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マルチーズのかかりやすい病気と予防対策

マルチーズのかかりやすい病気

マルチーズの主な健康リスク
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心臓疾患

僧帽弁閉鎖不全症など循環器系の病気が多発

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関節疾患

膝蓋骨脱臼や環軸椎亜脱臼などの整形外科疾患

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感覚器疾患

涙やけや外耳炎などの目・耳のトラブル

マルチーズは平均寿命が12歳から15歳と小型犬としては標準的な寿命を持つ犬種ですが、特定の病気にかかりやすい傾向があります。遺伝的な要因や体格的な特徴により、飼い主が注意深く観察すべき健康問題がいくつか存在します。早期発見と適切な対応により、愛犬の健康寿命を延ばすことが可能です。

マルチーズの心臓病対策と症状

マルチーズが最も注意すべき疾患の一つが僧帽弁閉鎖不全症です。この病気は心臓の左心房と左心室を仕切っている弁に異常が生じ、弁の閉鎖が不完全となることで血液が逆流する疾患です。

主な症状:

  • 乾いた咳が頻繁に出る
  • 散歩中にすぐ疲れてしまう
  • 舌の色が紫色になる(チアノーゼ
  • 寝ている時間が増える
  • 運動を嫌がるようになる
  • 失神することがある

初期段階では症状がほとんど現れないため、定期的な健康診断が重要です。小型犬の5歳以上であれば年1回の定期健診を受け、心雑音が指摘された場合は精密検査を受けることをお勧めします。

治療費の目安として、内科療法では月2万円から3万円程度の内服代がかかり、外科手術を受ける場合は250万円ほどの費用が必要になることがあります。完治させる方法はないため、投薬により心臓への負担を軽減し、病気の進行を抑えることが治療の中心となります。

動脈管開存症も注意すべき心疾患の一つです。生まれる前に閉じているはずの胸部大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管が出生後も閉じないことが原因で発症します。心雑音で発見されることが多く、進行すると左心不全や突然死のリスクもあります。

マルチーズの関節疾患と予防法

膝蓋骨脱臼は小型犬に特に多い疾患で、マルチーズも例外ではありません。膝のお皿が本来あるべき位置から横方向にずれてしまい、後ろ足の膝関節に力が入らなくなります。

症状の進行段階:

  • 初期:痛みがないため気づきにくい
  • 中期:足を浮かせる頻度が増える
  • 重度:立っているときに膝が震える、歩行困難になる

女の子の発症率が男の子の約1.5倍と高く、遺伝的要因が強いため予防が困難ですが、環境整備により発症リスクを軽減できます。

予防対策:

  • 床にカーペットを敷いて滑りにくくする
  • 爪切りと足裏の毛のカットを定期的に行う
  • 高いところからのジャンプを避ける
  • 肥満にならないよう体重管理を徹底する
  • 急な方向転換など膝に負担がかかる運動を控える

治療費は内科療法で年間6万円から10万円、外科手術では20万円から40万円程度が相場です。

環軸椎亜脱臼は首の骨の1番目と2番目の関節が不安定になる疾患で、重篤な神経症状を引き起こす可能性があります。先天性の場合は1歳以下で発症することが多く、外傷が原因の場合は年齢に関係なく発症します。症状が進行すると起き上がれなくなったり、最悪の場合は呼吸停止により死亡に至ることもあります。

マルチーズの皮膚トラブルと対処法

マルチーズは皮膚がデリケートで、アレルギーや皮膚炎を起こしやすい犬種です。白い美しい被毛が特徴的ですが、その分皮膚トラブルが目立ちやすく、飼い主の注意深い観察が必要です。

アトピー性皮膚炎は遺伝的要因による皮膚病で、マルチーズに多く見られます。原因となるアレルゲンには以下のようなものがあります。

  • ハウスダストやダニ
  • 花粉
  • 特定の食べ物
  • ノミなどの寄生虫

症状として激しい痒みが現れ、患部をしきりに掻いて皮膚がただれたり傷ついたりします。皮膚の一部が厚くなって乾燥することもあります。

予防と管理のポイント:

  • 毎日のブラッシング時に皮膚状態をチェック
  • アレルゲンの特定と除去
  • 適切なシャンプーとスキンケア
  • 清潔な生活環境の維持
  • 食事内容の見直し

