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呼吸器疾患と犬の健康管理の注意点

呼吸器疾患と犬の診断

犬の呼吸器疾患の主要なポイント
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症状の早期発見

咳、息切れ、異常呼吸音が主要な症状です

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犬種による違い

短頭種と小型犬で異なる疾患パターンがあります

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適切な治療選択

内科治療と外科治療を組み合わせた包括的アプローチが重要です

呼吸器疾患の症状観察ポイント

犬の呼吸器疾患を早期発見するためには、日常の観察が極めて重要です 。正常な犬は安静時に音を立てずに呼吸し、特にパグブルドッグのような短頭種以外では、呼吸音はほとんど聞こえません 。もし愛犬の喉や鼻から異常な音が聞こえる場合は、呼吸器に何らかの問題が生じている可能性があります。

参考)問診 – 呼吸器専門の動物病院

呼吸器専門の獣医師によると、主な症状は以下の4つのカテゴリーに分類されます :

  • 上気道症状:吸気性異常呼吸音、ストライダー、いびき、睡眠時無呼吸
  • :持続性や間欠性、音量の大小による分類
  • 呼吸困難:安静時や運動時の息切れ、頻呼吸
  • 胸部異常陰影:X線検査で発見される肺の変化

特に重要なのは、症状がいつから始まったかという時期の特定です 。急性呼吸困難(48時間以内)と慢性呼吸困難(それ以上の経過)では、考えられる疾患や治療アプローチが大きく異なります。
安静時呼吸数の評価も重要な指標です 。正常な犬の安静時呼吸数は40回/分以下で、100回/分以上の場合は頻呼吸として治療が必要な状態と判断されます。

気管虚脱の犬種特異性と症状

気管虚脱は小型犬に特に多い呼吸器疾患で、ヨークシャー・テリアチワワ、ポメラニアンが好発犬種として知られています 。この疾患は先天的に気管軟骨が未発達なことが原因で発症します 。

参考)犬の呼吸器に関するよくある病気/ホームメイト

気管虚脱の特徴的な症状は、興奮時や吠えた時に現れる「のどが鳴るような咳」です 。軽症例では散歩中の小走りで息切れを起こしやすく、重症になると気管がつぶれて呼吸困難に陥り、最悪の場合は命に関わることもあります 。

参考)犬の気管虚脱の症状と原因、治療法について

咳の性質を詳しく観察すると、以下の特徴があります :

  • 興奮時に悪化する中枢気道性の咳
  • 音量が大きく、持続時間は比較的短い(0.5-1秒/回)
  • 飲水関連で誘発されることがある
  • 日中の運動時に多く、夜間は比較的少ない

治療は主に内科治療が中心となりますが、7割程度の症例で良好な経過が得られます 。使用される薬剤には、鎮咳剤、気管支拡張剤、去痰剤、抗炎症剤(ステロイド)などがあります 。重症例では、気管を確保するリングを挿入する外科手術も選択肢となります 。

参考)気管虚脱|ペット保険のFPC

短頭種気道症候群の呼吸器病態

短頭種気道症候群は、ブルドッグ、フレンチブルドッグ、パグ、ペキニーズ、ボストン・テリアなどの短頭種に特有の先天性疾患です 。これらの犬種は生まれつき気道が狭く、複数の解剖学的異常が組み合わさって症状を呈します 。

参考)短頭種気道症候群

主な病態には以下があります :

  • 外鼻孔狭窄:鼻の穴が狭い状態
  • 軟口蓋過長:口の奥の軟らかい部分が長すぎる
  • 喉頭小嚢の反転:喉の構造の異常
  • 喉頭虚脱:喉頭の機能不全
  • 気管低形成:気管の発達不全

症状は多岐にわたり、鼻や喉からのガーガー音、睡眠時のいびき、運動不耐性、興奮時の呼吸困難や失神、頻繁な嘔吐や吐き戻しなどが見られます 。病態が進行すると、肺炎や気管支炎などの二次的な呼吸器疾患を併発することもあります 。
特に危険なのは、急性の呼吸困難や熱中症に陥りやすいことです 。そのため、多くの航空会社では夏季の短頭種の搭乗を制限しており、2010年のアメリカでの事故以降、安全対策が強化されています 。
治療は外科手術が効果的で、外鼻孔拡大術、軟口蓋切除術、喉頭小嚢切除術などが行われます 。若齢期の手術が最も効果的で、病態の進行を防ぐことができます 。

ケンネルコフの感染性呼吸器疾患

犬伝染性気管気管支炎、通称ケンネルコフは、複数の病原体による混合感染で起こる伝染性の強い呼吸器疾患です 。主な原因病原体には、犬パラインフルエンザウイルス、犬アデノウイルスII型、気管支敗血症菌(ボルデテラ菌)などがあります 。

参考)呼吸器疾患

感染は感染犬の唾液、痰、鼻水を介して起こり、特に免疫力の低い子犬や多頭飼育環境、不良な飼育環境下で発生しやすくなります 。ペットショップやブリーダー、動物病院での待合室でも感染リスクがあります 。

参考)犬伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)

症状の特徴は以下の通りです :

  • 主症状:喉に何かが詰まったような短い乾いた咳
  • 全身状態:初期は食欲や元気は保たれることが多い
  • 進行時:湿性の咳(痰が絡んだような咳)に変化
  • 合併症:鼻水、目やに、発熱、食欲不振、重症例では肺炎

診断は特定の病原体を証明することが困難なため、感染犬との接触歴、飼育環境、臨床症状を総合的に評価して行います 。血液検査や胸部X線検査では正常から軽度異常所見程度のことが多いのが特徴です 。
治療は抗菌薬の投与が第一選択となり、症状緩和のために去痰薬、気管支拡張薬、抗炎症薬も併用されます 。ネブライザー(薬剤の噴霧吸入)治療も有効です 。軽症例では適切な環境管理のもと7-10日以内に自然治癒することもあります 。

参考)ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎) href=”https://olive-sbk.com/disease/%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%95%EF%BC%92/” target=”_blank”>https://olive-sbk.com/disease/%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%95%EF%BC%92/amp;#8211; オリー…

肺炎の重篤な呼吸器合併症

肺炎は犬の呼吸器疾患の中でも特に重篤な疾患で、ウイルスや細菌感染、異物誤嚥、刺激性ガスの吸入などが原因となります 。特に子犬では、犬ジステンパーウイルス感染症に続発することが多く見られます 。
肺炎の症状は以下のような特徴があります :

  • 主要症状:激しい咳、高熱、呼吸困難
  • 全身症状:食欲不振、元気消失、体力消耗
  • 呼吸状態:安静時でも呼吸が荒くなる
  • 危険兆候:運動や興奮で重篤な呼吸困難を起こし倒れることがある

肺炎は他の呼吸器疾患と比較して症状が重く、死亡率も高い疾患です 。そのため一刻も早い治療開始が必要で、多くの場合入院治療が必要となります 。
治療は抗生物質の投与による内科治療が中心となりますが、呼吸困難が認められる場合は酸素室での酸素吸入が必要です 。回復まで絶対安静を保つ必要があり、適切な治療を受ければ予後は比較的良好ですが、治療の遅れは致命的となる可能性があります 。
予防には適切なワクチン接種、良好な飼育環境の維持、免疫力の向上が重要です。特に子犬の場合は、母親からの移行抗体が減少する時期の感染予防に注意が必要です 。