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ミミヒゼンダニ症の症状と治療法完全解説

ミミヒゼンダニ症について

ミミヒゼンダニ症の基本情報
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ミミヒゼンダニとは

体長0.3~0.5mm程度の小さなダニが耳の中に寄生

👂

主な症状

黒色の耳垢、激しい痒み、耳からの異臭

🔬

診断方法

耳垢の顕微鏡検査でダニの確認が可能

ミミヒゼンダニの基本的な特徴と生態

ミミヒゼンダニ(正式名称:Otodectes cynotis)は、犬や猫の外耳道に寄生する小さなダニです。体長は0.3~0.5mm程度で肉眼では見えない大きさです。このダニは耳の穴の入り口から鼓膜までの外耳道に生息し、皮膚表面の角質や組織液、耳垢などを餌として生活しています。

ミミヒゼンダニは永久寄生性であり、卵から成虫まで一生涯を宿主の体表で過ごします。卵は1~3日で孵化し、幼ダニ、若ダニを経て成ダニになるまで約18~28日かかります。この長い生活環により、治療には複数回の駆虫処置が必要となります。

興味深いことに、ミミヒゼンダニは皮膚組織内には侵入せず、あくまで表面で生活します。しかし、皮膚表面を噛んだり血液を摂取することでアレルギー性過敏反応を引き起こし、激しい痒みの原因となります。

ミミヒゼンダニ症の特徴的な症状と見分け方

ミミヒゼンダニ症の最も特徴的な症状は、コーヒー粕のような真っ黒でパサパサした耳垢の大量発生です。この黒い耳垢は、ダニの死骸や排泄物、通常の耳垢が混じったものであり、非常に特徴的な見た目をしています。

主な症状には以下があります。

  • 激しい痒みによる頻繁な耳かき行動 👂
  • 頭を激しく振る動作の反復
  • 黒色から茶褐色の多量の耳垢
  • 耳からの強い異臭 👃
  • 耳周辺の傷や脱毛
  • 重症例では睡眠不足 😴

症状は片耳のこともありますが、多くの場合両耳に感染が見られます。これはミミヒゼンダニの感染力が非常に強いためです。子犬や子猫に多く見られる傾向があり、成犬や成猫では比較的少ない疾患です。

痒みがひどい場合、犬は後ろ足で耳を掻いたり、頭を壁や床にこすりつけたりする行動を見せることもあります。このような行動により、二次的に外耳炎や耳血腫を引き起こすケースもあります。

ミミヒゼンダニの感染経路と予防対策

ミミヒゼンダニの感染は主に感染した動物との直接接触によって起こります。特に以下の状況で感染リスクが高くなります:

  • 母犬・母猫から子犬・子猫への感染
  • 保護施設での集団感染
  • 多頭飼育環境での拡散
  • 野良犬・野良猫との接触
  • 感染動物が使用したタオルや寝具を通じた間接感染

完全室内飼いの犬や猫では感染リスクは非常に低くなりますが、外に出る機会がある動物では常に感染の可能性があります。

予防対策として最も効果的なのは、定期的な予防薬の使用です。ノミ・マダニフィラリアの予防薬の中には、ミミヒゼンダニにも効果があるものがあります。獣医師と相談して適切な予防プログラムを組むことが重要です。

同居動物がいる場合は、一匹が感染すると他の動物にも感染する可能性が高いため、感染が確認されたら全ての動物の検査と治療が必要になります。

ミミヒゼンダニ症の診断と検査方法

ミミヒゼンダニ症の診断は比較的簡単で、耳鏡を使って耳道内を観察することから始まります。経験のある獣医師であれば、耳垢の見た目だけでもある程度の判断が可能です。

確定診断は顕微鏡検査によって行われます。

  • 耳垢を採取して顕微鏡で観察
  • ミミヒゼンダニの虫体や卵を確認
  • 動いているダニを肉眼で観察できる場合もある

検査時には、耳垢の上を白い点が動いて見えることがあります。これがミミヒゼンダニの成虫であり、診断の決め手となります。

注意すべき点として、初回検査でダニが検出されない場合もあります。症状が典型的であれば、ミミヒゼンダニ症を疑って治療を開始し、経過を観察することもあります。

また、耳垢検査では細菌感染や酵母菌感染との鑑別も同時に行います。これにより、ミミヒゼンダニ以外の原因による外耳炎との区別が可能になります。

ミミヒゼンダニ症の治療法と薬剤耐性への対応策

ミミヒゼンダニ症の治療には駆虫薬を使用しますが、薬剤には複数の種類があります。一般的に使用される治療法には以下があります:

スポットオン製剤(皮膚滴下薬) 🧴

  • 最も一般的で効果的な治療法
  • 月1回の使用で継続的な効果
  • ほとんどの症例で有効

経口薬(飲み薬) 💊

  • スポットオンで皮膚炎を起こす動物に使用
  • 確実な投薬が可能

注射薬

  • 重症例や経口投与が困難な場合に選択

点耳薬

  • 直接耳に点耳する治療法
  • 適応外使用の場合もある

治療で注意すべき点は、薬剤は成虫には効果がありますが卵には効かないことです。そのため、卵から孵化した新たなダニに対して再度治療が必要となり、通常1ヶ月程度の治療期間が必要です。

近年問題となっているのが薬剤耐性です。従来の駆虫薬に対して耐性を持つミミヒゼンダニが報告されており、治療が困難なケースも増えています。そのような場合は、異なる成分の駆虫薬に変更することで対応します。

耳道の洗浄も重要な治療の一環です。耳垢に寄生しているダニや卵を物理的に除去することで、治療効果を高めることができます。