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抗真菌薬(犬)種類と一覧効果副作用治療法

抗真菌薬(犬)種類と一覧

犬の抗真菌薬の基本分類
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アゾール系薬剤

イトラコナゾール、フルコナゾールなど現在の主力薬剤

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ポリエン系薬剤

アムホテリシンBなど効果は強力だが副作用に注意

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外用薬剤

ミコナゾール、ケトコナゾールなど局所治療に有効

抗真菌薬(犬)系統別分類と特徴

犬の真菌感染症治療において、抗真菌薬は系統ごとに異なる作用機序と特徴を持っています。
ポリエン系薬剤

  • アムホテリシンB(AMPH-B)が代表的な薬剤
  • エルゴステロールに結合して細胞膜を破壊する作用機序
  • 抗真菌スペクトラムが広く、効果が強力で耐性菌がほとんど出現しない
  • 副作用が強いため現在では第一選択薬ではない場合が多い
  • アムホテリシンBにしか感受性を持たない真菌や急性・重症例では重要な選択肢

アゾール系薬剤
アゾール系薬剤は現在の真菌治療の主力となっており、第4世代まで開発されています。
イミダゾール系。

  • ミコナゾール(MCZ)
  • クロトリマゾール(CLZ)
  • ケトコナゾール(KTCZ)

トリアゾール系。

  • イトラコナゾール(ITCZ)
  • フルコナゾール(FLCZ)
  • ボリコナゾール(VRCZ)
  • ポサコナゾール(PSCZ)

これらの薬剤はチトクロームP450(CYP)を阻害して効果を発揮しますが、動物細胞のCYPにも若干作用するため薬物相互作用に注意が必要です。
キャンディン系薬剤

  • ミカファンギン(MCFG)、カスポファンギン(CPFG)
  • 動物細胞にはない真菌壁の1,3-β-Dグルカンを阻害
  • 副作用が少ないのが特徴
  • カンジダとアスペルギルスには有効だが、クリプトコックスやムーコルには効果なし

抗真菌薬(犬)イトラコナゾール効果と副作用

イトラコナゾールは日本の犬猫診療で最も使用される抗真菌薬です。トリアゾール系に分類され、真菌の細胞膜成分であるエルゴステロール合成を阻害することで抗真菌効果を発揮します。
効果と適応症

副作用と注意点

  • 嘔吐、下痢などの消化器症状
  • 肝毒性のリスクがあるため長期使用時は肝機能検査が必要
  • 多くの薬剤との相互作用があるため併用薬に注意

薬剤感受性の限界
イトラコナゾールでは治療できない真菌が検出される機会も増えており、患者の状態によっては副作用や併用薬の関係で使用できない場合もあります。
真菌の種類別効果。

  • カンジダ:△(限定的)
  • アスペルギルス:○(有効)
  • クリプトコックス:○(有効)
  • ムーコル:△(限定的)
  • フザリウム:×(無効)

抗真菌薬(犬)外用薬種類と使用法

外用抗真菌薬は局所的な真菌感染症の治療に重要な役割を果たします。
主要な外用抗真菌薬
ミコナゾール硝酸塩。

  • アゾール系抗真菌薬でMalassezia属を中心とした酵母、皮膚糸状菌に広く強力な抗真菌作用
  • 真菌細胞膜のエルゴステロール生成を阻害する作用機序
  • クロルヘキシジングルコン酸塩との配合製剤も利用可能

ケトコナゾール。

  • イミダゾール系抗真菌薬
  • マラセチア・パチデルマチスおよび皮膚糸状菌に対し優れた抗真菌活性
  • 外耳炎治療薬としてオフロキサシン、トリアムシノロンアセトニドとの配合製剤が使用される

使用法と注意点

  • 外用薬は高濃度の抗真菌物質に菌を暴露させることが可能
  • 表面の胞子・角層の菌糸を除去できるが、被毛内の菌糸には無効
  • 有毛部への塗布は困難なため、汚染被毛の洗浄が重要
  • 動物が舐めないよう注意が必要
  • かぶれや薬疹のリスクがあるため使用には注意

配合製剤の利点
抗真菌薬と抗菌薬、抗炎症薬の配合により、細菌と真菌の混合感染に対して総合的な治療が可能です。

抗真菌薬(犬)新世代薬剤の選択基準

ポサコナゾールとボリコナゾールは、それぞれ次世代のイトラコナゾールとフルコナゾールとして位置づけられます。
ボリコナゾール(VRCZ)

  • カビに対する活性範囲が拡大した第3世代トリアゾール系薬剤
  • アスペルギルス症を含む侵襲性カビ感染症の治療に使用
  • ヒストプラズマ、ブラストミセス、コクシジオイデス、クリプトコッカスに効果的
  • イトラコナゾールやフルコナゾールによる治療が失敗した場合の救済療法として利用

ポサコナゾール(PSCZ)

  • 幅広い抗真菌スペクトラムを持つ新世代薬剤
  • ムーコルにも効果があり、他のアゾール系薬剤より優れた選択肢
  • 犬と猫でのアスペルギルス症治療では結果が一定していない

選択基準
薬剤選択では以下の要因を考慮する必要があります。

  1. 感染真菌の種類:薬剤感受性試験結果に基づく選択
  2. 感染部位:深在性か表在性かによる薬剤浸透性の違い
  3. 患者の状態:肝機能、腎機能、併用薬の有無
  4. 副作用プロファイル:長期使用時の安全性
  5. 薬物相互作用:特にアゾール系薬剤では重要

イトラコナゾール以外の選択肢を持つことは、治療困難例や副作用により標準治療が困難な場合に重要です。

抗真菌薬(犬)治療期間と注意点

抗真菌薬治療では適切な治療期間の設定と継続的なモニタリングが治療成功の鍵となります。
治療期間の考え方

  • 皮膚糸状菌症:臨床症状改善後も最低4週間の継続が推奨
  • 深在性真菌症:数ヶ月から1年以上の長期治療が必要な場合がある
  • 外耳炎:7日間を基本とし、必要に応じて14日間まで延長

モニタリングの重要性
長期使用時には以下の検査が重要です。

  • 肝機能検査(ALT、AST、ALP)の定期的実施
  • 腎機能検査(特にアムホテリシンB使用時)
  • 血球計算(テルビナフィン使用時は血球減少症に注意)

薬剤感受性試験の必要性
抗真菌薬は副作用も多く、使用期間も長期になるため、薬剤感受性を調べてから使用することが望ましいとされています。同じ菌種でも株によって薬剤感受性が異なることがあり、治療開始前の正確な診断が重要です。
治療抵抗性への対処

  • イトラコナゾール単独で効果不十分な場合の併用療法
  • 外用薬との組み合わせによる治療効果の向上
  • 新世代薬剤への変更タイミングの判断

飼い主への指導ポイント
🐕 薬剤の確実な投与と投与時間の遵守
🏠 環境の清浄化と再感染防止対策
🔍 治療効果判定のための定期的な診察受診
⚠️ 副作用症状の早期発見と報告
抗真菌薬治療は長期間にわたることが多く、飼い主の理解と協力が治療成功に不可欠です。薬剤の種類と特徴を理解し、適切な選択と使用により、愛犬の真菌感染症を効果的に治療することが可能になります。
動物専門の真菌検査機関による抗真菌薬の詳細情報
犬・猫の皮膚糸状菌症治療指針(日本獣医皮膚科学会)