PR

犬のかさぶたみたいな出来物は何?原因と対処法を解説

犬のかさぶたみたいな出来物の原因と症状

犬のかさぶた状出来物の基礎知識
🩺

皮膚の修復反応

血液や体液が固まって皮膚を保護する自然な反応

🔬

病気のサイン

感染症や皮膚病の症状として現れる場合がある

⚠️

早期発見が重要

症状の観察と適切な判断で悪化を防げる

犬の皮膚にできるかさぶたみたいな出来物は、皮膚が損傷した際に血液や滲出液が固まって形成されるものです。これは傷ついた皮膚を絆創膏のように保護し、皮膚の再生を助ける役割があります。

かさぶたができるメカニズムとして、犬の皮膚が損傷して血が出ると、血液中の血小板などの物質が傷をふさいで出血を抑えます。この物質が空気に触れて乾き、固まってできるものがかさぶたです。

犬の皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造になっており、表皮は外部からの細菌や異物の侵入を防ぐバリア機能を担っています。真皮は血管や神経、毛包などを含み、皮下組織は外部からの衝撃や寒暖差から体を守る機能を持ちます。

犬の膿皮症によるかさぶた状出来物

膿皮症は犬に最も多く見られる皮膚病の一つで、皮膚に細菌が感染し、膿をもったブツブツや赤い湿疹ができる病気です。膿皮症によってできるかさぶたには以下のような特徴があります:

  • 表皮小環:膿皮症の特徴的な症状で、カサブタのような白い輪のような病変ができます
  • 円形のかさぶた:破裂した皮膚は中心が黒っぽいかさぶたになります
  • 赤い発疹からの進行:初期には赤い発疹ができ、徐々に膿をもつニキビ状になります
  • フケ様のかさぶた:掻いたり舐めたりすることで傷ができ、フケのようなかさぶたが形成されます

膿皮症は皮膚バリア機能の低下により、常在菌であるブドウ球菌が異常に増えることで起こります。何らかの原因で皮膚バリアが壊されると、そこに細菌が増えてかさぶた状の病変を形成します。

犬の天疱瘡による瘡蓋状出来物

天疱瘡は自己免疫疾患の一種で、免疫が誤って皮膚の細胞を攻撃し、水疱や瘡蓋などの皮膚トラブルを引き起こす病気です。犬に多い落葉性天疱瘡では主に以下の部位に症状が現れます:

  • まぶた、鼻筋、耳:炎症や瘡蓋、脱毛などの症状が出ます
  • 肉球や指の間:これらの部位に特徴的に症状が現れます
  • 全身への進行:症状が部分的なうちに治療しないと全身に広がります

天疱瘡の瘡蓋は、表皮の細胞を繋ぎ止めているタンパク質に対する免疫の攻撃によって形成されます。細胞同士が離れることで皮膚にトラブルが起こり、かさぶた状の出来物ができるのです。

紫外線やアレルギーが引き金になると言われており、夏場に発症が多く、悪化するのも夏場が多い傾向にあります。

犬の真菌症とダニ感染によるかさぶた

真菌症(皮膚糸状菌症は、カビの一種である真菌が皮膚や被毛に感染することで起こる病気です。真菌症の特徴的な症状として:

  • 円形の脱毛:広い範囲の脱毛が見られます
  • フケ状かさぶた:脱毛した部分にフケが積み上がったようなかさぶたができます
  • 人への感染リスク:中には人に移るものもあるため注意が必要です

疥癬は、ヒゼンダニというダニによって起こる皮膚病です。ダニが皮膚にトンネルを作って寄生するため、激しい痒みを伴います。犬が噛んだり引っ掻くことで出血し、かさぶたが形成されます。

疥癬症は伝染性が強く、多頭飼育の場合は他の動物との接触を避ける必要があります。人にも感染する人畜共通感染症であるため、特に注意が必要です。

犬の脂漏症による皮膚の変化

脂漏症は皮脂の分泌異常により起こる皮膚病で、以下のような症状が見られます:

  • ふけ、かさぶた:さまざまな大きさのものが多く出ます
  • べたつき:皮膚や毛が脂っぽくべたべたしています
  • 独特な臭い:皮膚から特有の臭いがします
  • 乾燥:皮膚が乾燥している場合もあります
  • 皮膚の赤み:炎症による赤みが見られます

脂漏症によるかさぶたは、皮脂の過剰分泌や皮膚の角化異常によって形成されます。原因としては遺伝的要因、ホルモン異常、栄養不良、感染症などが考えられます。

犬のかさぶた状出来物に見られる独自の症状パターン

獣医師として長年の経験から、犬のかさぶた状出来物には一般的に知られていない特徴的なパターンがあります。

季節性変動パターン:多くの皮膚病によるかさぶたは季節変動を示し、特に梅雨時期と秋の乾燥期に悪化する傾向があります。これは湿度と気温の変化が皮膚バリア機能に影響を与えるためです。

部位別の症状特性

  • 首周り:首輪による摩擦で細菌感染が起こりやすく、線状のかさぶたができやすい
  • 肘や膝:圧迫による血行不良で治りが遅く、厚いかさぶたが形成されやすい
  • 耳の付け根:皮脂腺が多いため脂漏性のかさぶたができやすい

年齢による変化シニア犬では皮膚の再生能力が低下し、かさぶたが長期間残存する傾向があります。一方、若い犬では免疫反応が強く、かさぶた周囲の炎症が激しくなることが多いです。

犬種特性:短毛種では皮膚の状態を観察しやすいため早期発見できますが、長毛種では被毛に隠れて発見が遅れがちです。また、皮膚の厚い大型犬では深いかさぶたができやすく、皮膚の薄い小型犬では表面的なかさぶたが多く見られます。

犬の皮膚専門診療での経験から、飼い主さんが見落としがちな重要なサインとして、かさぶたの色の変化があります。健康な治癒過程では茶褐色から薄い色に変化しますが、感染が起こると濃い茶色や黒っぽく変色します。

また、触感の変化も重要な指標で、正常な治癒過程では徐々に柔らかくなりますが、慢性化した病変では硬くなり、厚みが増していきます。

これらの独自の観察ポイントを理解することで、より適切なタイミングでの受診判断ができるようになります。早期発見・早期治療により、愛犬の皮膚健康を効果的に守ることが可能になります。

愛犬の皮膚に現れるかさぶた状の出来物は、単純な外傷から深刻な皮膚病まで様々な原因が考えられます。日頃からの観察と適切な判断により、愛犬の健康を守ることができます。症状の変化や治らない場合は、早めに獣医師に相談することが重要です。