ペキニーズのかかりやすい病気
ペキニーズの椎間板ヘルニアの症状と治療法
ペキニーズは短い足と長い胴体という体型的特徴により、椎間板ヘルニアにかかりやすい犬種です。椎間板ヘルニアは、背骨同士をつなぐクッションの役割をしている椎間板が正常な位置から飛び出し、脊髄を圧迫する病気で、深刻な症状を引き起こします。
🔍 初期症状
- 抱っこした時に痛がって鳴く
- 腰を丸めて歩く
- ふらつきが見られる
- お腹が張っているように見える
🚨 進行した症状
- 足を全く動かせない
- 歩行困難
- 排尿・排便のコントロールができない
- 四肢の麻痺
治療法は症状の程度により異なります。軽度の場合は絶対安静による内科療法が選択され、週1回の通院で4,000円〜6,000円程度の費用がかかります。重度の場合は外科手術が必要となり、25万円〜40万円程度の費用が発生することがあります。
予防対策
- 体重管理の徹底
- 階段の上り下りやジャンプを避ける
- 滑りやすいフローリングにカーペットを敷く
- 足裏の毛をこまめにカットする
ペキニーズの短頭種気道症候群の特徴と管理
ペキニーズは鼻が短く、気管が細い短頭種の特徴を持つため、短頭種気道症候群という呼吸器疾患にかかりやすい傾向があります。この病気は複数の解剖学的異常が組み合わさって発症します。
📊 主な解剖学的異常
- 鼻腔狭窄(鼻の穴が狭い)
- 軟口蓋過長(のどの奥の軟らかい部分が長すぎる)
- 声門の狭窄
- 気管の狭窄
🎵 特徴的な症状
治療は内科療法と外科療法に分かれます。内科療法では月2回の通院で1回あたり3,000円〜6,000円程度、重症例では酸素吸入が必要となり1回3,000円〜5,000円の処置費がかかります。外科手術の場合、鼻孔拡張術と軟口蓋切除術を同時に行うことが多く、総費用は20万円〜30万円程度となります。
管理のポイント
- 肥満の防止
- 高温多湿環境の回避
- 興奮状態を避ける
- 涼しい環境での飼育
ペキニーズの心臓病と定期検査の重要性
ペキニーズは心臓が強くない犬種として知られ、特に高齢期に僧帽弁閉鎖不全症という心臓病を発症しやすい傾向があります。また、肺高血圧症という特殊な心疾患の好発犬種でもあります。
💓 僧帽弁閉鎖不全症
この病気は心臓の弁の機能不全により血液の逆流が起こる疾患で、ペキニーズでは比較的早い年齢から発症することがあります。初期は無症状ですが、進行すると以下の症状が現れます。
- 運動を嫌がる
- 咳が出る
- 呼吸が荒くなる
- 失神する
❤️🩹 肺高血圧症
肺動脈の圧力が異常に上昇する病気で、ペキニーズとウェストハイランド・ホワイトテリアに多く見られます。進行すると右心不全を起こし、腹水が貯留することもあります。
治療費用は投薬治療で月1回の検査代が1万円〜2万円、内服薬代が月1万円〜3万円程度かかります。
早期発見のための対策
- 定期的な心臓検診の実施
- 心雑音の早期発見
- 運動能力の変化に注意
- 高齢期の健康管理強化
ペキニーズの皮膚疾患と日常ケア
ペキニーズは長く密な被毛を持つため、皮膚トラブルを起こしやすい犬種です。適切なケアを行わないと、様々な皮膚疾患を発症するリスクが高まります。
🌿 主な皮膚疾患
症状と対策
アレルギー性皮膚炎では強いかゆみ、赤み、脱毛が見られます。原因となるアレルゲンの特定と除去が重要で、食事療法や環境改善が必要です。
細菌性皮膚炎は高温多湿な環境や不適切なグルーミングにより発症しやすく、抗生物質による治療が行われます。
🧼 日常ケアのポイント
- 定期的なブラッシング(週3〜4回)
- 月1〜2回の適切なシャンプー
- 被毛の乾燥を徹底する
- 皮膚の異常の早期発見
- 適切な室温・湿度管理(温度20〜25℃、湿度50〜60%)
グルーミングの注意点
ペキニーズの被毛は絡まりやすいため、毛玉ができる前に定期的なブラッシングが必要です。特に耳の後ろ、脇の下、後ろ足の付け根は毛玉ができやすい部位なので重点的にケアしましょう。
ペキニーズの目の病気と予防対策
ペキニーズは眼球が前方に突出した特徴的な顔立ちのため、目の病気にかかりやすい犬種です。特に白内障や角膜損傷などの眼疾患には注意が必要です。
👁️ 主な眼疾患
- 白内障:水晶体が濁り視力が低下する病気
- 角膜潰瘍:角膜に傷ができる外傷性疾患
- 乾性角結膜炎:涙の分泌量減少による眼の乾燥
- 睫毛乱生:まつげが眼球に当たり刺激を与える
- 眼瞼内反症:まぶたが内側に反り返る先天性疾患
白内障の進行段階
白内障は加齢と共に進行し、初期では部分的な濁りから始まり、進行すると完全に白濁し失明に至ります。遺伝的要因が強いため、予防は困難ですが、早期発見により進行を遅らせることが可能です。
🔍 症状の観察ポイント
- 目の濁りや白っぽい変化
- 物にぶつかりやすくなる
- 階段の上り下りを嫌がる
- 暗い場所での行動が鈍くなる
- 目をこする仕草が増える
予防と管理
- 定期的な眼科検診(年1〜2回)
- 目の周りの清潔維持
- 紫外線対策
- 目に刺激を与える環境の回避
- 適切な栄養管理(ビタミンA、C、E の摂取)
また、ペキニーズは尿路結石症にもかかりやすく、排尿回数の増加や血尿などの症状が見られることがあります。適切な水分摂取と栄養バランスの取れた食事が予防に重要です。