グレイハウンドのかかりやすい病気と寿命
グレイハウンドの平均寿命と健康特性
イタリアングレーハウンドの平均寿命は12歳~15歳とされており、小型犬の中でも比較的長寿な犬種です。2016年のアニコム損害保険の調査では、平均寿命15.1歳で最も長寿な犬種に選ばれています。
グレイハウンドは基本的に丈夫な体質を持っていますが、その特徴的な体型から特定の病気にかかりやすい傾向があります。細身でスレンダーな体つきは美しい反面、骨折のリスクが高く、また遺伝的な要因による疾患も見られます。
人間の年齢に換算すると、以下のような対応になります。
犬の年齢 | 人間換算年齢 |
---|---|
1歳 | 12歳 |
5歳 | 37歳 |
10歳 | 59歳 |
15歳 | 81歳 |
グレイハウンドの膝蓋骨脱臼の症状と対策
膝蓋骨脱臼(パテラ)は、グレイハウンドが最もかかりやすい病気の一つです。膝のお皿が本来の位置から横方向にずれてしまう疾患で、後ろ足の膝関節に力が入らなくなります。
主な症状:
- 足を浮かせて歩く頻度が増える
- 立っているときに膝をガクガク震わせる
- 遊んでいる最中に急に痛がって鳴く
- 歩き方に異常が見られる
初期段階では痛みが発生しないため、気づくのが遅れがちです。症状が進行すると骨の変形や関節炎を起こし、最終的には歩行困難になる可能性があります。
予防方法:
- 床にカーペットを敷いて滑りにくくする
- 爪切りや足裏の毛のカットで滑り防止
- 高いところからのジャンプを避ける
- 肥満にならないよう体重管理を徹底
治療費は内科療法で年間6万円~10万円程度、外科手術の場合は20万円~40万円が相場です。
グレイハウンドの白内障と緑内障の進行パターン
グレイハウンドは眼の疾患にも注意が必要です。特に白内障は遺伝的要因が強く、6歳未満でも発症するケースがあります。
白内障は水晶体が白く濁って視力に影響する病気で、進行すると以下の症状が現れます。
緑内障は白内障の進行により眼球内の圧力が高まって発症し、短期間で失明するリスクがある危険な病気です。グレイハウンドは眼球の硝子体に変性を起こしやすく、網膜剥離も起こしやすい犬種とされています。
予防策として、紫外線量の多い昼過ぎの長時間散歩は避けることが推奨されています。
治療費は内科療法で年間6万円~10万円程度、外科手術(白内障)の場合は両目で60万円~70万円程度が相場です。
グレイハウンドの骨折リスクと脱毛症の特徴
グレイハウンドの細い脚は骨折のリスクが高く、活発に動き回る性格も相まって注意が必要です。特に子犬期から成犬期にかけては、無茶な運動や高所からの落下に気をつけなければなりません。
骨折の主な原因:
- 高いところからのジャンプ
- 急な方向転換による負荷
- 滑りやすい床での転倒
- 抱っこ時の落下事故
また、グレイハウンドは特有の脱毛症にもかかりやすい犬種です。主に以下の2つのタイプがあります。
CDA脱毛症(カラー・ダイリューション・アロペシア)
淡色の被毛を持つグレイハウンドに多く見られる遺伝性の脱毛症で、淡色の毛が正常に育たなくなります。1歳前後で発症することが多く、完全な治療法は確立されていません。
パターン脱毛症
耳の外側や胸部、太ももの内側など特定の部位に脱毛が起こる疾患です。ホルモンバランスの影響が考えられており、去勢・避妊手術後に発症するケースもあります。
グレイハウンドの寒さ対策と生活環境の工夫
グレイハウンドは被毛が薄く皮下脂肪も少ないため、寒さに非常に弱いという特徴があります。この体質的な特徴は健康管理において重要なポイントです。
寒さ対策の必要性:
- 体温調節機能が他の犬種より劣る
- 冬場は室内でも震えることがある
- 寒さによるストレスで免疫力が低下
- 関節炎などの症状が悪化しやすい
具体的な対策方法:
- 冬場は犬用の洋服を着せる
- 室内温度を20~25度に保つ
- 散歩時間を日中の暖かい時間帯に調整
- 暖房器具の近くに休憩スペースを設置
この寒さへの弱さは、グレイハウンドの原産地であるイタリアの温暖な気候に適応した結果と考えられています。日本の冬の寒さは彼らにとって大きなストレス要因となるため、適切な温度管理が長寿の秘訣の一つです。
また、マラセチア皮膚炎にも注意が必要です。皮脂をエサにするマラセチア菌が異常増殖することで起こる皮膚炎で、酸っぱく油っぽい独特な異臭を放ちます。かゆみが強く、掻きむしることで感染部位が赤くただれ、脱毛してしまうことが多いです。
定期的な健康診断と早期発見が重要で、治療は週1回の通院で1回あたり3,000円~8,000円程度の費用がかかります。