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ジャック・ラッセル・テリアのかかりやすい病気と症状

ジャック・ラッセル・テリアのかかりやすい病気

ジャック・ラッセル・テリア 主要な病気
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関節・筋骨格系疾患

膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂など運動による負担が原因

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皮膚・アレルギー疾患

マラセチア皮膚炎、ノミ・ダニ症、食物アレルギーが多発

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遺伝性疾患

遺伝性消化管ポリポーシスなどJRT特有の病気に注意

ジャック・ラッセル・テリアは平均寿命が13歳~16歳と比較的長生きする犬種ですが、その活発な性格と遺伝的な要因により、特定の病気にかかりやすい傾向があります。この犬種は元来狩猟犬として品種改良されたため、運動能力が高く筋肉質な体型を持つ一方で、激しい運動による関節への負担や、テリア系特有の皮膚疾患に注意が必要です。

ジャック・ラッセル・テリアの膝蓋骨脱臼の症状と治療

膝蓋骨脱臼(パテラ)は、ジャック・ラッセル・テリアが最もかかりやすい病気の一つです。膝のお皿が本来あるべき位置から横方向にずれてしまうことで、後ろ足の膝関節に力が入らなくなり、歩行に異常をきたします。

主な症状:

  • 足を浮かせて歩く頻度が増える
  • 立っているときに膝をガクガク震えさせる
  • 遊んでいる最中に急にキャンキャン鳴いて痛がる
  • 歩き方に違和感がある

初期段階では痛みを感じないことも多く、飼い主が気付きにくいのが特徴です。しかし症状が進行すると、脱臼により膝関節全体にダメージが蓄積し、骨の変形や関節炎を引き起こし、最終的には歩行困難になる可能性があります。

治療費用の目安:

  • 内科療法(通院治療):月2回通院で年間6万円~10万円
  • 外科療法(手術):術前検査・入院・手術・術後検診込みで20万円~40万円

予防方法としては、床にカーペットを敷いて滑り止め対策を行う、定期的な爪切りと足裏の毛のカット、高所からのジャンプを避ける、適正体重の維持などが重要です。

ジャック・ラッセル・テリアのマラセチア皮膚炎の対策

マラセチア皮膚炎は、皮脂をエサにするマラセチア菌が異常増殖することで起こる皮膚疾患です。この菌は通常でも犬の皮膚に少数存在していますが、何らかの原因で増えすぎると皮膚炎や外耳炎を引き起こします。

特徴的な症状:

  • 皮膚の炎症とべたつき
  • 大量のフケの発生
  • 酸っぱく油っぽい独特な異臭
  • 強いかゆみによる掻きむしり
  • 感染部位の赤いただれと脱毛

マラセチア皮膚炎は他の皮膚疾患やアレルギーが原因となることも多いため、根本的な原因の特定と治療が必要です。治療には専用のシャンプーや抗真菌薬、かゆみ止めなどが使用されます。

治療費用:

  • 通院治療:週1回で1回あたり3,000円~8,000円
  • 専用シャンプー:1本1,500円~3,000円

治療が長期化することが多く、定期的な健康診断による早期発見が重要です。

ジャック・ラッセル・テリアの前十字靭帯断裂と関節ケア

前十字靭帯断裂は、太ももの骨と脛の骨を結ぶ前十字靭帯が完全または部分的に切れてしまう疾患です。ジャック・ラッセル・テリアのような活発な犬種では、激しい運動や急な方向転換により発症リスクが高まります。

症状の特徴:

  • 完全断裂:痛みのため患肢をほとんど地面に付けない
  • 部分断裂:なんとなく歩き方がおかしい程度の軽い症状
  • 進行例:足を引きずって歩く、スムーズな歩行困難

小型犬では10歳前後の高齢期に発症しやすく、症状が進行すると非常に強い痛みを伴います。治療は保存療法と外科手術があり、重症度により選択されます。

治療費用:

  • 内科療法:通院1回あたり2万円~3万円、年間6万円~10万円
  • 外科療法:術前検査・手術・術後ケア込みで30万円~50万円

予防には日頃からの体重管理が最も重要で、肥満による関節への負担を避けることが大切です。また、滑りやすい床材を避ける、過度なジャンプや運動を控えるなどの環境整備も効果的です。

ジャック・ラッセル・テリアの遺伝性消化管ポリポーシス

2020年に新しく発見されたジャック・ラッセル・テリア特有の遺伝性疾患が「遺伝性消化管ポリポーシス」です。この病気は胃や腸にポリープが多発する特徴があり、現在のところ根本的な治療法は確立されていません。

主な症状:

  • 慢性的な嘔吐
  • 血便の出現
  • 重度の貧血(多発性ポリープの場合)
  • 消化器症状による食欲不振

この疾患は遺伝性であるため予防法は存在せず、早期発見と適切な管理が重要となります。ポリープの外科的除去が主な治療法ですが、再発率が高いのが現状です。

今後の展望:

現在、遺伝子検査による確定診断の開発が進められており、将来的にはより正確な診断と治療が可能になると期待されています。また、繁殖時の遺伝子検査導入により、この疾患を持つ個体の出生を減らす取り組みも検討されています。

新規の遺伝性疾患であるジャック・ラッセル・テリアの遺伝性消化管ポリポーシスに関する詳細な研究論文

ジャック・ラッセル・テリアの総合的な病気予防と健康管理

ジャック・ラッセル・テリアの健康を維持するためには、この犬種特有の疾患リスクを理解し、予防的なケアを継続することが重要です。活発な性格により外傷のリスクも高いため、総合的な健康管理が必要となります。

基本的な予防対策:

  • 定期的な健康診断(年2回以上推奨)
  • 適正体重の維持と栄養管理
  • 関節に配慮した運動環境の整備
  • 皮膚・被毛の日常的なチェック
  • ノミ・ダニ予防の継続実施

その他の注意すべき疾患:

肝疾患(肝炎、肝硬変)、泌尿器疾患(膀胱結石、尿路感染症)、食物アレルギー糖尿病、クッシング症候群なども発症リスクがあります。これらの病気は早期発見により治療効果が大きく改善するため、日頃の観察と定期検診が重要です。

緊急時の対応:

ワクチン接種後のアレルギー反応(顔の腫れ)が現れた場合は、ショック状態から死に至る危険があるため、直ちに動物病院に連絡してください。ワクチン接種は午前中に行い、接種後の観察時間を確保することが推奨されます。

ジャック・ラッセル・テリアは適切なケアにより長寿を全うできる犬種です。定期的な健康チェックと予防的な対策により、愛犬の健康な生活をサポートしましょう。