することが重要です。愛犬の健康管理は、家族全体の健康を守ることにもつながります。

獣医療従事者は、動物の健康だけでなく公衆衛生の観点からも、飼い主に適切な情報提供と予防策の指導を行う重要な役割を担っています。「One Health(ワンヘルス)」の概念に基づき、人と動