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犬の耳血腫の症状原因治療法と自宅ケア

犬の耳血腫とは症状原因治療法

犬の耳血腫の基礎知識
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耳血腫の概要

耳介軟骨と皮膚の間に血液が溜まり耳が腫れる病気

⚠️

主な症状

耳の腫れ、痛み、熱を持つ、頭を振る行動

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治療の重要性

放置すると耳の変形につながる可能性

犬の耳血腫の基本症状と見分け方

犬の耳血腫は、耳介(外耳)の軟骨と皮膚の間に血液が溜まることで発症する病気です。最も特徴的な症状は耳の腫れで、まるで固めの水風船のような感触になります。

主な症状として以下のようなものが見られます。

  • 耳介の明らかな腫れ:触ると熱を持っている
  • 痛みや違和感:犬が触られることを嫌がる
  • 頭を振る行動の増加:不快感から頻繁に頭を振る
  • 耳を掻く仕草の増加:足で耳を引っ掻く行動が多くなる

外耳炎を併発している場合は、耳垢が増えたり、耳から臭いがしたりする症状も見られることがあります。診断は主に視診と触診で行われ、症状が特徴的であるため見た目と感触でほぼ判断できます。確定診断のために、腫れている部分に針を刺して溜まっている液体を確認することもあります。

犬の耳血腫の原因と発症メカニズム

耳血腫の原因は多岐にわたりますが、最も多いのが外耳炎による痒みが引き金となるケースです。外耳炎は耳ダニや細菌・真菌感染、アレルギー、アトピーなどによって引き起こされ、主な症状が痒みです。

発症メカニズムとして以下のパターンがあります。

外耳炎からの発症(最も多い)

  • 耳ダニ、細菌、真菌感染による外耳炎
  • アレルギーやアトピーによる炎症
  • 蚊に刺されることによる炎症(特に外に出る猫)

物理的外傷による発症

  • 転倒やぶつかることによる軟骨の損傷
  • 犬同士の喧嘩による噛み傷や引っ掻き傷
  • 床に耳をこすりつける行為による刺激

その他の要因

  • 免疫学的疾患の関与
  • 耳介に対する持続的な機械的刺激

特に仔犬や仔猫の場合は耳ダニが原因となることが多く、垂れ耳の犬種(ラブラドール、ビーグル、コッカーなど)は耳血腫になりやすいとされています。

犬の耳血腫の治療法と注射器での排液について

耳血腫の治療は症状の程度によって内科治療と外科治療に分かれます。軽度の場合は経過観察で自然治癒を待つこともありますが、多くの場合は積極的な治療が必要です。

注射器による排液治療(一般的な初期治療)

  • 針で直接刺して液体を吸引:かなり細い注射針を使用し、全身麻酔なしで処置可能
  • ステロイド剤の注入:抜去後に直接ステロイド剤を注入し炎症を抑制
  • 数日おきの反復処置:再発することが多いため、何回かに分けて実施

薬物併用療法

  • ステロイド剤の局所注入
  • 抗生剤の注入による二次感染防止
  • インターフェロン剤の注入

内服薬による補助治療

  • 炎症抑制のためのステロイド剤
  • 二次感染防止の抗生剤
  • 痒み止めの薬

研究では、プラテレットリッチプラズマ(PRP)療法という革新的な治療法も報告されており、超音波ガイダンスを使用して多房性の血腫を特定し、PRP注入を行う方法が手術や長期薬物治療の有効な代替手段として注目されています。

犬の耳血腫の手術治療と予後について

内科治療に反応しない場合や重度の症例では、外科手術が選択されます。手術は全身麻酔下で行われ、より確実な治癒が期待できます。

手術の方法と特徴

  • 切開による排液:耳介に切り込みを入れて液体を完全排出
  • 縫合による形状維持:腫れた耳介を縫合して再膨張を防止
  • ドレーン設置:必要に応じて排液用ドレーンを設置
  • 圧迫包帯:術後の圧迫により再発を防止

手術のメリット・デメリット

メリット デメリット
再発リスクが低い 全身麻酔のリスク
繰り返し処置が不要 手術費用が高い
確実な治癒が期待 術後管理が必要

予後と注意点

手術後の予後は一般的に良好ですが、耳の形状が完全に元通りにならない場合もあります。また、根本原因である外耳炎の治療を同時に行わないと再発の可能性があるため、総合的な治療アプローチが重要です。

統計的には、注射器による排液治療で約91.3%の症例で回復が見られたという研究報告があります。しかし、15日後に再度処置が必要となる症例も8.7%存在するため、継続的な経過観察が必要です。

犬の耳血腫の自宅ケアと予防策の実践法

耳血腫の予防は日常的なケアと早期発見が鍵となります。特に外耳炎の予防と早期治療が最も重要な予防策です。

日常的な予防ケア

  • 定期的な耳のチェック:毎日の習慣として耳の状態を観察
  • 耳掃除の実施:適切な方法での定期的な耳掃除
  • 外部寄生虫の予防:ノミ・ダニの定期的な予防薬投与
  • アレルギー管理食物アレルギーやアトピーの適切な管理

早期発見のポイント

  • 耳をかゆがる仕草の観察
  • 頭を振る回数の増加に注意
  • 耳の臭いや分泌物の変化
  • 耳の腫れや熱感の確認

好発犬種への特別な注意

垂れ耳犬種は特に注意が必要です。

犬種 注意点
ラブラドールレトリーバー 耳道の通気性が悪く外耳炎を起こしやすい
ビーグル 狩猟本能で耳を地面に擦りつけやすい
コッカースパニエル 長い耳毛が湿気を溜めやすい

自宅でできる応急処置

耳血腫が疑われる場合は、以下の点に注意してください。

  • 触らせない:犬が耳を掻くのを防ぐためエリザベスカラーを装着
  • 冷却:腫れた部分を清潔なタオルで包んだ氷で軽く冷やす(長時間は避ける)
  • 早期受診:症状を確認したら速やかに獣医師の診察を受ける

環境管理

  • 多頭飼いの場合は喧嘩を防ぐ対策
  • 猫の場合は室内飼いによる外傷防止
  • 散歩時の虫刺され対策

予防には飼い主の日常的な観察が最も重要です。体を触られることに慣れさせておくと、診察時もスムーズに進みやすくなります。散歩前のコミュニケーションの一環として、耳のチェックを習慣化することをお勧めします。