治療にはアレルゲンの除去が最も重要で、副腎皮質ホルモンや抗ヒスタミン剤による薬物療法、食事療法を組み合わせて行います。

低体重のマルチーズは皮膚トラブルのリスクが高まります。栄養不足により免疫力が低下し、様々な感染症に対する抵抗力が減少するためです。適正体重の維持は皮膚の健康にとっても重要な要素となります。

マルチーズの目と耳の健康管理

涙やけはマルチーズの飼い主が最も相談する症状の一つです。涙が正常に流れるための涙小管が狭かったり詰まったりすることで、過剰に涙が出て目頭が汚れ、目の周りの被毛が茶色く変色してしまいます。

涙やけの原因:

  • 先天的な涙小管の異常
  • 角膜炎や結膜炎などの眼疾患
  • 眼の周りの筋肉の異常
  • 鼻炎

対処法:

  • 涙をこまめに拭き取る
  • まぶたを清潔に保つ
  • 点眼薬の使用
  • 詰まった涙小管の洗浄(獣医師による処置)

外耳炎もマルチーズに多い疾患です。垂れ耳で耳周りの毛量が多いため、通気性が悪く蒸れやすい構造になっています。湿度が高くなる時期は特に注意が必要です。

外耳炎の症状:

  • 頭を頻繁に振る
  • 床に耳をこすりつける
  • 耳を掻く仕草が増える
  • 耳から悪臭がする
  • 耳垢の量が増える
  • 耳周りの脱毛

外耳炎は再発しやすく、放置すると外耳道が塞がったり中耳炎に進行することもあるため、早期の治療が重要です。

眼瞼内反症という病気では、まぶたが内側に巻き込まれて睫毛が眼球に当たり、角膜に傷をつけることがあります。継続的な刺激により角膜炎や結膜炎を引き起こし、視力低下の原因となることもあります。

マルチーズの先天性疾患の早期発見

水頭症は脳内に脳脊髄液が過剰に溜まってしまう疾患で、マルチーズに見られる先天性疾患の一つです。脳室が異常に拡張し、様々な神経症状を引き起こします。

水頭症の症状:

  • 痴呆様の症状
  • ぼんやりしている時間が増える
  • 寝ている時間が多くなる
  • 歩き方がおかしい
  • よく転ぶようになる
  • うまく立ち上がれない

脳脊髄液の流れが滞る閉塞性と、脳細胞の発育不全による代謝性に分類され、先天的な原因のほか、頭部外傷やウイルス感染による脳炎腫瘍などの後天的要因でも発症します。

治療には脳脊髄液の量を減らす薬剤による内科的治療と、脳に溜まった液体を腹腔に流すシャント手術があります。

免疫介在性貧血は体内の免疫システムが自分の赤血球を破壊してしまう遺伝性疾患です。疲れやすい、運動を嫌う、すぐ息切れする、多飲多尿、食欲低下、嘔吐、脈が速いなどの症状が現れます。

治療にはステロイドなどの免疫抑制剤を使用しますが、重症例では輸血が必要になることもあります。ただし、輸血により症状が悪化する場合もあるため、慎重な管理が必要です。

グリコーゲン蓄積症は肝臓に貯蔵されているグリコーゲンを分解する酵素が欠損し、体の様々な部位に異常なグリコーゲンの蓄積が起きる疾患です。嘔吐、進行性の全身性筋虚弱、肝肥大、腎肥大、巨大食道症、高脂血症などの症状が現れ、血糖値の低下により痙攣や神経障害を起こすこともあります。

予防の重要性

これらの先天性疾患は完全な予防が困難ですが、信頼できるブリーダーから健康な両親犬の子犬を迎えることで発症リスクを軽減できます。購入時には必ず健康状態について詳しく確認し、可能であれば両親犬の健康診断結果も確認することをお勧めします。

また、定期的な健康診断により早期発見が可能になり、適切な治療により症状の進行を遅らせることができます。特に遺伝的要因が強い疾患については、1歳未満での初回健診と、その後の年1回の定期健診が重要です。

マルチーズの健康管理には、日常的な観察と適切な環境整備、定期的な獣医師による健康チェックが欠かせません。愛犬の小さな変化にも気づけるよう、普段からコミュニケーションを大切にし、健康で長生きできる環境を整えてあげることが飼い主の責任といえるでしょう。