マルチーズのかかりやすい病気と寿命
マルチーズの平均寿命と長寿の秘訣
マルチーズの平均寿命は13歳から15歳とされており、超小型犬の中では標準的な寿命です。アニコム損害保険の調査によると、超小型犬全体の平均寿命は13.8歳であるため、マルチーズは平均的な寿命を持つ犬種といえます。
興味深いことに、日本国内では24歳まで生きたマルチーズの報告があり、適切な飼育環境と健康管理により、平均寿命を大幅に上回る長寿も可能です。
長寿の要因として以下が挙げられます。
- バランスの取れた食事管理
- 適度な運動習慣
- 定期的な健康診断
- ストレスの少ない生活環境
- 早期の病気発見と治療
マルチーズの寿命は遺伝的要因だけでなく、飼い主の日常的なケアによって大きく左右されるため、健康管理への意識が重要です。
マルチーズの心臓病リスクと症状の見極め方
マルチーズが最も注意すべき病気は僧帽弁閉鎖不全症です。この病気は心臓の左心房と左心室を仕切る弁に異常が生じ、血液の逆流が起こる疾患で、マルチーズを含む小型犬に多発します。
初期症状は非常に分かりにくく、以下のような変化に注意が必要です。
- 軽い咳が出るようになる
- 散歩中に疲れやすくなる
- 寝ている時間が増える
- 舌の色が紫色になる(チアノーゼ)
進行すると肺水腫や失神を起こし、最悪の場合は命に関わります。5歳以上のマルチーズには年1回の心臓検診が推奨されており、動物病院で心雑音を指摘された場合は精密検査を受けることが重要です。
治療費は内科療法で月1万円から3万円程度、外科手術では250万円ほどかかる場合があります。早期発見により内科療法での管理が可能になるため、定期的な健康チェックが経済的負担の軽減にもつながります。
マルチーズの膝蓋骨脱臼の予防と対策
膝蓋骨脱臼は膝のお皿が本来の位置からずれる病気で、マルチーズなどの小型犬に頻発します。特に女の子の発症率は男の子の約1.5倍と高く、遺伝的要因が強い疾患です。
症状の進行段階。
- グレード1:軽度の脱臼、手で戻せる
- グレード2:日常的に脱臼、手術検討
- グレード3:常時脱臼状態
- グレード4:完全脱臼、歩行困難
予防策として以下の環境整備が効果的です。
- フローリングにカーペットを敷く
- 定期的な爪切りと足裏の毛のカット
- 高所からのジャンプを避ける
- 急な方向転換を避ける運動管理
- 適正体重の維持
治療費は内科療法で年間6万円から10万円、外科手術では20万円から40万円が相場です。日常的な予防ケアにより発症リスクを大幅に減らすことができます。
マルチーズの環軸椎亜脱臼という隠れた危険
環軸椎亜脱臼は一般的にはあまり知られていませんが、マルチーズにとって非常に危険な病気です。首の骨の1番目(環椎)と2番目(軸椎)の関節が不安定になり、軽い負荷で亜脱臼状態になる疾患です。
この病気の恐ろしい点は、初期症状が軽微であることです。
- 軽いふらつき
- 歩幅が小さくなる
- 首の痛み
- 転びやすくなる
しかし進行すると起き上がれなくなり、最悪の場合は呼吸停止により死亡に至ることもあります。先天性の場合は1歳以下で発症することが多く、外傷性の場合は年齢に関係なく発症します。
予防方法。
- 交通事故の防止
- 高所からの落下防止
- 他の犬との喧嘩回避
- 首への過度な負担を避ける
治療費は内科療法で月6千円から2万円程度、定期的なMRIやCT検査で5万円から10万円、外科手術では50万円から80万円が必要です。
マルチーズの日常ケアで病気を予防する方法
マルチーズの健康維持には、日常的な予防ケアが最も重要です。病気の多くは早期発見と適切な予防により、重篤化を防ぐことができます。
毎日のケアポイント。
環境整備。
- 滑りにくい床材の使用
- 適切な室温管理
- 清潔な生活空間の維持
- ストレスの少ない環境作り
定期健診の重要性。
マルチーズは病気のなりやすさが「中程度」に分類されますが、中程度の中でも高リスクに位置しています。そのため、以下の健診スケジュールが推奨されます。
- 幼犬期:月1回の健診
- 成犬期:半年に1回の健診
- シニア期(7歳以上):3ヶ月に1回の健診
栄養管理の重要性。
マルチーズの小さな体は、わずかな体重変化でも大きな影響を受けます。獣医師と相談し、年齢や活動量に応じた適切なフード選びと給餌量の管理が必要です。
ワクチンと予防薬。
感染症予防のための定期的なワクチン接種と、季節に応じた寄生虫予防薬の投与により、様々な病気からマルチーズを守ることができます。
マルチーズの健康管理は、飼い主の日々の観察力と予防意識によって大きく左右されます。小さな変化を見逃さず、気になることがあれば早めに動物病院を受診することが、愛犬の健康と長寿につながります。