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パグのかかりやすい病気と予防対策完全ガイド

パグのかかりやすい病気

パグの主な健康リスク
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脳神経系の疾患

壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)など遺伝的要因による重篤な病気

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呼吸器系の問題

短頭種気道症候群による呼吸困難や熱中症リスク

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眼疾患

角膜炎や角膜潰瘍などの外傷性眼疾患

パグ脳炎(壊死性髄膜脳炎)の症状と対処法

パグ脳炎は、パグに最も多く発症することから「パグ脳炎」と呼ばれていますが、正式名称は壊死性髄膜脳炎です。この病気は脳全体に壊死が起こる重篤な疾患で、パグ以外にもマルチーズ、ヨークシャーテリア、シーズーペキニーズチワワなどの小型犬種でも発症が確認されています。

主な症状

  • 突発的なけいれん発作
  • 同じ方向への旋回運動
  • 常に首が傾いた状態(斜頸)
  • 視力の低下や失明
  • 起立困難やふらつき
  • 元気不振、食欲減退
  • 昏睡状態

この病気の恐ろしい点は、急速に進行する場合と数ヶ月かけて徐々に進行する場合があることです。多くが1~3歳という若い年齢で発症し、数週間から数年で死に至る場合がほとんどです。

治療法と対処

残念ながら、パグ脳炎には確実な治療法がありません。現在行われているのは対症療法で、抗けいれん薬、抗炎症薬免疫抑制剤ステロイド剤など)を使用します。発作を抑える治療が中心となりますが、完治は困難な病気です。

遺伝的要因が関係していると考えられているため、明確な予防法もありません。早期発見が重要なので、定期的な健康診断を受け、異常な症状が見られたらすぐに獣医師に相談することが大切です。

パグの呼吸器系病気と気道症候群

パグのような短頭種は、その特徴的な顔の構造により呼吸器系の問題を抱えやすい犬種です。最も代表的なのが短頭種気道症候群で、鼻の穴が狭く気管が細いため、様々な呼吸障害を引き起こします。

短頭種気道症候群の症状

  • 睡眠時の大きないびき
  • 呼吸時のガーガー、ゼーゼーという異音
  • 激しく早い呼吸
  • 運動後の失神
  • 呼吸困難チアノーゼ
  • 舌の色が紫になる

この症候群は、軟口蓋過長症、鼻腔狭窄、扁桃腺腫大、喉頭の反転小嚢、声門狭窄などの解剖学的異常によって上部気道が狭くなることが原因です。

予防と管理方法

呼吸器系の負担を軽減するため、以下の対策が重要です。

  • 体重管理: 肥満は気道を圧迫するため、適正体重の維持が必須
  • 室温管理: 夏は25度以下、冬は20度以上を目安に
  • 興奮の制御: 過度な興奮は呼吸困難を誘発する可能性
  • 適度な運動: 無理のない範囲での散歩や遊び

重症化した場合は外科手術が必要になることもあり、外鼻孔拡張術や軟口蓋切除術などが行われます。手術費用は20万円~30万円程度が相場です。

パグの目の病気と角膜トラブル対策

パグは目が大きく前方に突出しているため、目の病気にかかりやすい犬種です。骨格的に眼窩が浅く、目が突出しているため外傷を受けやすく、様々な眼疾患のリスクが高まります。

主な眼疾患

角膜炎・角膜潰瘍

パグの目は少し前に飛び出ているような形状のため、枝や小石に軽くぶつかっただけでも角膜に傷がつきやすくなっています。症状として、目をしょぼしょぼさせる、常に涙目、目ヤニの増加などが見られます。

進行が早い場合があり、放置すると最悪の場合角膜に穴が開いてしまうこともあります。軽症であれば目薬と抗炎症剤で治療しますが、重症化した場合は早急な手術が必要です。

乾性角結膜炎(ドライアイ

涙の量や質が低下することで目が乾きやすくなり、角膜を傷つけてしまう病気です。短頭種は涙腺の形成不全によって起こることが多く、充血や目ヤニの増加が見られます。

予防対策

  • 散歩時は草木の多い場所での注意
  • 他の犬との激しい遊びを制限
  • 目をこするしぐさが頻回見られる場合は早期受診
  • 定期的な目の状態チェック

目の異常に気づいたらすぐに獣医師の診察を受けることが重要です。早期治療により、重篤化を防ぐことができます。

パグの皮膚病とアレルギー症状

パグは皮膚のシワが特徴的な犬種ですが、このシワが皮膚トラブルの原因になることがあります。通気性の悪いシワの部分に細菌が繁殖しやすく、様々な皮膚疾患を引き起こします。

マラセチア皮膚炎

マラセチアという皮脂をエサにしている菌が異常に増殖することで起こる皮膚炎です。パグに多く見られる疾患で、以下のような症状が現れます。

  • 皮膚のべたつきとフケの発生
  • 酸っぱく油っぽい独特な異臭
  • 強いかゆみ
  • 赤いただれと脱毛
  • 皮膚の黒ずみ

アレルギー性皮膚炎

花粉や食物などのアレルゲンに反応して起こる皮膚炎です。パグの場合、顔のシワに汚れがたまると雑菌が繁殖して炎症を起こしやすくなります。

皮膚病の予防と対策

  • シワの清拭: 毎日のシワ部分の清拭で汚れと湿気を除去
  • 定期的なシャンプー: 適切な頻度でのシャンプーで皮膚を清潔に保つ
  • 食事管理: アレルギーの原因となる食材の特定と除去
  • 湿度管理: 適切な室内湿度の維持

皮膚炎の治療には内服薬と薬用シャンプーが効果的ですが、治療が長期にわたることも多く、1回の通院で3,000円~8,000円程度の費用がかかります。

パグの健康寿命を延ばす飼い主の実践的アプローチ

パグの平均寿命は12~15歳とされていますが、適切な健康管理により健康寿命を延ばすことが可能です。従来の「病気になってから治療する」アプローチではなく、「病気を予防する」プロアクティブなケアが重要です。

日常的な健康チェックポイント

呼吸パターンの観察

パグの呼吸は他の犬種と異なる特徴があります。安静時の呼吸数は1分間に15~30回が正常範囲です。普段の呼吸音を把握しておき、急激な変化に気づけるようになることが重要です。

体重変動の記録

週1回の体重測定を習慣化し、理想体重から±10%以内を維持します。急激な体重増加は関節疾患や呼吸器疾患のリスクを高めるため、食事量の調整や運動内容の見直しが必要です。

行動パターンの変化

  • 食欲の変化(食べる速度、残す量)
  • 歩き方の変化(足を引きずる、階段を嫌がる)
  • 睡眠パターンの変化(夜鳴き、睡眠時間の増減)

環境要因の最適化

住環境の工夫

パグは関節疾患になりやすいため、滑りにくい床材の使用や段差の軽減が効果的です。また、短頭種特有の体温調節能力の低さを考慮し、エアコンによる温度管理は年間を通じて必要です。

ストレス管理

パグは人との触れ合いを好む犬種ですが、過度な刺激はストレスになります。規則正しい生活リズムを保ち、静かで落ち着いた環境を提供することで、免疫力の維持につながります。

予防医療の活用

年1回の健康診断に加え、パグ特有の疾患に対する早期スクリーニング検査を受けることを推奨します。特に2歳以降は脳神経系の検査、5歳以降は心臓や関節の詳細検査を定期的に行うことで、病気の早期発見が可能になります。

これらの総合的なアプローチにより、パグの健康寿命を大幅に延ばすことができ、飼い主とパグの両方にとってより充実した生活を送ることができるでしょう。