ジャックラッセルテリアのかかりやすい病気と寿命
ジャックラッセルテリアの平均寿命と長寿の秘訣
ジャックラッセルテリアの平均寿命は13~16歳とされており、犬全体の平均寿命(9~11歳)と比較すると長めで、小型犬の中でも比較的丈夫で長生きしやすい犬種です。
特筆すべきは、18歳以上生きた例やイギリスでは23歳まで生きた個体も報告されていることです。これは人間でいえば100歳を超えるような長寿に相当します。
寿命を左右する主な要因:
- 遺伝的な要素
- 日々の食事の質や運動量
- 環境的な要因(ストレスの有無)
- 定期的な健康チェック
愛犬の寿命を延ばすためには、バランスの取れた食事と適切な運動、ストレスの少ない環境づくりが重要です。
ジャックラッセルテリアの関節疾患と運動器系の病気
活発な性格のジャックラッセルテリアは、関節疾患にかかりやすい傾向があります。特に注意すべき疾患をご紹介します。
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
膝蓋骨が滑車溝から外れてしまった状態で、過度な運動によって膝に負担がかかり発症することがあります。症状として「足を引きずる」「痛がる」などが見られ、重症化すると手術が必要になります。
前十字靭帯断裂
ジャックラッセルテリアに多い病気の一つで、急激な方向転換や着地時に発症しやすい疾患です。完全断裂の場合は外科手術が必要となります。
レッグパーセス症(大腿骨頭壊死症)
生後約1年以内の子犬に多く見られる病気で、大腿骨の骨頭が変形して壊死する疾患です。「突然足を引きずる」などの症状が現れ、早期発見・早期治療が重要です。
予防対策:
- 滑りやすい床にマットを敷く
- 段差に気をつける
- 適度な運動を心がける
- 肥満を防ぐ
ジャックラッセルテリアの皮膚疾患と外耳炎
ジャックラッセルテリアは皮膚トラブルや耳の病気にも注意が必要です。
カビの一種であるマラセチア菌が免疫力の低下や衛生状態の悪化などの原因で増えすぎることで起きる皮膚炎です。症状として痒み、フケ、抜け毛、ベタつき、独特の臭いなどが表れます。
垂れ耳で耳あかがたまりやすく、外耳炎などの病気になりやすい犬種です。進行すると聴覚障害になってしまうこともあるため、定期的な耳掃除が重要です。
皮膚・耳のケア方法:
- 皮膚を清潔に保つ
- 脂肪分の少ない食事に変更
- ストレスを溜めない環境づくり
- 定期的な耳掃除
- 湿度管理
ジャックラッセルテリアの内分泌疾患と代謝異常
活発な犬種でありながら、内分泌系の疾患にも注意が必要です。
糖尿病
肥満になりやすい傾向があるため、糖尿病のリスクが高まります。主な症状は飲水量・排尿量の増加、食事をとっているのに体重が減少するなどです。症状が進行すると白内障を併発することもあります。
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
副腎皮質ホルモンの過剰分泌が原因で発症し、「お腹の下部の膨らみ」「多飲多尿」「左右対称の脱毛」などの症状が見られます。治療はホルモン安定剤の投与、外科手術、放射線などが行われます。
予防と管理:
- 適正体重の維持
- バランスの取れた食事
- 定期的な血液検査
- ストレス管理
- 避妊手術の検討(メスの場合)
ジャックラッセルテリアの遺伝性消化管ポリポーシス
2020年に新しい遺伝病として発表された、ジャックラッセルテリア特有の疾患があります。
遺伝性消化管ポリポーシスとは
胃や腸にポリープができる遺伝性疾患で、嘔吐や血便などの症状が現れます。ポリープが多発していると重度の貧血を起こすこともあります。
特徴と課題:
- 外科手術でポリープを除去するが、再発するケースが多い
- 根本的な治療法は現在のところない
- 死に直接つながる病気ではないと考えられている
- 遺伝性疾患のため予防法がない
今後の展望:
- 遺伝子検査による確定診断の確立
- より適切な治療法の開発
- 繁殖時の遺伝子検査導入による発症率低下
この病気はまだ認知度が低いため、獣医師でも診断が困難な場合があります。原因不明の消化器症状が続く場合は、この疾患の可能性も考慮して専門医に相談することが重要です。
日常的な健康管理のポイント:
- 定期的な健康診断
- 食事内容の記録
- 便の状態チェック
- 体重管理
- 異常な症状の早期発見
ジャックラッセルテリアは基本的に丈夫で長生きしやすい犬種ですが、これらの病気を理解し、適切な予防と早期発見に努めることで、愛犬との幸せな時間をより長く過ごすことができるでしょう。