シュナウザーのかかりやすい病気と寿命
シュナウザーの平均寿命と長生きの秘訣
ミニチュアシュナウザーの平均寿命は12歳から16歳とされており、東京大学の調査では13.4歳という具体的なデータも報告されています。小型犬に分類されるため、大型犬と比較して比較的長命な犬種といえます。
シュナウザーの年齢を人間年齢に換算すると、以下のような対応関係になります。
- 1歳:人間の12歳相当
- 5歳:人間の37歳相当
- 10歳:人間の59歳相当
- 15歳:人間の81歳相当
長生きの秘訣として最も重要なのは食事管理です。シュナウザーは遺伝的に尿路結石を発症しやすい体質のため、シュウ酸カルシウムの原因となる食材を控えめにする必要があります。また、皮膚病になりやすいため、アレルギーを引き起こしやすい食べ物の特定と除去も重要です。
定期的なお手入れも欠かせません。シュナウザーの被毛は柔らかな下毛と固い上毛の2層構造になっており、下毛は抜けにくいため日々のブラッシングが必要です。上毛はどんどん伸び続けるため、定期的なトリミングも健康維持に不可欠です。
シュナウザーの遺伝性眼疾患と白内障の特徴
シュナウザーは若年性白内障にかかりやすい犬種として知られています。白内障とは、目の中でレンズの役割をしている水晶体が白く濁ってしまう病気です。
主な症状:
- 目の中が白っぽく濁って見える
- 物にぶつかりやすくなる
- 壁を頼りに歩くようになる
- 暗がりで歩きにくそうにする
- 視線が合いにくくなる
白内障の治療には内科療法と外科療法があります。内科療法では進行を遅らせる点眼薬や内服薬を使用し、月2回の通院で年間6万円~10万円程度の費用がかかります。外科手術の場合、片目で25万円程度、両目では60万円~70万円程度の費用が必要になります。
遺伝が関与しているため完全な予防は困難ですが、紫外線を長時間浴びることで発症リスクが高まるとされているため、昼過ぎの強い紫外線の時間帯の長時間散歩は避けることが推奨されます。
シュナウザーの泌尿器疾患と尿路結石症
シュナウザーは尿路結石症を発症しやすい犬種です。尿の中のカルシウムやマグネシウムなどが結晶化し、膀胱や尿道に砂や石のような物質(結石)がたまってしまう病気です。
症状の特徴:
- 血尿が出る
- 頻尿になる
- 排尿時に痛がる素振りを見せる
- 排尿困難
- 発熱や食欲不振
特に危険なのは、結石が尿道に詰まって完全に排尿できなくなる状態です。この場合、尿毒症や膀胱破裂、腎機能障害を引き起こし、命に関わることもあります。
治療方法:
- 内科療法:食事療法と利尿剤による排尿促進(月2-3万円程度)
- 外科療法:結石摘出手術(15-20万円程度)
予防には水分摂取量の増加が最も効果的です。ドライフードからウェットフードへの切り替えや、ミネラルウォーターではなく水道水または軟水の使用が推奨されます。
シュナウザーの代謝異常と高脂血症・膵炎
シュナウザーは遺伝的に高脂血症になりやすく、これが引き金となって慢性膵炎を発症するリスクが高い犬種です。
高脂血症の症状:
- 初期は無症状のことが多い
- 進行すると嘔吐や下痢
- 食欲不振
- 腹痛
高脂血症が重症化すると、急性膵炎、角膜への脂質沈着、ブドウ膜炎などの眼科疾患、発作や末梢神経の麻痺を引き起こすことがあります。
慢性膵炎の特徴的な症状:
- 食後の嘔吐が頻繁に起こる
- 持続的な食欲不振と体重減少
- 腹部を触られることを嫌がる
- 元気消失と活動量の減少
膵炎は膵臓に慢性的な炎症を引き起こし、最終的には膵臓の機能が低下してしまう深刻な疾患です。シュナウザーは膵臓疾患にかかりやすい犬種として獣医師の間でもよく知られています。
予防と管理:
- 低脂肪・高繊維食の給与
- カロリーコントロール
- 適度な運動
- 定期的な血液検査(年間8-12万円程度)
シュナウザーの皮膚疾患と面皰症候群の独自対策
シュナウザーにはシュナウザー面皰症候群という、この犬種特有の皮膚疾患があります。これは皮脂の分泌が増えることで毛穴に詰まり、炎症を起こす疾患で、人間のニキビや吹き出物に似ています。
面皰症候群の特徴:
- 背中や胸部に黒いポツポツができる
- 面皰そのものに痛みやかゆみはない
- 二次感染を起こすとかゆみが発症
- 慢性的に繰り返す傾向がある
シュナウザーは皮脂分泌が多く、皮膚がベタつきやすい体質のため、脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎、細菌・真菌感染も起こりやすい犬種です。
独自の対策法:
- 週2-3回の薬用シャンプー:皮脂を効果的に除去
- 食事中の小麦粉除去:面皰を発症しやすい食材として特定されている
- オメガ3脂肪酸サプリメント:皮膚のバリア機能向上
- 湿度管理:室内湿度50-60%を維持
また、シュナウザーは耳の中に毛がたくさん生えているため、外耳炎も頻発します。トリミング時に耳の中の毛を抜いてもらうことで、耳への刺激を減らし予防につながります。
その他の注意すべき皮膚症状:
- フケの増加
- 慢性的なかゆみ
- 局所的な脱毛
- 皮膚の赤みやべたつき
これらの症状が見られた場合は、早期に獣医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。皮膚疾患は慢性化しやすいため、継続的なケアと定期的な健康チェックが愛犬の快適な生活を支える鍵となります。